【実践! サウンドチューニング】初級編 Part.2「イコライザー」その1
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結論から入ろう。「イコライザー」には、2つの役割がある。1つは「サウンドに色付けをする役割」、もう1つは「特性の乱れを補正する役割」、である。
ちなみに「イコライズ」という言葉には、“等しくする”とか“均等にする”という意味がある。つまり、言葉の意味から言うと、「もともとの音源と同様の音にするための機能」、もしくは「特性を均等にするための機能」ということになる。
車室内は、ガラスやパネルによって音が反射し、シート等で音が吸収されることにより、周波数特性が乱れがちだ。であるので、それを「補正」するために、「イコライザー」の力が必要、というわけなのだ。
一方、「色付け」的に使おうとするときは、“原音と同じように”という観点とはまったく逆に、自分が好きな音に、響き方を変えていこうとするわけだ。
なお、「色付け」を行おうとするときには、詳細な調整ができないタイプの「イコライザー」でも役割を果たせるのだが、「補正」を行うためには、ある程度詳細に調整できる仕様になっている必要がある。3バンドとか5バンドといったタイプの「イコライザー」では、詳細な「補正」を行うことは困難だ。なぜならば…。
人間の可聴帯域は、20Hzから20kHz。音程で言うと、10オクターブの高低差がある。もしも3バンドの「イコライザー」だったとしたら、10オクターブを3分割して調整しようとするもの、ということになる。5バンドならば、1バンドには2オクターブの範囲があてがわれている。つまりこれらは、相当に“ざっくり”とした「イコライザー」なのである。
「補正」的な観点で「イコライザー」を運用しようと思うなら、せめて10バンドはほしいところだ。さらに詳細に調整しようとするならば、31バンド程度あると心強い。このタイプでは1バンドの担当範囲は1/3オクターブ。このくらいの幅ならば、特性の乱れに対して効果的にアプローチできる。ハイエンドユニットでは、このくらいのバンド数がスタンダードとなっている。
しかしながら、バンド数が少なくても、限定的に「補正」の役割を果たすことも可能だ。次週は、それについてじっくりと解説していこと思う。お楽しみに。
《太田祥三》
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