本記事では、BSサミット事業協同組合・業界問題委員会を中心に収集している他社工場での粗悪修理の事例を紹介していく。目の届かない部分における手抜き処置や、質の低い作業など、粗悪修理の行われた車両は、命の危険も伴う。今後このような不具合車両が無くなるよう、安全で適切な修理を行うことの重要性を呼びかけていきたい。
リアーサイドメンバーが座屈したまま未修理!
後部衝突事故車だが、入力方向とは反対側の衝撃力を緩和するべき部位が未修理であった事例。幸いにも入力方向が反対側であったことで人身傷害になってないが、修理作業モラルが見受けられないと言える。オーナーから聞いた話では、1年前に追突事故にて保険修理したとのこと。リアーサイドメンバーは座屈したまま未修理だった。リヤーフロアーパネルについても矢印部は隙間も発生しており、以前の事故でパネル取替しているが溶接点数も少なく強度も出てなく、防錆処理も不完全であり、数か所に錆も発生している。 (写真1-1、1-2)
走行中に異音発生! 原因は…
修復歴有を理解して購入したが、走行中に異音発生にて修理工場に入庫した。入庫後、調べた結果写真の通り、エンジンルームの車体寸法が復元されてない状態で、フロントフェンダーを取り付けたため、ヘッドランプに干渉していた。
フロントフェンダーを取り外して見た結果、フードレッジパネルが前回の事故車修理で修理されてなく、干渉しており異音発生の原因となっていた。インストルメントパネルとフロントピラー接合部にも隙間が発生しており、調査した結果、取付けボルトの締め付け不十分であった。エンジンルームの車体寸法が正しい数値になってないことは、今回の異音苦情に留らず足回り不具合の原因にもなり、走行安定性にも影響を及ぼす。最悪の場合、再度、前面衝突事故を起こした場合、乗員保護に懸念がある。 (写真2-1、2-2、2-3)
過去の損傷箇所が未修理!
入庫した車両を確認したところ、過去の事故による損傷個所未修理が発見された。写真でも解るようにリアーサイドメンバーに座屈箇所が認められる。2枚の写真で明らかなように、再度、後面事故にて衝撃力を受けた際には乗員には過大な衝撃力が加わる可能性が推定される。 (写真3-1、3-2)
損傷箇所を修理せずパテで偽装!
入庫した事故車の外板パネルを外しみたところ、以前事故時に損傷した骨格部位が手付かずで、パテが盛り付けられた状態で偽装されていた。この車が再度事故を起こした場合、衝撃力を吸収出来ず、乗員には過度の衝撃力が加わり人身傷害も大きいことが考えられる。このような偽装修理は、車体整備業者としての責任・モラルに唖然とする事例である。 (写真4-1、4-2、4-3、4-4)