【カーオーディオ・ユニット選びの極意】Section 07「パワーアンプ編」#06 「スペック」について 後編
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今週は先週に引き続いて、各スペックの意味をご説明していく。スペックのそれぞれがすなわち音質性能を読み解く絶対的な資料にはならないのだが、各数字の意味を知っておくことはムダではない。理解しているものもあるとは思うが、この機会に再確認しておこう。
●S/N
信号(シグナル=S)と、雑音(ノイズ=N)の割合を表すスペックだ。日本語にするならば、「信号対雑音」となる。分母がノイズであるので、ノイズに対して信号の数字が大きいほうが、つまり「S/N」の数字が大きいほうが、良いアンプ、ということになる。とはいえ、問題なのは数字よりも聴感上の「S/N感」ではないだろか。音楽を聴いたときに、ノイズを感じないパワーアンプを選びたい。
●ダンピングファクター
簡単に言うならば、「スピーカーを制動する能力」であり、つまりは振動板を止める力、のことを指す。スピーカーの振動板はそもそも動きやすくできているので簡単には止まることができない。しかし、止まってくれないと都合が悪い。音が残ってしまうからだ。だが、制動力のあるパワーアンプであれば(ダンピングファクターの数値が大きいアンプであれば)、振動板をぴたっと止めることが可能となる。結果、リズムの切れが出てきたり、音の輪郭がシャープになってきたりする。
●クロスオーバー
音楽信号を帯域分割する機能のことが「クロスオーバー」と呼ばれていて、多くのパワーアンプには、その機能も搭載されている。ただし、昨今のカーオーディオシステムでは、パワーアンプの前段に「DSP(デジタル・シグナル・プロセッサー)」を置き、その中で帯域分割するか、パワーアンプの後段に「パッシブクロスオーバーネットワーク」を置いて帯域分割するか、この2つのうちのどちらかが採用され、パワーアンプ内で帯域分割させるシステムレイアウトが取られることは少なくなっている。
さて、パワーアンプについての解説はここまで終了とさせていただく。次週からは新たなテーマでお贈りする。お楽しみに。
《太田祥三》
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