【プロショップ直伝!】フロントスピーカー攻略法! Part.8「スピーカーケーブルをあなどるなかれ!」
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なお、今回の講師役は、滋賀県の実力ショップ“ウイニング”代表の中江さんにお願いした。では早速、中江さんにお聞きした話をご紹介していこう。
■ケーブルが信号を円滑に伝達できなければ、スピーカーは性能を発揮しきれない…。
最初に、スピーカーケーブルの重要性からお聞きした。
中江「スピーカー交換をしたら、できればスピーカーケーブルも併せて交換したいですね。ケーブルの品質が音に大きな影響を与えるからです。例えば、スピードの出るクルマを買っても、走る道が砂利道だったら性能が発揮されません。これと同じように、せっかく良いスピーカーを買っても、ケーブルが信号を円滑に伝達できなければ、スピーカーは性能を発揮しきれないんです。
交換するスピーカーがトレードインタイプのエントリーモデルだったとしても、純正のケーブルをそのまま使うのは避けたいですね。市販のケーブルに換えれば、エントリースピーカーであっても、より高音質が得られるはずです」
次には、選び方についてお聞きした。
中江「問題は、どの程度のグレードを選べば良いかなのですが。高級なものになるほど高い音質性能が期待できますから、良い物を選びたいところなのですが、とはいっても、スピーカーの価格より高くなってしまうのも現実的ではありません。ですので、使用するスピーカーやパワーアンプとのバランスを考えて選ぶと良いのではないでしょうか。
ただ、将来的にスピーカーをグレードアップしようとお考えなら、最初からちょっと良いケーブルを選んでおいたほうがいいかもしれません。そうすれば、スピーカーをグレードアップしたとき、ケーブルはそのまま使えますから。
そうしてグレードが定まったなら、次にはその中から、音色の傾向等、好みに合うものを選んでいきましょう。
しかしながら、すべてを試聴して選ぶわけにもいきません。となると、頼りになるのはプロショップのアドバイスです。高音が明るめとか、暗めとか、低音が太いとか、硬いとか、そう言った特長を聞いて、自分の好みに合いそうなものを選ばれるといいと思います」
■できれば左右の長さは揃えたい。さらには、端子類にも気を配るベシ。
続いては、用いる際の注意事項についてもお聞きした。
中江「セオリーはさまざまあるのですが、まずは長さですね、注意したいのは。左右のケーブルの長さは、できるだけ揃えたほういいと思います。最近は、ケーブルの長さによって位相が変わるとも言われるようにもなりました。であるならなおさら、左右で長さが異なると位相ずれが起こる可能性も出てくるわけですから、左右の長さは揃えるべきだと考えています。
ただし、パワーアンプの設置場所の問題等で、長さを揃えることで片側のケーブルが余ってしまうこともあると思います。その際は、余ったケーブルを適切に扱っておく必要が出てきます。ぐるぐると丸めることは避けたいですね。コイル状になることで、音に良くない影響が出る可能性がありますから。どうしても適切に処置できないほど余ってしまうのなら、そのときは短くしたほうが良いでしょうね。
あと、継ぎ足しも避けるべきです。せっかく上等なケーブルを選んでスムーズに音楽信号が流れるようになったのに、それを妨げる存在を入れ込む必要はありません。何らかの理由でどうしても継ぎ足さなければならないことになったら、連結させるパーツにはロスなく信号を伝達できる上等なパーツを使いましょう。端子類についても同様です。そこで流れを淀ませたくはないですから。良いケーブルを使う際には特に、端子類の品質にも気を配りましょう」
■ケーブルについての知識を頭に入れておくと、ケーブル選びがもっと楽しくなる。
ところで、スピーカーケーブルはメンテナンスを必要とするのだろうか。
中江「当店では、年に1度とか、定期的なメンテナンスをお薦めしています。被膜をむいた箇所は1年も経過すると、ある程度酸化も進みます。となれば、伝達効率にも少なからず影響が出てきます。
ですので、数cmでいいですからケーブルをカットして、接合部をリフレッシュさせるといいと思うんです。被膜をむき直して、端子を付け直すと、音にも良い影響が出るはずです。高級なケーブルほど、メンテナンスを行う効果は大きくなりますね」
最後に、スピーカーケーブルの攻略法として、こんなアドバイスをいただいた。
中江「スピーカーケーブルにとどまらず、ケーブルの導体素材のことや構造について、いろいろと調べて知識を持っておくのも良いと思います。導体素材に無酸素銅(OFC)が使われていることとか、純度を示す言葉として“7N”とか“8N”があることとか。構造的には、導体がひねってあったり、太さの異なる導体が使われていたり等々、タイプ違いがあったりもします。
そしてそれぞれの特長を合わせて知っておくと、ケーブル選びがしやすくなりますし、選ぶ楽しみも深まっていくと思うんです。ショップで説明を聞くときにも、納得感が違ってきますし。ご参考にしていただけたらうれしいですね」
いかがだったろうか。とにもかくにも、購入した市販スピーカーの性能を引き出すためには、ケーブルについての配慮が必要であることは確かなようだ。せっかく購入したお気に入りのスピーカーなのだから、そのポテンシャルを最大に発揮させたい。
市販スピーカーに変えれば、音の質感は間違いなくアップする。ここまでご紹介してきた攻略法を実践して、市販スピーカーがもたらしてくれるグッドサウンドを、思いっきり満喫しよう。
《太田祥三》
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