旧車から新型車まで「安心して任せられるプロショップ」は少ない?… ネッツトヨタ富山の想い
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そういったクルマは「ASV(先進安全自動車)」と呼ばれている。国交省は2021年11月以降に発売される新車(軽自動車含む新型モデル)を対象に、世界に先駆けて自動ブレーキの搭載を義務化することを2019年12月17日に発表しており、今後ますますASVが普及していくことは間違いない。
進化し続けるクルマの整備や修理には、専門知識と技術、高性能な設備が必要になる。日本各地には数多くの自動車整備・修理工場があるが、旧車から新型車(ASV)までしっかり対応できるところは限られている。そのことを知らずに、クルマを購入しているカーオーナーは意外と多いかもしれない。
◆知っておいて損はない「テュフ認証」
本記事では、ASVの整備や修理をしっかり行えるプロショップ(自動車整備・修理工場)を選ぶときに役立つ情報のひとつとして『テュフ認証』を紹介したい。
145年の歴史をもち、ドイツを拠点にグローバル展開を続けている「テュフ ラインランド(TUV)」という第三者検査機関がある。テュフは、人びとの暮らしのあらゆる面で、品質・安全・環境・テクノロジーに至るまでを公平・公正に審査する機関として、自動車修理に必要な設備や技術力、修理工場で働く社員の環境や法令遵守などについて厳しい基準を設けて監査を行っている。それらをクリアした修理工場だけが「ゴールド」や「プラチナ」といった高い水準の認証を取得できるわけだが、近年、国内の自動車修理工場の間で、自社の品質レベルを証明するわかりやすい「しるし」として、テュフ認証を取得する動きがある。
BMWの認定鈑金塗装工場やヤナセグループの鈑金塗装工場のほか、大阪トヨタ自動車や函館トヨペットの修理工場も認証を取得。テュフの発表によれば、2020年1月末時点で、約162の自動車修理工場がテュフ認証(プラチナ30%、ゴールド70%)を取得しているという。
◆国内初「ネッツトヨタ富山」が2種類のTUV認証を同時取得
2020年2月7日に、トヨタ系ディーラー「ネッツトヨタ富山」の鈑金塗装工場(ボデーサービスセンター)がテュフ認証の最高位である「プラチナ」と「クラシックカーガレージ認証」を同時に取得した。
(テュフ栗田隆司氏、ネッツトヨタ富山 品川鐵夫会長、笹山泰治社長、トヨタ自動車 BPサービス推進室長 木全厚氏 )
(テュフ認証「プラチナ」と「クラシックカーガレージ認証」を取得した、ネッツトヨタ富山の鈑金塗装工場)
◆「クラシックカーガレージ認証」とは?
クラシックカーガレージ認証は、クラシックカーのレストアや修理・整備などを行う工場に対して、11カテゴリー150項目以上の基準に基づいて監査が実施される。クラシックカーとしての市場価値を維持し高いレベルで修理やレストアが行われているかを、テュフが中立的に評価し、それをクリアした工場だけが取得できる。これまでに、自動車メーカー「マツダ」と、輸入車ディーラー・ヤナセのグループ会社「ヤナセオートシステムズ」、民間の整備工場「郷田鈑金」が取得しており、ネッツトヨタ富山の取得で4社目となった。
ネッツトヨタ富山は、2008年の創業40周年記念事業として、1968年製のトヨタ「パブリカ(UP20)」を自社エンジニアたちでレストア。2012年から本格的にレストア事業に取り組み、これまでに1968年製のフォルクスワーゲン「カルマンギア AD・S48」や、1985年製のトヨタ「パブリカピックアップ」などの旧車を手掛けている。TUVクラシックカーガレージ認証の適応範囲は「カルマンギア AD・S48」となるが、国産・輸入車を問わず幅広い車種の旧車レストアを行える技術があるという。
◆ネッツトヨタ富山の想い
ネッツトヨタ富山のテュフ認証取得にあたり、同社笹山泰治社長は以下のコメントを発表している。
「車を愛するお客様が集える場を創出したいとの想いから、2018年2月に『GRガレージ』をレストアピットと共にオープンし、愛車を末永く大事に乗り継ぎたいと思うヘリテージカーオーナー様のサポートをして参りました。
また、トヨタディーラーとして水性塗料での施工品質向上に独自の設備投資や研究を続け技術を磨いてきた当社として、先端的な自動車に対応するとともに、クラシックカーを工業的な遺産と捉え、大切に扱う環境を整えております。
この度、テュフ ラインランド ジャパン様から二つの認証を経て、すべてのお客様のご期待に応えられるサービスの提供をお約束いたします」
ネッツトヨタ富山のように、旧車から新型車まで、安心して任せられるプロショップがあることは実に心強い。クルマの進化が止まらない現代において、カーオーナーは愛車を安心して預けられる自動車整備・修理工場をしっかり見極める必要があるといえるだろう。
《カーケアプラス編集部@金武あずみ》
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