【6輪生活】新型スーパーカブ…「丸型ランプ復活」でフルモデルチェンジ!
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スーパーカブの開発責任者を務める本田技術研究所二輪R&Dセンターの亀水二己範主任研究員は「お客様の要望するカブ、日本の原点でいうと丸だった。現行モデルは法規対応、ASEANモデルとの共用も含めて角型に統一し、明るさを法規的に通してきた。今回、LEDランプの採用で丸型でも法規適用の光量を出せるということになり、デザインを含めて原点回帰で丸型に戻った」と明かす。
さらに「丸型に戻ることで、逆に『ASEANとの共通性は?』という話になってくるが、だんだんASEANも市場が成熟してきて、丸型のスーパーカブの人気が徐々に伸びてきている。やっと加飾の無い日本のカブの形がASEANでも受け入れられる時代になってきた。そうした背景もあって今回、日本は丸型にしても良いのではないかということになった」とも話していた。
今回の全面改良は平成28年排ガス規制への対応もきっかけのひとつになっている。新規制はユーロ4に準拠して一酸化炭素などの排出量を従来の半分程度に減らすというもので、とりわけ小排気量で、しかも国内独自のカテゴリーとなる50ccクラスで適合させるにはコスト的にも厳しい内容だ。このためホンダ『モンキー』を始め他社でも存続を断念した50ccモデルは少なくない。
スーパーカブの商品企画を手がけたホンダモーターサイクルジャパン企画部商品企画課の荒木順平チーフは「原付1種(50cc以下)は国内独自のカテゴリーであるかもしれないが、原付2種(50cc超~125cc)の『スーパーカブ110』の倍の販売計画台数を設定しているくらい、まだまだ原付1種の市場規模は大きい」と指摘。
その上で「国内市場は若年層の2輪離れが進んでいる。今回のスーパーカブシリーズではとくに50ccでパールシャイニングイエローといったビビットなカラーリング展開することで、若年層の掘り起こしをしたい。50ccもまだまだ力を入れてやっていく」と、50ccクラス存続の意義を強調した。
また開発責任者の亀水氏は「エミッション対応で出力を落とさずに規制に対応するのが難しかった。50ccは110ccに比べると圧倒的にパワーがないので、運搬時に坂道をしっかり登ることを基準にして、その分、燃費は若干落ちるが、とにかく出力は維持した」と開発の苦労を振り返った。
現行モデルは新大洲本田摩托有限公司の上海工場で生産したものを日本に供給していたが、今回の全面改良を機に国内向けモデルの生産が再び熊本製作所(熊本県大津町)に戻る。すでに熊本製作所では新型の生産が立ち上がっている。
ホンダの二輪事業本部長を務める安部典明執行役員は「50ccクラスはガラパゴス化して世界に類をみないセグメントになっている。そこに環境規制が入ってくると、ますます世界とは違う仕様を造らなければならなくなる。ならば日本で売るものは日本で造ろうということで戻ってきた」と、生産を移管した背景を語る。
さらに「それによって日本側は、新たに様々な仕様なり使い勝手を加えた乗り味みたいなところを発展させる。一方、中国においては、生産能力に対して少量にも関わらず複雑である日本向けがなくなることで、内需と輸出の競争力を上げることにつながる。グローバルで考えた場合、この移管はメリットがあると判断した」とも述べていた。
新型スーパーカブの価格は50ccクラスが23万2200~25万3800円、110ccクラスが27万5400~29万7000円で、シリーズ合計で年間2万200台の販売を見込んでいる。
【ホンダ スーパーカブ 新型】丸型ランプ復活、50ccクラス存続…生産も熊本に回帰
《小松哲也》
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