知っているかどうかで“安心”が段違い! 修理の世界で広がりつつある「テュフ」認証
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コラム
※1:2017年度 国土交通省 自動車分解整備事業の認証工場
※2:2019年1月 日本フランチャイズチェーン協会 加盟店の店舗数
では、カーオーナーはその膨大な整備工場の中から“しっかりと愛車を直してくれる工場”をどのように選べばいいのだろうか。ホームページや口コミなどを見て自分で探す場合はもちろん、損保会社の指定工場や愛車を購入した自動車販売店に預ける場合でも、工場の良し悪しというのは素人目には分かりづらく、“そこで大丈夫か”という不安は拭いきれない。そこで頼りになるのが、専門機関による認定だ。例えばレストランでは「ミシュランガイド」という心強いマークがあるが、修理工場においても近年、同様の認証マークが注目を集めている。
◆“モノ作り大国”ドイツ発の第三者機関『テュフ』
それが、テュフ ラインランド ジャパンが鈑金・塗装工場を対象に実施する認証制度、いわゆる「テュフ認証」と呼ばれるものだ。テュフ ラインランドは、ドイツのケルンに本部を置く世界的な第三者機関で、独自の監査に基づき、自動車などの製造業をはじめ医療やIT、金融、小売など、あらゆる分野・サービスの品質を認証。自動車業界においても、BMW認定の修理工場やヤナセグループの鈑金塗装工場において認証取得が進められており、まさに“その道の確かな品質の証”となっているのだ。
そして、鈑金・塗装工場向けのテュフ認証は、自動車修理の設備や技術力、環境などを監査して付与される。認証は、十二分にハイレベルな修理工場としての証左となるゴールド認証と、設備や事業スペースなど一部項目でより厳格に監査されるプラチナ認証の2グレード。現在、認証取得工場は両グレード合わせて81工場(2019年2月時点)と極めて少ないことからも、その認証審査の厳格さを窺い知ることができる。
◆「TUV」の字が目に飛び込む! 岡山県笠岡市の池田鈑金塗装
そのテュフのゴールド認証を、岡山県笠岡市にある池田鈑金塗装が今年1月に取得した。同社は、池田潤代表取締役が15年前に独立・起業し、信頼するスタッフと共に急成長を遂げた。その一方で、池田代表は「時代の流れもあり、目に見える形で我々の質を提示することが必要になってきたと感じます。ただでさえカーオーナー様は修理の際に不安が大きいと思うので、認証でその不安を取り除ければ」と、取得の狙いを語ってくれた。
「今後も認証取得工場であることをユーザー様にアピールしていきたい」。池田代表のその想いは、大通りから目に入る工場外観の“大型テュフプレート”にも表れている。「TUV=信頼の証」を知っているユーザーの目には、池田鈑金塗装はとても心強い修理工場に映るはずだ。
◆スタッフ一丸となった修理品質への想い
今回のテュフ認証取得に伴い、調色室を増設したほか自社のホームページも新規開設。修理の作業効率、ユーザー対応ともに品質が大幅に向上した。それももちろん愛車を預ける人にとって嬉しいポイントだが、さらに頼もしいのが、その確かな品質をスタッフ全員で共有している点だ。
「認証取得の機会に改めてスタッフ全員で修理作業の品質や会社のビジョンを共有し、納車前チェックシートも導入しました。今では、三重(3人)の確認を必須とすることでクレームもほぼゼロです。誰に見ていただいても納得してもらえることを会社の全員が意識しながら修理を行っています」と池田代表。代表の腕はもとより、1つの工場として信頼できるのだ。
最近では、一般ユーザーだけでなく損保会社各社の中でも選定基準の1つとする動きが出てきているテュフ認証。損保会社の指定工場やディーラーの修理工場などでも、品質を担保する1つの材料として「テュフ」認証に注目が集まり始めている。個人のオーナーにとっても、まずはこの認証を知っていること。それだけで、より簡単・正確に“安心な修理”を選びやすくなるはずだ。
《カーケアプラス編集部@相原駿》
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