旧ポルシェ車を蘇らせるポルシェクラシックとは…ボディの研磨とコーティングに350時間
レストア
カスタマイズ
カレラGTは2003年3月、ジュネーブモーターショー2003でデビューした。プロトタイプレーシングカー譲りの5.7リットルV型10気筒ガソリンエンジンを、1380kgという軽量カーボンファイバー製ボディのミッドシップに積んだ2シータースポーツカーだ。
カレラGTは、最大出力612ps/8000rpm、最大トルク60.2kgm/5750rpmを発生する。6速MTを介して、0~96km/h加速3.9秒、最高速330km/hという動力性能を発揮する。プッシュロッド方式のダブルウイッシュボーンサスペンションに、PCCB(ポルシェ・セラミック・コンポジット・ブレーキ)と、足回りもレーシングカー流儀。カレラGTは2004~2006年に1270台が生産され、ドイツ本国での価格は39万ユーロ(当時の為替レートで約5070万円)だった。
◆あらゆる旧ポルシェ車に対応できるポルシェクラシック
ポルシェは今回、カレラGTのフルレストア&カスタマイズプロジェクトが完成したと発表した。このプロジェクトは、ポルシェの旧車部門、「ポルシェクラシック」が手がけたもの。ポルシェクラシックは、ポルシェのあらゆる旧車に関して豊富なノウハウを持ち、レストアや修理、パーツ供給などを行っている。ポルシェ クラシックでは約5万2000点のパーツを揃えている。
スペアパーツの在庫が少なくなったり在庫切れになったりすると、オリジナルのツールを使って複製される。そのひとつの手法が3Dプリンターだ。ポルシェによると、3Dプリンターで製造されるパーツは、技術的にも外観的にも、全てオリジナルの仕様に対する忠実性という要件を満たしているという。
◆駆動系やシャシーをオーバーホールし、全部品をチェック
今回のカレラGTは、ポルシェクラシックが米国在住のコレクターの依頼を受けて取り組んできたプロジェクトだ。1台のカレラGTのエンジンやトランスミッション、シャシーコンポーネントをオーバーホールし、すべての部品を徹底的にチェックし、必要に応じて修理または交換しながら、再び組み上げた。
中でも、古いカーボンファイバー部品のコーティングは黄色くなり、色あせてしまう。そこで、ポルシェクラシックは、モノコックを含むすべてのカーボンファイバー部品を手作業で研磨して再コーティングした。この作業に、350時間を費やしたという。
◆ボディカラーはグリーンに変更。ホイールには銀を使用
フルレストアの次の段階が、カスタマイズだ。このカレラGTは、オーナーの好みを反映して、オークグリーンメタリックに塗り替えられた。深いグリーンのボディカラーは、新車当時のカレラGTでは選択できなかった色だ。
足元には、5本スポークのマグネシウム製ホイールを装着した。スポーク部分はゴールド、リム部分はシルバーで仕上げられた。このリムには貴金属の銀が使われており、銀の層を重ねることにより、クロームのように見せることを可能にしているという。また、銀は酸化しやすいため、クリアラッカーの保護コーティングが施された。
さらに、ゴールドは、ブレーキキャリパー、エンジンルーム、インテークハウジング、インテリアにも使用された。ステアリングホイールの上部には、グリーン&ゴールドのストライプを添えている。
ボディの研磨とコーティングに350時間…ポルシェ カレラGT をレストア&カスタマイズ
《森脇稔》
この記事の写真
/