『Full Digital Sound』搭載のショップデモカーを聴く。~ハイエンド・サウンドをめざして~ | CAR CARE PLUS

『Full Digital Sound』搭載のショップデモカーを聴く。~ハイエンド・サウンドをめざして~

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Volkswagen・Golf V by Mobile Sound Technology(東京都)
Volkswagen・Golf V by Mobile Sound Technology(東京都) 全 7 枚 拡大写真
革新のカーオーディオシステム、Clarion『Full Digital Sound』。デジタルの音楽信号を一度もアナログ信号に戻すことなくスピーカーを駆動させるという、この世界初のカーオーディオシステムの可能性を改めて探るべく、とあるプロショップを取材した。


■シンプルに、“音”にこだわって作られたデモカーがある…。

取材陣が向かった先は、東京都西多摩郡日の出町に店舗を構えるカーオーディオ・プロショップ、“Mobile Sound Technology”(以下、MST)だ。

同店は2011年にオープンした、比較的新しめのプロショップであるのだが、近年、メジャーなカーオーディオサウンドコンテストで部門優勝を果たすなど、メキメキと頭角を表している気鋭のプロショップである。

今回、“MST”のデモカーを取材しようと考えた理由は、このクルマのコンセプトにある。そのコンセプトとはズバリ、「ハイエンドシステムに迫る高音質」。なぜにこれが気になったのかというと…。

発売開始から丸1年が経とうとしているClarion『Full Digital Sound』は、サウンドクオリティが高いゆえに、多くのユーザーからの支持を集めている。しかしながら、当システムが人を惹き付けている最大の理由はむしろ、先進性の高さであり、それによって実現できている、省電力・省スペース・省重量・コストパフォーマンスの高さ、これらにある。これらを実現しながらも“音も良い”、このように評価されているように思うのだ。しかし“MST”ではシンプルに、“音”に特化してクルマを煮詰めているという。そこに新鮮さを感じたのである。

果たして、それはどのようなアプローチで取り組まれていて、実際のサウンドはどれほどなのか…。そしてそこのところを確認することで、『Full Digital Sound』の新たな一面が発見できるかもしれない、そう考えて取材班は“MST”へと赴いた。


■発売開始から時間が開いたことで、当初とは異なる意欲が首をもたげた。

“MST”に到着して早々に、同店の代表である小川さんに、Clarion『Full Digital Sound』デモカー『Volkswagen・Golf V』において、「ハイエンドシステムに迫る高音質」をコンセプトに掲げようと考えるに至った理由からお聞きした。

小川「実は、Clarion『Full Digital Sound』のシステムは、発売開始された当初から入荷してありデモカーを製作する予定でいたのですが、車両がなかなか決まらなかったことや、もう1台のデモカー『TOYOTA・クラウンアスリート』に手を掛けていて時間が取れなかったことから、製作に取りかかれていなかったんです。

ちなみに、製品を入荷した当初こそは、これまであまりカーオーディオに関心のなかった層に向けた新たな製品として『Full Digital Sound』に期待をかけていました。話題性と合理性、そしてコストパフォーマンスの高さを前面に出してアピールしようと思っていたんです。

ところでもう1台のデモカーである『クラウンアスリート』には、アナログのハイエンドシステムが搭載してあります。『Full Digital Sound』と比べると、システム総額は約4倍になりますね。

このクルマで昨年1年間、いろいろと実験を重ねました。そしてサウンドコンテストにも持っていって幸いにも良い結果を出すこともできて。なので、ここまでで掴んだノウハウのすべてを、このクルマにも注ぎ込んでみたくなったんですよ。『Full Digital Sound』も、発売から時間が経ち、実力があることが明らかになっていましたし、であるならハイエンドシステムと比べて1/4の費用でどこまでの音が出せるか、そこに取り組んでみようと思ったんです」

■“音”にとって良いことを、微に入り細に入り、徹底的に施した。

次には、そのコンセプトを具現化するために何がなされているのかをお訊きした。

小川「まずは、フルデジタルスピーカー『Z7』の取り付けにおいて、ドア内部でできることをすべて施しました。ポイントは2点あります。角度を付けて情報量が上がるようにしたことと、スピーカーの背圧のヌケをできるだけスムーズにしたことです」

