【編集部員が行く!突撃ショップレポート】プロのお仕事お見せします!!…磨き体験編 その1
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ここでは、普段どのような作業が行われているのか?
そんな疑問にお答えする企画「編集部員が行く!突撃ショップレポート」の第2弾を、本日からお届けします。
第1弾は「プロ流洗車術」と題して、ショップが行う洗車をお伝えしましたが、今回取り上げるのは…
「磨きの技術」です!
コーティング施工の前などに行われるこの作業は、「その後の仕上がりの良し悪しが決まる」とプロが口を揃える、最重要工程です。
そんな施工の様子を、今回も編集部員が間近で垣間見させてもらいました!
「理論」「技術」そして「情熱」
その全てをヒシヒシと感じることができた取材風景を、レポートします。
洗車編同様、編集部員も作業を経験しましたが、その差はもちろん歴然。
単純にプロのスゴさを感じてもらえたら幸いです。
そして、磨きを終えたクルマの仕上がりは…思わず目を疑うものでした。
どれほど変化したのか。その辺りも楽しみに、ぜひご覧ください!
それでは「磨き編」スタートです!
◆恐るべき『母ちゃん号』の汚れっぷり
前回、埼玉県川口市にあるナインティーンフィフティさんに潜入して体験したプロ流洗車では、「あんなに腰が入っていない洗車姿は初めて見た」とか「とりあえず顔に余裕がなさすぎ」など、多くの励ましの声(?)をいただいたワタクシ(詳細は洗車体験編を参照)。
忙しい中、スタッフの方がマンツーマンで教えてくれた洗車技術を無駄にはしないよう、その後もスキルアップに勤しんでいる最中だ。手塩にかけて育ててくれた母親のクルマを洗車、なんていう親孝行を実践できたのも前回の指導あってのもの。ナインティーンフィフティさん、ありがとうございました!
しかし、この『母ちゃん号』、さすが母親世代が乗り回しているだけあって、汚れが相当に手強い。なんせ、洗車は新年を迎える前のみ行われる“年一行事”。「ホコリ、水アカ、鳥のフン上等!」と言わんばかりの野生児ボディを誇っているのだ。
ゴシゴシ
…
ゴシゴシゴシゴシ
……
ゴシゴシゴシゴシゴシゴシ
………
「いや、これだけやっても落ちないんかい!」
数々の汚れがミルフィーユ状態にボディにまとわりついている母ちゃん号。こうなると、両腕の筋肉がぶっ壊れる位の力でこすっても、汚れは落ちません。
「困ったな」と思わず口にした時、ある閃きが頭に降臨した。
「このクルマ、磨くとどうなるのかな?」
そう思った著者は、さっそくカーディテイリングショップに取材を交渉。そして、今回の体験記事が実現したのだった。
◆「神級研磨師」から磨き術を伝授してもらいました!
今回、取材に協力してくれたのは東京都板橋区に店舗を構える「CAR POLISH AUTHORITY(カーポリッシュオーソリティ)」さん。東武東上線・大山駅のほど近く、川越街道から一本入った場所という好立地にあるプロショップだ。
無理を承知でお願いしたところ、「じゃあ、うちで磨き体験してみますか!」と快く受け入れてくれたのが、同店の横山宗一朗代表だ。爽やかな笑顔で、気さくに対応してくれた横山代表だが、その経歴を聞くとスゴイ!
現在35歳の横山代表は、21歳からカーディテイリング業界で活躍。当時勤めていた会社では、若くしてカーケア部門の管理職を任されるなど期待を背負っていた。
2011年から1年間は、香港で施工や現地スタッフの技術教育を行った実績も持つ。その際には、現地の雑誌にも取り上げられるほど注目を集めた存在だ。その時の記事を見せてもらうと、横山氏の仕事ぶりを紹介する原稿に「日本神級研磨師!!」「日本最頂級技術」という見出しが踊っていた。
日本に帰国後、「徹底的にこだわった仕事がしたい」という思いから2015年に独立。現在は高級車を中心に施工し、多くのファンを持つ仕事人だ。
この日はカーディテイリングジャーナリストの阿部雄一氏(アクティブガレージ代表)も取材に同席してくれたのだが、「若手でも屈指」と横山代表の磨きの実力を評価する。
「そんな人の前で恥ずかしいことはできないな…」
ここで兜の緒を締め直したのだった。
◆ポリッシャーについて教えてもらいました
拝借した母ちゃん号でショップに乗り付け、意気揚々と門を叩いた著者。さっそく水アカやらなんやら、汚れの膜が張った母ちゃん号を見てもらい感想は聞くと、「なるほど…普段なら断わりますねー(笑)」という“先制パンチ”をいただくことに。しかし、すぐ「もちろん、キレイにしますよ」という心強い言葉が口から飛び出した。
