旧車の維持はよりイージーに? ノスタルジック2デイズで見た活発化する部品供給事情 | CAR CARE PLUS

旧車の維持はよりイージーに? ノスタルジック2デイズで見た活発化する部品供給事情

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旧車の維持はよりイージーに? ノスタルジック2デイズで見た活発化する部品供給事情
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今年で第12回目を迎えた日本最大級のクラシックカーショー「ノスタルジック2デイズ」。今年も2月22、23日に開催され、全国の専門ショップと美麗な旧車が集結した。





見るだけで心に訴えかける国産旧車を中心とした美しい名車の数々。もちろんそれにも目を奪われるが、実はそんな車両の横には、コチラも実に美しい旧車用パーツが並ぶ。今回はそんな会場で見つけた、旧車ライフを維持する上で欠かせない部品供給の現状にフォーカスしてみた。


◆ワールドワイドな輸入車の方が実は簡単?

一括りに「旧車」といっても年代やメーカー、モデルによって千差万別だが、現行モデルや高年式車に比べて悩まされるのが部品の入手だ。純正部品が廃盤となってしまっているモデルでは、走行や車検に不可欠な部品が入手できないがために、維持が困難となってしまうケースもある。そんな旧車において、さらに「輸入車」というとことさらに“難しい”イメージを抱きがちだが、実情は少し異なるそうだ。



「部品に困らないのがワーゲンの魅力」。そう話してくれたのは、 “ビートル”や“バス”の愛称でお馴染みのフォルクスワーゲン『タイプ1』や『タイプ2』といった、空冷フォルクスワーゲンを得意とする「フラット4」。「国民のクルマ」の意味を持つメーカーの長年にわたる主力モデルだけあって、本国ドイツをはじめ世界中の民衆に愛された車両だ。アメリカでは安価なカスタムのベース車両として一大ムーブメントを巻き起こしたこともある。そうしたバックボーンゆえ、「アメリカやアジアなど世界中でサードパーティ製パーツが作られており、揃わない部品がないくらいに充実している」(川崎企画・広報課長)そうだ。






ただ、部品だけでは維持・管理できないのがクルマ。「フォルクスワーゲンではメーカーとして早くから「クラシックパーツセンター」という専門部門でパーツを供給しているが、在庫の面では世界の需要に対して逼迫気味。一方、数量豊富なサードパーティ製は、品質の面でどうしても課題が残りがち。だからこそ、弊社ではテストを重ね、品質を確認したものを独自のノウハウを持って採用、装着している」(同)と、自社の強みを話す。

さらに、同社では自社企画のオリジナルパーツの製造も手掛ける。ホイールやステアリング、フロアマットといった内外装パーツをはじめ、プーリーなど機関系部品も対象。例えばフロアマットは、純正デザインに加えて当時国内に輸入していたヤナセモデルのデザインを再現したものもあり、形のみならず“当時の空気”を再現しているのも当社オリジナルパーツの魅力だろう。




こうしたパーツ供給事情は、ユーザーが車両を購入する際の重要な判断基準でもある。どうしても市場規模から、日本や英国など一部に限られてしまう右ハンドル仕様は対応パーツも少ないようで、「乗り慣れていないユーザーにとっても、長い目で見ればパーツが豊富な左ハンドルの方が維持しやすい」(同)として、同社では車両販売の際は左ハンドル車を勧めている。



さらに、世界を見渡すと補修用部品が充実する輸入車はフォルクスワーゲンに限らない。これまた“ポニーカー”の愛称で世界中で愛されたフォード『マスタング』や、英国の伝統的な高級車ロールスロイス、ベントレーのモデルも、旧車でありながら比較的部品入手がしやすいそうだ。

1960~70年代トヨタ車を中心にパーツの供給を手掛けている「THサービス」では、近年になってマスタングの部品の取り扱いも開始。本国アメリカでは現在もサードパーティ製を中心に部品が充実しているようで、ブースでは「基本的には中古部品を使わない修理。どうやったら自分の色を出せるかが大切」と打ち出す。





同社では、メインのトヨタ車はもちろん、このマスタングもレストアして販売しており、現時点で車両を所有していないユーザーでも、すぐに“憧れの旧車ライフ”をスタートできるのも嬉しいポイントだ。





一方、埼玉県加須市にファクトリーとミュージアムを構えるワク井商会では、ロールスロイス『シルヴァーシャドウ』やベントレー『T』などをベースに、可能な限り新品部品を組み込んだ上で顧客の趣向を反映させる、“ビスポーク”と称したレストア事業を展開中。車両の希少性とは裏腹に手に入りやすいという補修部品と高い技術力をもって現代に蘇らせた貴重なクラシックカーは、一般公開しているミュージアムで動態保存されているので、直接その目で確認してみるのもいいかもしれない。







