カーオーディオの醍醐味はココにあり! 『システムアップ術』研究!! 第4回「パッシブクロスオーバーネットワークで楽しむ方法 その2」
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■“バイワイヤリング対応パッシブ”を活用して、“マルチアンプシステム”を組む!
前回は、“バイワイヤリング対応”の「パッシブクロスオーバーネットワーク」を用いた『ステップアップ術』として、“バイワイヤリング接続”をご紹介した。今回はそれと類似したもう1つの、効果てきめんなる方法を取り上げる。
その名は、“バイアンプ接続”だ。前回に解説した“バイワイヤリング接続”では、パワーアンプの1chにスピーカーケーブルを2本接続し、それぞれを“バイワイヤリング対応パッシブ”の、ハイ入力、ロー入力に接続する、という方法であった。
それに対して“バイアンプ接続”とは、パワーアンプの別chから、ハイ入力、ロー入力のそれぞれにスピーカーケーブルを接続する、というものである。つまり、2ウェイスピーカーのトゥイーター、ミッドウーファーそれぞれに、個別のパワーアンプのchをあてがう、ということになるわけで、結果、“マルチアンプシステム”を組めることとなる。
この方法が効力を発揮するのは、メインユニットの内蔵アンプでスピーカーを駆動しているとき、そのメインユニットの内蔵「DSP」に、トゥイーターとミッドウーファー間の「クロスオーバー」機能が搭載されていない場合だ。「クロスオーバー」が搭載されていなれば、トゥイーターとミッドウーファーに対して、個別に「タイムアライメント」をかけられない。
しかしながら、“バイワイヤリング対応パッシブ”を使って、“バイアンプ接続”を実行すれば、トゥイーターとミッドウーファーを個別にコントロールすることが可能となるのだ。
例えば、AV一体型ナビで考えてみよう。この内蔵アンプのフロント出力を、“バイワイヤリング対応パッシブ”のロー入力に接続する。そしてリア出力を、“バイワイヤリング対応パッシブ”のハイ入力に接続する。つまり、内蔵アンプのサブウーファー出力以外の4chすべてを、フロントスピーカーを鳴らすために使う、というわけだ。
■スピーカーの駆動力が上がり、信号のセパレーションも高まる。
このAV一体型ナビが、フロントchとリアchに「タイムアライメント」をかけられるタイプだった場合、“バイアンプ接続”を取ったことにより、ミッドウーファー(フロントch)、トゥイーター(リアch)に個別に「タイムアライメント」をかけられるシステムに変貌を遂げるのだ。
AV一体型ナビの内蔵「DSP」で、それぞれに個別に「タイムアライメント」をかけ、その後、音楽信号は内蔵アンプの中で増幅。そして、フロントchのフルレンジの音楽信号は、“バイワイヤリング対応パッシブ”内の「ローパスフィルター」を通って高域がカットされ、ミッドウーファーまで送られる。同じく、リアchのフルレンジの音楽信号は、“バイワイヤリング対応パッシブ”内の
「ハイパスフィルター」を通って低域がカットされ、トゥイーターに送られる。
なお、この接続方式によるメリットは、トゥイーターとミッドウーファーを個別にコントロールできるようになること、だけではない。1つのスピーカーユニットに対してパワーアンプの1chをあてがうことにより、スピーカーの駆動力が上がること、そして信号のセパレーションが良くなること、これらのメリットも多大に音に効いてくる。そもそもの音質が向上した上で、さらに緻密なコントロールが可能になり、これらの相乗効果で、質感、再現性ともに、クオリティがワンランクアップする。
AV一体型ナビ+市販スピーカー、というところからカーオーディオを始める場合は、この“バイアンプ接続”を、いつかはぜひに試していただきたい。場合によっては、スピーカーを交換したとき以上の感動が得られる可能性もある。それほど効果が絶大な、おすすめの『ステップアップ術』なのである。
ところで、前回にご紹介した“バイワイヤリング接続”は、メインユニットの内蔵アンプで鳴らしている場合は、配線が少々面倒だ。メインユニットの内蔵アンプを使っている場合ならば、“バイワイヤリング接続”は飛ばして、最初から“バイアンプ接続”を試してみてもいいだろう。
市販スピーカーに交換した後、その次に4chアンプを導入するようなケースでは、“バイワイヤリング接続”も、ぜひとも試してみよう。パワーアンプの2ch分でフロントスピーカーを鳴らし、もう2chでサブウーファーを鳴らす、というようなシステムレイアウトを取るとき、次のステップアップとして、“バイワイヤリング接続”を、ぜひ。
さて、「パッシブクロスオーバーネットワーク」を用いたステップアップ術のご紹介は以上だ。次回もさらに、アプローチの異なった『ステップアップ術』をご紹介していく。乞うご期待。
《太田祥三》
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