【カーオーディオ・マニア】フロントスピーカーをどう鳴らす?… 第5回 ツイーターの取り付け方 後編 | CAR CARE PLUS

【カーオーディオ・マニア】フロントスピーカーをどう鳴らす?… 第5回 ツイーターの取り付け方 後編

特集記事 コラム
ツィーターの「Aピラー」への取り付け例(製作ショップ:サウンドステージ)。
ツィーターの「Aピラー」への取り付け例(製作ショップ:サウンドステージ)。 全 2 枚 拡大写真
カーオーディオシステムの主役とも言えるフロントスピーカー。その“鳴らし方”を研究している当短期集中連載。第5回目となる今回は、前回から引き続いてツィーターの取り付け方について解説していく。当回では、より手の込んだインストール方法について考察していく。


■ツィーターを高い位置に取り付けると、音楽全体が目の前から聴こえてくる。

前回は、「純正位置」と「ダッシュボードの上」にツィータを取り付ける場合の利点・不利点について解説したが、今回はそれらよりもスペシャリティの高い取り付け方について考えていく。それは、「Aピラー」または「ドアミラー裏」に改造を伴いながら取り付ける、というものだ。それぞれのメリットやデメリット等々を紹介していく。

まずは、「Aピラー」に取り付ける場合について考えていこう。

最初に、メリットから紹介していく。最大のメリットはズバリ、「ツィーターを高い位置に取り付けられること」である。そうすることで「音が目の前から聴こえてくる」ようになる。つまりはステレオイメージを体感しやすくなるのだ。

ところでツィーターを高い位置に取り付けたとしても、中低音はドアに取り付けられたミッドウーファーから放出される。にもかかわらずサウンド全体が目の前から聴こえてくるのはなぜなのだろうか。

そのメカニズムは以下のとおりだ。音は、音程によって“指向性”が変わってくる。高くなるほど“指向性”が強くなり、低くなるほど“指向性”が弱くなる。そして“指向性”が高い音ほど、どこから鳴っているのかが分かりやすい。

ゆえに、高音を再生するツィーターを高い位置に装着すると、耳は高音に反応して音の出所が高いところにあると感じ取る。結果、“指向性”が弱い中低音も高音につられて高い位置から出ているものと錯覚する。つまりは、高い位置から鳴っている高音に中低音が引き上げられるような形となるのだ。

この現象をより効果的に現出させるためには高音と中低音がしっかりと“繋がっている”ことが前提となるのだが、それができている場合には、ツィーターを高い位置に設定することで音楽全体が目の前から聴こえてくるようになる、というわけなのだ。


■ミッドウーファーとの距離が離れるので、サウンドコントロールの難易度は高まる。

さらには、「見た目がカッコ良い」こともメリットだ。純正の状態を保ちたいと考える場合にはその限りではないが、カーオーディオプロショップに「Aピラー」への取り付けをオーダーすれば、必ずやカッコ良く仕上げてくれるはずである。自在な造形と素材の使い分けにより、唯一無二のピラーを手にできる。

ただし、サウンドのコントロールは簡単ではない。ドアに取り付けるミッドウーファーとの距離が離れるので、サウンドの一体感が出しづらくなるのだ。そして車格が大きくなるほどに難しさは増していく。ミニバンともなると、ミッドウーファーとツィーターの距離がかなり離れてしまうので、上手に制御しないと“中ヌケ”という状態にも陥りかねない。

とはいいつつも、これについてもカーオーディオプロショップならば対処は可能だ。サウンドチューニング機能を駆使するなどしてデメリットを消し、メリットばかりを引き出してくれるはずである。

さて、続いては「ドアミラー裏」への装着について考えていこう。これについても同様に、まずはメリットを紹介していく。1つ目として挙げるべきは、「Aピラーに取り付けるのと比べて費用を低く抑えられること」である。加工を施す面積が少なくてすむので、その分手間が掛かりにくく、結果比較的に低コストで仕上げることが可能となる。

ただし、そもそものスペースが狭いがゆえに、大型のツィーターは装着しづらい。もしもチョイスしたスピーカーのツィーターが大ぶりなタイプであったら、装着位置は自ずと「Aピラー」となるだろう。


■“広がり”を出しやすいのは「ドアミラー裏」、“奥行き感”を出しやすいのは「Aピラー」?

次いで、「ドアミラー裏」に取り付ける際の音的な利点・不利点について考えていこう。利点の1つ目として挙げるべきは、「Aピラー」に取り付けるときと同様に「サウンドステージを上げられること」である。より高さを稼げるのは「Aピラー」であるが、「ドアミラー裏」でも十分に音像を上げることが可能となる。

さらには、「左右の“広がり”を出しやすいこと」も利点だ。例えばツィーターをダッシュボードの上にポンと置く場合には、運転席側のツィーターはほぼ目の前に位置することになるが、「ドアミラー裏」に装着するとそれよりも“外側”に位置させることが可能となる。結果、サウンドステージを横に広げやすくなるのだ。

ちなみに、“奥行き感”の出しやすさについては「Aピラー」の方に分がある。「Aピラー」に装着する場合はある程度奥まったところにツィーターが設定されることになるので、サウンドステージの奥行き方向を表現しやすくなるのだ。

とは言いつつも、“左右の広がり”も“奥行き”も、サウンドチューニング機能を駆使することでコントロール可能だ。であるので、「ドアミラー裏」に付けると“奥行き感”が出せない、ということではないのでご心配なきように。

なお、「ドアミラー裏」に取り付ける場合、リスナーに対しての左右の距離差が大きくなるので、その点でもコントロールはしにくくなる。音の到達タイミングの差が増え、音量差も大きくなる。近いほうのツィーターの音がより目立つこととなる。

しかしこれについても、サウンドチューニング機能を活用すれば対処は可能だ。「タイムアライメント」を使えば近い方のツィーターに対して音を発するタイミングに遅延をかけることが可能となり、近い方のツィーターの音量を下げればバランスを整えることも可能となる。

というわけで、コントロールのしやすさについては「Aピラー」にも「ドアミラー裏」にも一長一短があり、どちらが良いとは一概には言い難い。どちらに付けるにせよ、デメリットを消し、かつメリットを引き延ばすような調整を施せばOKだ。

今回はここまでとさせていただく。次回もさらにフロントスピーカーの鳴らし方についての深掘りを継続する。お楽しみに。

フロントスピーカー、アナタならどう鳴らす? 第5回「ツイーターの取り付け方<後編>」

《太田祥三》

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