輸入ステーションワゴン ホンダ コンチェルトの兄弟車も<その2>【懐かしのカーカタログ】
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◆BMW 3シリーズ(1991年)
『3シリーズ』に初めてワゴンが設定されたのがこのE30時代。“ツーリング”の名は“02”のハッチバックに由来したもの。カタログによれば、ツーリングの外観は、窓枠などモール類をブラック塗装とした“シャドーライン仕様”とある。ラゲッジスペースは370~1125リットルの容量、とはいえ左右トリムの張り出しは大きめであったりと、決してスペースは欲張っていなかった。
“フロアにはリトラクタブル・キャッチを装備”とあり、最新ツーリングと同様のレールか何かがせり出す機能か!?と思わせられるも、試乗車で見た記憶はなく、どうやら格納式のタイダウンフックのことをそう呼称していた模様。日本では1990年から1300台程度が登録され、E30全体で約5%だったという。
◆ボルボ 850エステート(1995年)
セダンの導入から1年半の時間差、’93年10月の『850』のフェイスリフトを機に日本市場にお目見えしたのがこの『850エステート』だった(従って海外にはフェイスリフト前のエステートも存在する)。『480』以来のFF車で、しかも直列5気筒エンジンを横置きで搭載。ほかにも市販車では初めてサイドエアバッグ(SIPSバッグ)を装備したり、BTCC(英国ツーリングカー選手権)に参戦したりと、エンジニアリング的にも意欲作だった。
写真のカタログは’95年式で、2318ccのターボ車には特別注文ながらマニュアル車が用意されている。黄色い高性能車の「T-5R」など、スポーティなイメージの打ち出しでも話題になった。’97年には約1800箇所の刷新を伴うビッグマイナーチェンジを実施し、この時から車名を『V70』に一新した。
◆アウディ A4アバント(2002年)
ワゴンボディの“アバント”が初めて加わったのは、“B3”からホイールベースを伸ばすなどして実質的な大改良を受けた“B4”から。写真のカタログは『A4』名義で2代目に当たるモデル(B6)で、非シングルフレームグリルでは最後のモデルだった。
カタログはまだサルーン(4ドアセダン)と共用のもので、アバント自体の機能の紹介は、7点の写真と1本の文章が見開きで取り上げられている程度。とはいえ毛足のキメ細かい内装材で覆われた実車のラゲッジスペースは、アウディらしい高品位な仕上がりだった。FFのほか、クワトロは1.8TとV6の3リットルの2タイプ。
◆VW ゴルフワゴン(2000年)
『ゴルフ』にワゴンが設定されたのは“III”の世代から。カタログの“IV”はワゴンモデルの2世代目で、本国にはこの『ボーラ』版も存在した。車名は次の“V”からは呼称がもともと『パサート』で使われていた“ヴァリアント”に変更されている。
このモデルは“IV”をベースとした非常にクリーンなスタイルに、460~1470リットルというラゲッジスペースを用意。クロームメッキのDリングなど、実車の細部のフィニッシュは“IV基準”の上質なもの。ラゲッジスペースネットパーティションは標準装備。
◆VW パサート・バリアント(1988年)
VWからはもう1台、『パサート・バリアント』も入れておこう。というのもこの世代は、アウディと共通だった『サンタナ』(日本市場ではセダンのみ)の縦置きエンジンから横置きエンジンへプラットフォームを一新。『ゴルフ』の上級モデルらしく、機能性の高さを誇っていたから。
背の高さを生かした秀逸なパッケージングで、ラゲッジスペースは465~1500リットルを誇った。ショーモデル由来のグリルレスのマスクのシンプルながら斬新なスタイリングは、セダンとともに存在感を放った。
◆オペル・オメガワゴン(1996年)
過日、日本市場での復活がアナウンスされたオペル。カタログは’95年当時のもので、ヤナセが取り扱い車種に加えていた頃のもの。この頃はクラス違いで『ベクトラ』『アストラ』にもワゴンモデルが用意された。
『オメガワゴン』はフラッグシップらしく最大で約1800リットル、6:4分割可倒式の後席を利用し、最大約2.9mの長い荷物が積み込めるとカタログにも記されている。後席背もたれを倒した状態で床目が水平近くまで倒れるなど、実用的の高さは目を見張った。GM『キャデラック』由来のなめらかな走りの味わいも思い出深い。
●サーブ 9-5エステート(1999年)
もう1台、GM由来の上質な走りをモノにしていたのがサーブ『9-5』だった。往年の『95』に“ー(ハイフン)”を加えた車名は『9000』の後継であると同時に、いかにも正統派のサーブであることを示すものであるかのようだった。
実車はスポーティだった『9-3』の上級の位置づけで。前出の『オメガ・ワゴン』同様のしっとりとした乗り味。年式により設定が異なったものの、カタログは1999年モデルのもので、搭載エンジンには2.3リットルの低圧ターボが選ばれ、このクルマに相応しいスムースな加速を示した。
◆ローバー 416トゥアラー(1993年)
“ホンダのセダン”の回で取り上げた『コンチェルト』のまさに兄弟車の位置付けにあり、日本市場に導入されていたのが、このローバー『416トゥアラー』。基本は『コンチェルト』をベースに仕立てたエステートだったが、細部のデザインを変えてイギリス車に仕上げられていた。
内装もインパネ形状はほぼ共通とし、ステアリングやドアトリム、シートのデザインが専用。ラゲッジスペースは430~1410リットルと立派な容量で、荷室カバーはハードボードとし、ハットシェルフ風に軽いモノを上に乗せて使えた。
ホンダ コンチェルトの兄弟車も…あの頃の輸入ステーションワゴン・その2【懐かしのカーカタログ】
《島崎七生人》
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