知っておきたい! クルマの保険 「補償内容」の基礎を学ぶ…去年と同じでOKは要注意 | CAR CARE PLUS

知っておきたい! クルマの保険 「補償内容」の基礎を学ぶ…去年と同じでOKは要注意

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保険の更新時期は、頭がイタイもの
保険の更新時期は、頭がイタイもの 全 4 枚 拡大写真
自動車保険の更新案内が届くと「またそんな時期か」「もっと安くならないかな」と少し気が重くなることは、よくある話だと思います。

自動車保険のわかりにくさが最大のネックで、内容を理解したい気持ちはあれど、担当者にすべてお任せで去年と同じでいい、という、カーオーナーは少なくないのではないでしょうか。

保険の補償内容、しっかり理解してますか?

そこで本記事では、自動車保険の「補償内容の基礎」についてわかりやすく説明します。せっかくですから、現在ご加入の保険証券を手元に用意いただき、見比べながら読み進めるのがより効果的だと思います。


◆約款とは?

自動車保険を語る上で、理解しておいていただきたい用語があるので、まず、そちらについて説明します。少し難しいですがご辛抱ください。

まず、保険の契約者(自分)と保険会社が結ぶ契約の内容を定めたものを「約款」と呼びます。保険のルールブックだと思ってください。

保険契約者の保険料支払や告知・通知の義務、また保険会社が保険金を支払う場合の条件や支払額などについて記載されています。

約款には、同一種類の保険契約のすべてに共通した契約内容を定めた普通保険約款と、個々の契約においてその内容を補充・変更・排除する特別保険約款(特約条項)とがあります。

この普通保険約款の中に、基本的な補償の内容は書かれていると理解してください。また、特別保険約款は「特約」と言い換えた方が、耳慣れている方も多いと思います。

例えば、「家族限定特約」や「弁護士費用特約」などというものがこれに当たります。基本的な内容よりも、特別に優先される補償や条件のことをいいます。今回は基本的な内容に絞って説明します。特約に関しては、次の機会にじっくり解説しますので少しお待ちください。


◆他人に対する最低限の2つの補償

上記の「普通約款」の中に含まれるのが、基本的な補償内容です。補償内容の取捨選択や組み合わせと、保険金額によって保険料が変化します。

では、順を追って基本補償について見ていきましょう。まずは、最低限入っていて欲しい他人に対する2つの補償について説明します。


・対人賠償
自動車保険の柱になる補償です。事故の相手や、自分のクルマに同乗していた他人(家族以外の人)に対する損害などについて賠償する保険です。

商品にもよりますが、保険金額は1,000万円(被害者1人に対して)から1,000万円区切りで無制限までというのが一般的です。自賠責保険の支払い限度額を超える部分をカバーするものですが、人的な被害に支払われるものですので、常識的に考えて無制限に設定するのが普通の感覚といえます。


・対物賠償
事故の相手のクルマを修理したり、事故の際に壊してしまった建造物(例えば、民家の塀やガードレール、標識などなど)といった他人の財物に対して賠償する保険です。

保険金額は商品によってまちまちですが、20万円程度から10万円区切りや、100万円区切りなどで無制限までを補償できます。しかし、対人賠償と同様に、現在では無制限に設定していないとモラルが問われる補償となっています。


◆自分や家族を守る補償

次に説明する項目は、基本補償の中でも自分や家族が死亡したり、ケガをした場合の補償です。自分のための補償だと考えて下さい。

大きく分けて2種類の補償がありますが、保険金が支払われる対象は同じです。

家族を守るためにもしっかりした補償で加入しましょう


・搭乗者傷害
長くクルマに乗られてきた方には、馴染みのある補償だと思います。文字通り、自分のクルマに同乗していて事故に遭われた方に対して支払われる保険です。

保険金額は500万円(被害者1人に対して)から100万円区切りで、保険会社によって上限を決めているのが特徴といえます。


・人身傷害
自動車保険の規制緩和が進み、外資系の保険会社が国内市場に参入してきた頃にできた、新しい考え方の補償です。保険金の支払い対象は、搭乗者傷害と変わりません。金額に関しては3,000万円以上(被害者1人に対して)で1,000万円区切り、無制限までと、対人や対物賠償と同じような体系をとっています。


◆搭乗者傷害と、人身傷害の違いはどこにある?

この2つの補償の違いが、1つのポイントになります。大きな違いは2つです。難しいですが最も重要なところですので、お手元の保険証券をじっくりご覧になってください。


まず1つ目の違いは保険金の支払われ方です。搭乗者傷害は「定額払い」という方式で保険金を支払います。どういうことかというと、例えば、「日額払い」という契約だと、通院すると1日5,000円、入院すると1日1万円だったり、「部位症状別払い」という契約だと、腕の骨が折れると5万円、足を切断すると70万円などと治療にかかった金額の過不足に関わらず決められた金額が支払われます。

対して人身傷害は、「実損払い」という方式がとられていて、治療費や交通費、慰謝料、逸失利益に至るまで、事故に関わる損害額を、かかった分だけ支払ってくれます。


2つ目が、「過失相殺」に対する考え方です。過失相殺とは、事故の時に被害者にも過失があった場合にその分を賠償額から減額することをいいます。

例えば、損害額が1,000万円だった時に、被害者に30%の過失があった場合には、その分の300万円が減額されて、700万円が相手に請求できる賠償額になるということです。人身傷害は過失があった場合でも実損部分は全て支払われます。

一方で、搭乗者傷害は過失割合とは全く関係なく、契約で決められた額が支払われます。しかし、実際には定額の金額が少額でまかない切れないことの方が多く、安心できないのが現実です。

また、人身傷害は、特に限定をつけていなければ、クルマに搭乗中のほかに、交通事故全般に対して補償されるのが特徴です。家族が道路を歩いてる時にひき逃げに遭った場合などでも保険金が支払われるということです。


以上の説明からすると、人身傷害の方が補償が厚いのは一目瞭然です。はっきりいうと、搭乗者傷害は古い補償です。

ですので、両方の保険に加入する方がより手厚いですが、保険本来の目的で考えれば、人身傷害にしっかり加入していれば実損部分をカバーしてくれるので問題はありません。加入する金額については、無制限で加入しておくのが理想ですが、損保会社によると、過去の事例から、最低でも5,000万円、できれば7,000万円以上で加入すると、万が一の時にもまず問題ないということです。

◆更新時は、必ず内容を見直す!

最近では、人身傷害の中に今までの搭乗者傷害の補償を特約として組み入れる商品があったり、保険会社の側も人身傷害に加入するように方針をシフトしているので、搭乗者傷害のみに加入していることは少なくなったと思います。

しかし、自分で補償内容を選択しなければならない通販の保険や、ずっと前年と同じ内容で更新し続けている人は注意が必要です。ぜひ一度、ご自身の契約を確認してみてください。


さて、ここまで自動車保険の基本的な補償についてお話してきました。この他に、車両保険という補償と特約が加わって、ひとつの契約が出来上がりますが、それは次の機会にお話したいと思います。

自動車保険の契約更新の時には、上記のポイントに注意しながら、過不足なく加入することが大切です。保険は、いざという時に自分や家族を守ってくれる強い味方であると同時に、穴があると全く役に立ちません。少しでも疑問がある時には、積極的に専門家に相談しましょう。

事故の時に、困らないようにしたいものです

《カーケアプラス編集部》

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