簡単にまとめてしまえば、要は取り付け状態の最適化と、スピーカーボックス側の音響的コントロールを緻密に行った、ということである。

小川「ツィーターの取り付け角度も、相当に吟味しました。リスナーに正対させるやり方や、室内の中央を向ける方法など、さまざまな考え方がありますが、この『Volkswagen・Golf V』では、左右のそれぞれのツィーターから垂直に伸びるラインが、リスナーのやや前方でクロスするような角度としています。音圧バランスを整えながら自然でかつ、きつ過ぎない質感になるようなポイントを探った結果です。

また、フルデジタルサブウーファー『Z25W』も、トランクの積載性を確保すべくボックス容量は小さくしながら、ポートを設けて十分な量感が得られるように工夫しています」

他にも微に入り細に入り、音にとって良いことがすべて施されているという。


■アナログシステムのような“温かみ”が際立つ、ハイレベルなサウンドを堪能できた。

さて、問題はその音だが…。運転席に乗り込み、試聴を開始すると…。

最初に感じたのは、“温かみ”だった。『Full Digital Sound』の音は、どちらかというと、ドライでクールな方向に行く傾向があるようにも思うのだが、このクルマでは、アナログサウンドを聴いているかのようなウォームな音が響いていた。情報量が多く、緻密で繊細であるので、その印象が強くなっているのかもしれない。

もちろん、デジタルの良さも十二分に発揮されている。反応の速さやS/Nの高さ、音の輪郭のシャープさなどが『Full Digital Sound』ならではの利点であるが、そういったところがしっかりと導き出されている。しかし、それだけに終わっていないところが、このクルマのいいところだ。能力を引き出すための取り付け上の試みが、いちいち功を奏しているように感じられた。

低音の質の良さも光っていた。サウンドに厚みがある。量感もあり太く重いのだが、その上でタイトさも確保されていて、レスポンスも速い。

最高峰のアナログのハイエンドシステムと比べて、製品価格の差が大きいわけなので、その水準に達しているはずはないだろう。しかし、明らかに方向性は同一だ。そして、このクルマのシステムを聴いている限り、これ以上を望む気持ちも生まれなかった。狙いは現実のものになっていると実感できた。


■サウンドをステップアップさせる楽しみも、『Full Digital Sound』にはある。

これまで聴いてきた中で、このクルマが一番だとは言わないが、アナログ的なサウンドであるかどうか、という観点でいうと、トップレベルの完成度にあると言って良さそうだ。『Full Digital Sound』は、突き詰めていくと、アナログ的な音に行き着く、ということなのかもしれない。

小川「『Full Digital Sound』はシステムアップできない、と言われますが、確かにユニットの追加、変更という意味ではそのとおりなのですが、取り付けを煮詰めていく、というアプローチでのシステムアップは可能だと思うんです。最初はコストを抑えてごくごく合理的に取り付けて、段階を経ながら取り付け方を見直していくと、先々まで楽しめると思います。やればやっただけ、応えてくれるんです。そんな楽しみ方も提案していけたらいいなと思っています」

至極納得だ。手を掛けるほどに、良さが引き出されるシステムであることを、この『Volkswagen・Golf V』を聴いて理解した。もしも、“MST”まで聴きに行ける距離にお住まいならば、1度『Volkswagen・Golf V』の音を確認しに行ってみても損はない。レベルの高いサウンドが聴けることは間違いない。

利点を多々持つ、Clarion『Full Digital Sound』。どの利点を重視するかによって、いろいろな楽しみ方ができる。そして、取り付けを煮詰めていくことで、音が良化する感動も都度味わえる。音にこだわった楽しみ方も十二分に可能なシステムなのだ。そのことを、今回の取材でつくづく思い知れた。『Full Digital Sound』は懐が深い…。

これにご興味があれば、クラリオンのHP内にある、『Full Digital Sound Special Contents』のページに飛び、『Full Digital Sound 地域別取扱・販売店リスト』からお近くのお店を探してぜひともご試聴を。体感しておいて損はない。

『Full Digital Sound Special Contents』
http://www.clarion.com/jp/ja/special-contents/fds/index.html

《太田祥三》

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