【実践! サウンドチューニング】上級編 Part.4「ハイエンドシステムにおけるイコライザー調整の勘どころ」その2
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まず先週は、「ハイエンドシステム」においての「イコライザー」の存在意義、そして“左右独立”で調整できることの意味について考察した。今週は、“バンド数”に関係して、周波数についての基礎知識の1つをご紹介していく。
さて、「ハイエンドシステム」においての「イコライザー」のバンド数は、“30”、もしくは“31”バンドが一般的だ。これはどのくらいの細かさかというと、約1/3オクターブ刻み、ということになる。
というのも、人間の可聴帯域はおよそ20Hzから20kHz。これは音階でいうと、10オクターブ分の広さに相当している。それを30バンドで割ると、つまりは1バンドが約1/3オクターブ、ということになるわけだ。
なお、この機会に覚えておいていただきたいことがある。それは、「オクターブは“かけ算”で考える」ということだ。例えば、20Hzの音の1オクターブ上は2倍の周波数である40Hz。そしてその1オクターブ上が40Hzの2倍の高さである80Hz。その1オクターブ上が160Hz。20Hzの音に対して3オクターブ上の音とは、20Hz+20Hz+20Hz+20Hzではなくて、20Hz×2、40Hz×2、80Hz×2の、160Hzの音、ということになるのだ。
なお倍音とは、基音に対しての整数倍の音である。20Hzの音の倍音は、2倍の40Hz、3倍の60Hz、4倍の80Hz、といういう具合だ。
で、この話に関係した「イコライザー」調整のテクニックを1つ、ご紹介しておこう。それは、「特性が乱れている周波数帯があったら、オクターブの関係になっている部分も疑ってみる」というものである。オクターブの関係であるということは、倍音の関係でもあるわけなので、特性に影響を与え合うことが往々にしてあるのだ。例えば、80Hzのあたりにピークがあったとき、そのオクターブ下の40Hzのあたりに、またはそのさらにオクターブ下の音である20Hzのあたりにピークがあって、それが悪影響を及ぼす、というようなことが起こり得るのだ。つまり、80Hzのところのピークを押さえようとするときに、20Hzを触ってみると解消することがあったりするのである。このことを覚えておくと、「イコライザー」調整がもう1歩上手くなるはずだ。
今回はここまでとさせていただく。次週も引き続き、「ハイエンドシステムにおけるイコライザー調整」について深掘りしていく。お楽しみに。
《太田祥三》
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