【カーオーディオ・マニア】「クラス」について知る…製品選びの“傾向と対策”「パワーアンプ編」その8
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さて、今回テーマとするパワーアンプの“クラス”とは、グレードという意味ではなく、「働かせ方」の分類である。ざっくり言ってつまりは、“仕組み”の違いによる分類、ということになる。
もう少し専門的な言葉で言うと、“アイドリング電流の大小による分類”、である。メカニズムについてこれ以上詳しく説明するとスペースが足りなくなるので、とりあえずは、「電気をたくさん使うか否か」、という区別であると、まずはイメージしていただきたい。
どのような“クラス”があるのかを解説していこう。まずは「A級」があり、当“クラス”は、“もっともアイドリング電流が大きい”タイプとなっている。しかしながら電気をたくさん必要とするだけあって、音は高品位である傾向が強い。ただし、電気をたくさん使う割には出力は小さめだ。効率があまり良くない、というわけだ。
続いて「A級」の対極として「B級」がある。“アイドリング電流は小さい”ものの、歪みが出やすい。しかし効率は良いので、出力も大きい。
さらにもう1つ、これらのいいとこどりをしたものとして「AB級」がある。音質も良好で、かつ出力もある程度大きく出せる(もう1つ、「D級」があるのだが、これについては次週に詳しく解説する)。
上記の3タイプのうち、カーオーディオにおいてもっとも一般的なのは「AB級」だ。逆に「B級」アンプはほとんど見られない。対して、「A級」アンプはちらほら存在している。
なお「A級」アンプは、そのほとんどがハイエンドモデルだ。ハイエンドアンプの中には、効率が悪くとも電気をたくさん消費しようとも、音を優先させて敢えて「A級」動作をさせているモデルが一部ある、というわけなのだ。
とはいえ、「A級」アンプが絶対的に音が良いのかというと、必ずしもそうではない。「AB級」の名機もあまたある。「何級」であるかは、高性能か否かを量るメジャーにはならないのだ。自分が好きな音かどうかは聴いて判断するしかなく、「何級」かは参考程度に把握しておけばいいだろう。
ただ、欲しい! となったそのモデルが「A級」だった場合には、いろいろと覚悟が必要になる。導入の際には、電源強化策や放熱対策等々を盛り込む必要が出てくるのだ。「A級」アンプはデリケートなタイプであるということを、くれぐれもお忘れなきように。
今週はここまでとさせていただく。次週も「クラス」についての考察を続けていく。お楽しみに。
【カーオーディオ】製品選びの“傾向と対策” Part.2「パワーアンプ編」その8 “クラス”について
《太田祥三》
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