◆サプライヤー・供給チャネル広がりつつある国産旧車パーツ

こうした輸入車に対し、元々の車両流通市場が小さく、出遅れていた国産旧車の補修パーツだが、ここにきて変化しつつある。1G系エンジン搭載車など80年代以降のトヨタ車を中心に社外部品を取り扱うアミスタッドカーズ平武志代表は、「輸入車に比べて国内は遅れている。ただ、他方で近年では、旧車系の専門ショップのみならず、一般の修理・整備工場などからも部品の問い合わせや購入が増えており、旧車ブームを背景にトヨタ、日産車を中心に部品供給は広がりつつある」(平武志代表)と話す。



京都府京田辺市にあるエムスピードが展開する旧車関連パーツの販売事業「パーツアシスト」では、ハコスカやケンメリ、フェアレディZなどの日産車を中心に1000点以上のパーツを販売。元々旧車に乗っていた同社代表が自車の部品に困り、製造を開始したのがきっかけで、現在ではエンブレムなどの細かい外装部品からウェザーストリップ、ブレーキのマスターシリンダーまで幅広い素材の部品製造を手掛け、「外部の工場で生産しているが、品質維持のため現地も定期的に訪問。ただ純正部品の形を再現するのではなく、車両に装着することを念頭においた細かな調整を施している」(森川氏)と品質にも注力する。こだわりが強い旧車オーナーにとって頼もしい存在となっているようで、近年では日産車に加え、『トレノ/レビン(TE27、AE86)』『セリカ(TA20)』といったトヨタ車のラインナップも拡充中だ。






また、2000年頃から本格的に事業化したというリバイブジャロピーも、旧車乗りの駆け込み寺となっている。西代表自身が若い頃から「キャブ車に一生乗る」と決め、当時から車両維持のために純正部品を大量に確保していたそうだが、メーカー供給が廃盤になってきたのを機に自社での製造・販売を事業化。現在ではエンドユーザーをはじめメーカーさえも頼みにすることがあるそうで、「ここ数年は旧車のニーズが変わり、旧車・中古車専門店がメインだったが、最近では高級車などを扱うショップからの問い合わせも多くなった」(西代表)そうだ。




ちなみに同社では、マツダ『コスモスポーツ』の車両とパーツも展示。西代表自身が車両を手に入れたのを機に新たな供給部品として取り扱い始めたが、「実はこの前期型モデルはもうほぼ現存していないので、パーツの需要もない。事前にリサーチしなかった失敗だが、それだけ貴重な車両ということだからそれはそれでいいかな」(同)と“イチクルマ好き”としての笑顔を覗かせた。




◆直すだけじゃなく「+α」の選択肢も豊富に

こうした純正を再現したパーツが活況となる傍らで、チューニングメーカーらが手掛ける性能を追求した部品も活発だ。小倉クラッチやフジツボ、OS技研や東名パワードなど、老舗パーツメーカーらが旧車用パーツを展示。






その傍らで専門店もオリジナリティ溢れる旧車用チューニングパーツを訴求しており、S30やハコスカなどのレストアで知られるスターロードでは、CFRPのフェンダーや油圧式アクティブサスペンションといった新たなアイテムを展示していた。




快適な街乗りとスポーツ走行の両立をサポートする同社だけあって、「スポーツ走行を楽しむ車両は必然と車高が低くなるので、同じ車両で快適な街乗りを実現するためのアクティブサス」(井上代表)と、新製品もあくまで“旧車ライフ”全般を見据えている。その上で、「エアサスだとサーキット走行の際にフィーリングが良くなかったので油圧式にした」と部品の品質についてもこだわりを見せる。


◆部品のみならずカーケアにも注目

スターロードが手掛けた『フェアレディZ』を展示していた「エスアンドカンパニー」のブースでは、サーキット走行などの際の飛び石による被害を軽減するペイントプロテクションフィルム(PPF)を紹介。かつてはカスタム事業を主としていた同社だが、シーンやニーズの移り変わりに応じてラッピングフィルムやPPFなどにも注力しており、この展示車両にはウインドウを守るプロテクションフィルム「P-Shield」を施工。近年では交換パーツが不足しがちな旧車ユーザーからも、こうしたディテイリングサービスへの需要が少なくないそうだ。




カーケアでいえば、多彩なカーケア製品を製造販売する横浜油脂工業もブース出展し、コーティング剤などを展示。自身で愛車をイジる人も多い旧車オーナーと、エンドユーザー自身で施工するカーケア製品は親和性が高いそうで、同社では昨年、旧車専門誌とコラボレーションした特別仕様のカーケア製品を発売。会場では販売しており、塗装に鉄粉が刺さりやすいという旧車のイベント会場らしく、鉄粉クリーナーは2日目には完売していた。




ワールドワイドのマーケットに遅ばせながら、海外での人気の高まりを後押しにじわりと活気づく旧車をケアするパーツやサービス。生産からどんどん年月が経ち、車両も希少性の高まりと合わせて高騰化しつつあるが、車両を維持するための選択肢は広がりつつあるようだ。

《カーケアプラス編集部@相原駿》

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