さらに「磨き、教えて欲しいっす!!」と意気込んで来たこの男は、もちろんこれまでにクルマを磨いた経験はない。『野生児ボディを誇るクルマ 』と『 どポンコツ素人』のコラボレーション。横山代表の心中はお察しするが、ここまで来たら絶対に、その技術を見せてもらいたい。そして学びたい。ということで、“免許皆伝”への第一歩として、まずは座学で基礎知識を教えてもらった。
最初に伝授してもらったのは、磨きの際に不可欠な道具「ポリッシャー」についてだ。
ではここで、その勉強の賜物を披露させてもらいます。
ポリッシャーは大きく分けると3種類がある。それが「シングルアクション」、「ギヤアクション」、「ダブルアクション」だ。本体を見ただけでは分からないが、その違いは回転部分の動きにある。
・シングルアクション(研磨力★★★、扱いやすさ★)
パッドの回転方向が一方向。研磨力に優れるが、磨きキズなどが付きやすく扱いが難しい
・ギヤアクション(研磨力★★、扱いやすさ★★)
パッドが半回転の往復を繰り返しながら、全体としては円形に回転。シングルアクションと比べると研磨力は弱くなるが、磨きキズが付きづらく扱いやすい
・ダブルアクション(研磨力★、扱いやすさ★★★)
パッドが小さな円を描きながら、全体として円形に回転。研磨力は、3種類のなかで一番弱い。仕上げなどの際に使用
一言でポリッシャーといっても、このような違いがある。…とはいえ、回転のイメージを描くのは難しかったので、著者は上記したように、特徴と用途を頭に入れさせてもらいました。最初にシングルポリッシャーで一気にキズを落とし、続いてギヤアクションで中間仕上げ、最後にダブルアクションで最終仕上げを行う、という流れが一般的だそうだ。
◆プロのこだわりの一端を垣間見る
そして本体に、研磨するための「バフ」を装着。「コンパウンド(磨き剤)」をつけ磨き開始、というのが準備から作業の一連の流れだ。そう言うと簡単に聞こえるが、この準備もまた奥が深かった。
バフの素材はウール、ウレタン、タオル…と種類が豊富。さらにコンパウンドも粒子が粗いものから細かいものまで多種多様だ。ポリッシャー、バフ、コンパウンドの組み合わせは「何千、何万通りあると思います」(横山代表)とのこと。その無数の組み合わせのなかから、車種やクルマの状態に合わせ最良なバランスに調整するのがプロの仕事だ。
より良い組み合わせを見つけるためにやることは、日々の研究が不可欠となってくる。「良し悪しを試すために買った商品は無数とありますよ。でも『これは違うな』と思ったら、もう使いませんね」とサラッと言い放つ横山代表。著者ならば「せっかく買ったしねー」なんて言いながら、使えなくなるまでは使用してしまいそうだが、そんな邪(よこしま)な気持ちは横山代表からは一切感じられなかった。
「 “徹底的なこだわり”は、こういう部分にも現れるんだな」
脱帽ポイントの1つだった。
◆いざブースへ!
「百聞は一見にしかず。 この後の説明は実際に作業をしながらやりましょう!」
ひとしきり説明を受けた後、横山代表…いや師匠からゴーサインが出される。
かかり気味のサラブレッドのごとく、逸る気持ちだけはいっちょまえな著者。目の前のゲートが空いたら、そりゃ飛び出すしかない。
「では、ブースに行きましょう!」
いざ出陣だ!
ポリッシャーという武器を片手に、席を立つ著者。ブースに飛び出す時に頭に流れていたのは、映画『アルマゲドン』の主題歌でおなじみ、エアロスミスの「I Don't Want To Miss A Thing」だ。そして、その背中は、地球を救うために飛び立つ時のブルース・ウィルスのそれを彷彿とさせていたのではないだろうか。
さて、このダメ操縦士は、母ちゃん号を救うことができるのか?
その様子は…また次回お伝えします!
~次回予告~
座学を終え、すっかりポリッシャーと心を通わせたつもりのワタシ。しかし、『磨き』の難しさを知るのは、ここからだった…。周囲の人々からの「センスねぇー!」、「こりゃダメだ!」という“励ましの声”を背に、磨く、磨く、とにかく磨く!!
次回
「再び襲う洗礼… 横山さん!ポリッシャーが思い通りに動いてくれません!」
ぜひともご覧ください!
◆今回お邪魔した店舗◆
『CAR POLISH AUTHORITY(カーポリッシュオーソリティ)』
“新車以上の最高の輝き”を愛車にもたらすことをモットーに、多くの高級車を扱うガラスコーティング専門店。「こだわった仕事がしたい」という思いから、海外での施工やインストラクターの経験なども持つ横山宗一朗氏が2015年に設立。ハイレベルな施工のために必要な環境が揃ったこだわりの店舗で、最高の仕事が受けられる。
〒173-0025 東京都板橋区熊野町39-6
TEL:03-6905-8459
FAX:03-6905-8489
※完全予約制なので、施工を希望する場合は事前にご連絡を
《まみー》
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