実はこのコーティング、自動車保険の補償対象になっているのをご存知だろうか。
事故後に鈑金塗装すると、そこだけコーティングされていない状況となり、艶や光沢、撥水・防汚性などのバラつきが生じてしまう。
なのでコーティングも再施工することが望ましいが、その際、自損事故の場合は加入する車両保険、相手がいる事故の場合は相手が加入する任意保険を適用することができるのだ。
◆施工証明書と定期的なメンテナンスが必須
では、目に見えないコーティングの施工をどのように証明するのか。
それが、施工時にショップから発行される「施工証明書」だ。
コーティング剤メーカーや施工店ごとに用意されているが、多くは施工店や施工年月日、施工状況や車両情報などを記入する形式。これによりコーティング施工を証明するが、記入に不備があると無効となってしまう場合があるので、受領後に記入漏れがないことを確認しておくといいだろう。
さらに、多くの証明書にはコーティングの有効期間や定期メンテナンスが記されており、このメンテナンスも施工証明書が効力を発揮するために必要となる。
つまり、事故の際に保険の補償としてコーティングを再施工するためには、「正しく記入された施工証明書」と「その有効期限内であること」。そして「定期的なメンテナンスを実施していること」の3点が必要となる。
これさえ揃っていれば、事故の際にコーティングの再施工代金を保険会社に請求できる可能性が高いのだ。
◆メンテナンス漏れを防ぎやすい“電子施工証明書”
とはいっても、コーティング施工時に渡された施工証明書を車検証入れに同封してそれっきり、定期メンテナンスもすっかり怠ってしまっていたというカーオーナーも少なくないだろう。
そうすると、せっかく施工証明書があったとしても保険の補償外となってしまう。
そんなカーオーナーに朗報なのが、施工証明書の電子化だ。
プロのみならずクルマ好きにも馴染み深いカーケア用品大手のソフト99コーポレーションでは、プロ向けの高級コーティング剤を対象に、4月から電子証明書の発行に取り組んでいる。施工情報をオンライン上で管理する仕組みで、通常の紙の施工証明書に代わり、QRコードが記されたカードが発行される。
何より嬉しいのが、自動的に1年ごとに必要となる定期メンテナンスが通知メールで案内されること。
修理工場や損保会社にとって、情報の信頼性向上や管理の手間が少なくなるなど多くのメリットが見込まれるが、カーオーナーにとっても定期メンテナンス漏れを防げるという大きな利点があるのだ。
コーティングや施工店を選ぶ際は、コーティングのタイプや品質、価格に目が行きがちだが、施工証明書や定期メンテナンスについてもしっかり確認しておくことが大切。もちろん、保険契約によって補償内容が異なるので、必ず修理の際に保険でコーティングを再施工できるとは限らない。それでも、「コーティングも保険補償の対象」ということを頭の片隅にでも覚えておけば、万一の際に必要以上の損失を被らずに済むだろう。