“買い”か、“待ち”か…。カーナビ・オプションユニットの最新事情! パート3「ETC2.0車載器」
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■“お得”が徐々に広がりつつある『ETC2.0サービス』。
始めに、『ETC2.0』とは何なのか、からおさらいしていこう。これは、サービスの名称である。どんなサービスなのかと言うと…。
かつて、『ITSスポットサービス』と呼ばれていたものがあったことを覚えているだろうか。『ITSスポットサービス』とは、「交通安全、渋滞対策、環境対策などを目的とし、人とクルマと道路とを情報で結ぶITS技術を活用した次世代のサービス」のことである。そしてこれは「道路に設置された“ITSスポット”とクルマ側の“ITSスポット対応車載器”との間で高速・大容量通信を行うことにより、広域な道路交通情報や画像も提供されるなど、さまざまなサービスが実現される」ものである。
具体的に提供されるサービスは、1・ダイナミックルートガイダンス(広範囲の渋滞データを受信。カーナビが賢くルートを選択)、2・安全運転支援(ドライブ中のヒヤリをなくす事前の注意喚起)、3・ETC(ETCサービス)、以上の3つだ。
なお、このサービスを受けるために必要な車載器は、『DSRC車載器』と呼ばれていた(“高速・大容量通信を行う”その通信技術名が“DSRC”である)。
そしてこの『ITSスポットサービス』が進化し、名称が『ETC2.0』へと変更され、これを実現する車載機器の名前も『ETC2.0車載器』へと変更された、という次第なのである。
名前が変わってどのように進化したのかというと、特に変化が大きかった部分は、「経路情報を活用したサービスの充実」だ。これはさまざまな要素を含んでいて、現行では以下のようなことが実現されている。「高速道路を一時退出した場合でも、高速を降りずに利用した料金のままとする措置の導入」、「圏央道利用について約2割引(圏央道利用分)と、圏央道を大口・多頻度割引の対象道路に追加」、「混雑状況などに応じた動的な料金の導入」、「特殊車両運行許可の簡素化」、「トラック運行管理サービスの試行」といったところだ。
要は、高速道路料金の割引きといった、直接的に“お得”になるようなサービスが盛り込まれつつある、という状況なのである。まだまだ部分的であったりするのだが、このサービスを受けられる環境を整えることで、徐々に“お得”が広がっていく、ことは確かなようだ。
■長距離を走ることが多いドライバーにとっては、メリットは多々ある。
さて、“お得”になる部分は、まだまだこれからな状況ではあるが、『ITSスポットサービス』時代から実現されていたメリットは、なかなかに魅力的なものではある。特に、長距離を走行する頻度が高いドライバーにとっては、その有効度が高い。というのは、このサービスにより“広範囲な”渋滞情報が得られるからだ。そして、高速道路上にあるリアルタイムな“危険”(落下物の情報等)も得ることができるので、安全運転にも役立つ。
ところで、この『ETC2.0』サービスを享受するために、“スタンドアローンタイプ”の『ETC2.0車載器』を選ぶ、という手もある。このタイプの『ETC2.0車載器』では、カーナビと連動せずに、単体で高速道路の割引きを受けられたり、渋滞情報等を音声等で知ることができる。
しかし『ETC2.0』サービスは、カーナビと連動することによって活きてくる部分に妙味がある。広域な渋滞情報を利用することで、よりスムーズなルート案内が可能となるし、高速道路上の危険の告知も、ナビの画面を通して確認できたほうがわかりやすい。まだまだ高速道路料金の割引等の、直接的に“お得”になる部分が限定的な状況の中では、その享受を主に取っていこうとする“スタンドアローンタイプ”よりも、“カーナビ連動型”のほうが、『ETC2.0サービス』の美味しいところを幅広く受け取ることができるのだ。
さて、結論である。ナビオプションの『ETC2.0車載器』は、“買い”か“待ち”か…。特に長距離を走ることが多いドライバーにとっては、“買い”だ。逆に、近場を走ることがほとんど、というドライバーにとっては、まだ“待ち”でもいいのかもしれない。ただし、もしもまだ『ETC車載器』を導入していないのであるならば、ここは思い切って『ETC2.0車載器』を導入するのはアリだろう。
なお、購入してから長めの時間が経っているナビでは、最新の『ETC2.0車載器』が対応していない場合も多い。購入を検討する際には、対応の確認をお忘れなく。そして、AV一体型ナビを新調しようと思ったときは、自分のカーライフと照らし合わせ、今、これが必要かどうかを賢く判断しよう。有益だと思ったら、これも一緒に購入すべし。なんらか利便性が上がることは確かだ。
《太田祥三》
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