ミニカーを楽しもう!オートアート / マツダ コスモスポーツを徹底検証
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コスモスポーツは1963年10月に開催された第9回全日本自動車ショー(現在の東京モーターショー)の場で、世界初のロータリーエンジン搭載量産車として、プロトタイプがお披露目された。当時のマツダ社長松田恒次氏が会場に直接乗りつけるという演出の効果も相まって、その未来的な美しいデザインが来場者を大いに驚かせた。
翌1964年のモーターショーで華々しく正式デビューを果たし、1967年5月にはついに販売が開始された。
“ついに”と表現したのには理由がある。それは、ロータリーエンジン市販化までの道のりは苦難と挑戦の連続だったことに起因する。ロータリーエンジンの原理は実は古くから存在しており、目新しいものではなかった。しかし、いざ実用化するとなると非常に難しく、世界で唯一ドイツの技術者フェリクス・ヴァンケルの発明により1957年に西ドイツのNSU社とWankel社との共同研究により開発に成功していた。
その後それを基に、世界中の自動車メーカー各社も、自動車生みの親であるメルセデスベンツや、日本ではトヨタ、日産が量産市販化に向けた研究を開始するものの、耐久性や燃費性能などの面からついに市販化に至ることはなかった。そんな中で唯一マツダだけがコスモスポーツで市販化に漕ぎつけたのである。
マツダは、1961年から本格的にロータリーエンジンの研究開発を開始し、すぐに最大の難関であるチャターマーク問題で行き詰る。これはハウジング内壁にローターシールにより描かれてしまう波状の摩耗のことで、研究者を悩ませたことから悪魔の爪痕とまで呼ばれていた。他メーカーもこの問題をクリアできずに諦めてしまった例が多い。
この問題にマツダは粘り強くトライアンドエラーを繰り返し、最終的にはカーボンとアルミニウムによる複合材を用いた、高強度で低摩耗性に優れたシール材の開発に成功、この問題を克服した。この出来事はその後のマツダを「技術のマツダ」として世界中に知らしめ、今日の繁栄の礎を築く要因になったといえる。裏を返せば、それ程までにこのコスモスポーツはマツダの社運を賭けた一台だったのである。
発売後もマツダは開発の手を緩めることなく、1968年には難攻不落で有名なドイツのニュルブルクリンクで行われた84時間耐久レース「マラトン・デ・ラ・ルート」にて総合4位で完走し、レースにも耐え得る耐久力を備えていることを自ら証明した。そして、これらの活動はその後のロータリーエンジン搭載車のルマン24時間レース総合優勝へとつながっていく。
今年2017年は、そんなマツダの情熱と執念により成し遂げられたコスモスポーツ発売から記念すべき50周年の節目にあたる。現在まで衰えることのない人気や世界で初めてロータリーエンジンの市販化に成功したことからも、自動車史にその名を刻むべき名車であり、オートアート社のミレニアムシリーズに相応しい題材と言える。
それでは、本モデルがそんな実車をどのように再現しているのか、細部まで見ていこう。
本モデルは、68年7月から72年まで833台が生産された人気の後期型「L10B」を対象にモデル化している。この後期型でスペックは、2ローター(491cc×2=982cc)128馬力まで強化され、当時としては驚異的な高性能を誇った。
全景からは、当時のスポーツカーのコンパクトな佇まいやマスの小ささが、貧相になることなくほどよく表現されていることがわかる。また、イタリア語で宇宙(=コスモ)と名付けられた未来的なフォルムが非常に美しい。後期型の特徴であるラジエータグリルの形状やブレーキ冷却用ダクトも見事に再現。前後のバンパーやホイールセンターキャップ、各ガラスサッシのメッキ部品のクオリティの高さが目を引く。
お楽しみのエンジンルームに目を向けると、スポーツカーとしては例外的なほど空きスペースが大きい。これはロータリーエンジンのメリットの一つで、エンジン本体が非常に小型軽量なことに由来し、当時はまだ一般的ではなかったフロントミッドシップにも拘って設計されていたことがよくわかる。
室内を覗いてみると、木製のステアリングやシフトノブ、ファブリックのシートなど、一目見てそれとわかるように、素材感のリアリティが非常に高い。
コスモスポーツについては、今回紹介したモデル以外にもオートアート社からは下記のバリエーションがリリースされている。読者の皆様の思い入れがあるモデルも見つかるのではないか。ちなみに私も、小学校からの帰宅時間にテレビで再放送されていた『帰ってきたウルトラマン』が大好きで、防衛チームのマットビハイクルを見て、大人になったら必ずこんなカッコいい車に乗りたいと思っていたことを思い出した。
●マツダ・コスモスポーツ (ブラック)
今回紹介したモデルの色違いとなるモデル
●マツダ・コスモスポーツ・ポリスカー (広島県警)
●帰ってきたウルトラマン 「マット ビハイクル」
抜群の再現度を誇る今回紹介したモデルカーを手に入れて、ぜひ、コスモと名づけられたデザインの美しさやマツダのロータリーエンジンに賭けた情熱と執念を感じ取って欲しい。皆様も魅了されること間違いなしである。
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【ミニカー検証】18分の1の宇宙を見る…オートアート / マツダ コスモスポーツ
《山里真元》
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