【カーオーディオ・マニア】デッドニングの意味や効果とは? | CAR CARE PLUS

【カーオーディオ・マニア】デッドニングの意味や効果とは?

特集記事 コラム
“デッドニング”部材の一例。フェリースソニード・DS-1.5WP。
“デッドニング”部材の一例。フェリースソニード・DS-1.5WP。 全 1 枚 拡大写真
カーオーディオに興味を持ちつつ、しかしながら、“分かりにくさ”を感じて足を踏み入れられないという方に向けて、それを解消していただくための短期集中連載をお贈りしている。今回はその7回目として、“デッドニング”をテーマにお届けする。


■「ドア内部の音響的なコンディションを整える」ことから始めるのもアリ。

カーオーディオの始め方を、いろいろとご紹介してきた。今回もそのうちの1つのアプローチとして、“デッドニング”について考察していく。

なおこの方法は、これまでの方法とは少々タイプが異なっている。異なるポイントは、“メカ”を導入するのではない、というところ。“作業を施す”ことで音を良くしていこうとする作戦なのだ。その作業の名前が、“デッドニング”というわけだ。

さて、“デッドニング”とは何なのか。広義には、車内を静かにする作業のことも“デッドニング”と呼ばれたりもするのだが、「ドア内部の音響的なコンディションを改善しようとする作業」のことだけを指す場合も多い。今回は、その部分についてだけ考えていく。

なお、この「ドア内部の音響的なコンディションを改善しようとする作業」のことは、“ドアチューニング”とも呼ばれる。

実を言えば、“ドアチューニング”と呼んだほうがしっくりくる。というのうも、そもそも“デッドニング”という言葉は、「音を響きにくくする」という意味であり、確かにドア内部で悪さをする音を止めたり、吸い取ったりしていくのだが、目的はあくまでも音を良くすることである。目的に即した呼び方をしようと思うなら、“ドアチューニング”のほうがふさわしいとも言えるのだ。


■鉄板の“ビビリ”を止めると、音がスッキリする。

続いては、具体的な作業内容をご紹介していこう。主には以下の4つが行われる。1・ドア内部の鉄板の共振を止める作業、2・スピーカーの裏側から発せられる音を閉じ込める作業、3・スピーカーの裏側から発せられる音を吸ったり拡散させる作業、4・内張りパネル内の音を吸い取る作業、以上だ。

ただ、“デッドニング”は奥が深く、ショップごとでやり方が異なっている。使用するスピーカーのタイプや、ドア内部の構造の違い等でもやり方が変わる。まさに“分かりにくい”度合いの高い項目と言っていい。

それを“分かりやすく”するために今回は、基本的なことに絞って話を進めていくこととする。

ところで、「スピーカー交換」について解説した回で、スピーカーを交換するのなら、何らかの“デッドニング”作業も同時に行ったほうが良いとご説明した。今回はその作業を、「スピーカーを交換する前に」やってしまおうとお薦めしている。果たして、スピーカーが純正のままの状態でこれを行って、効果があるのだろうか…。

答はもちろん、イエスだ。効果はある。

そもそも純正スピーカーに多くを望みにくいので、大がかりな作業はしなくても良いだろ。しかしながら、先に挙げた「1」の「ドア内部の鉄板の共振を止める作業」については特に、スピーカーが純正のままであったとしても、一定の効果が見込める。もしも、大きな音量で音楽を鳴らすと鉄板からビビリ音が聴こえてくると言うのなら、それを止めるだけでも、状況は結構大きく改善されるのだ。

または、目立ってビビリ音が出ていなくても、なんらか鉄板が振動している可能性は高い。スピーカーの振動板と同じように、板が震えると多かれ少なかれ音が発生してしまう。その音が、スピーカーから発せられる音を曇らせている可能性は多いにある。ビビリ音としては小さかったとしても、鉄板の振動は止めておいたほうがベターなのだ。


■コツは、「左右対称」、「ひたすら圧着」などなど。

さて、鉄板のビビリを止めるにはどのような作業を行えば良いのだろうか。それをするためには、“制振材”という部材を用意して、それを共振しそうな場所に貼っていく。これでOKだ。

ちなみに、“デッドニング”は奥深いと説明させていただいたが、その反面、DIYで行っても楽しめる分野でもある。難易度は低くはないが、なんらか行えばそれなりに音が変化していくので、達成感が高い。そして、創意工夫を発揮することで効果も変わってくる。やり甲斐ある分野なのだ。

実際に作業を行う際には、まずはドアの内張りパネルを取り外すのがハードルとなる。ただ、これをクリアできるとDIYの楽しみの幅がぐっと広がる。できることが増えてくるからだ。興味があればトライしてみよう(パネルの破損にはくれぐれもご注意を)。

なお、コツをいくつかご紹介しておこう。最初に、“デッドニング”を行う上での鉄則から。それは、「左右で施工方法を同じにする」である。左右でコンディションが変わってしまうことは、ステレオの原理から言えば、あってはならないことなのだ。型紙を作ってから左右で同じ形に制振材をカットして、左右のドアで対称となるように貼っていこう。

次のコツは「強力に圧着する」である。貼ったあとから剥がれてくることは絶対に避けたいし、それ以前に、しっかりと貼り付いていないと“制振”の効果が弱まってしまう。さらに言えば、貼る箇所の“脱脂”もくれぐれも念入りに行おう。油汚れが残っていると剥がれやすい。作業前のクリーニングは非常に重要だ。くれぐれもお忘れなきように。

さて、今週は以上とさせていただく。次回もカーオーディオの始め方のご紹介を続けていく。お楽しみに。

カーオーディオの“分かりにくさ”を“分かりやすく”大解説 その7「デッドニング」

《太田祥三》

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