あの頃の日本車は、アメ車の影響をモロに受けていた【懐かしのカーカタログ】
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◆プリマス・バラクーダとコロナ・マークII(2代目)
クライスラーの一部門だったプリマスに用意された『プリマス・バラクーダ』は『ダッジ・チャレンジャー』と兄弟車の関係にあったモデル。GMの『カマロ』、フォードの『マスタング』の対抗車種でもあった。
写真のカタログは1971年のもので、写したのは6連デザインのグリルが特徴的だった「クーダ」。7リットル超のV8を搭載する高性能版だ。
そしてもう1台がトヨタ(トヨペット)のコロナ・マークII。1972年に登場した2代目は、スタイリングもコロナの上級発展版から大きく進化を遂げ、ハードトップはセミファストバックのスポーティなものとなった。この4気筒系のフロントグリルのデザインが、実に“バラクーダ風”だったのが印象的だった。
穴の数は4個(『バラクーダ』は6個)と異なり、レイアウトも平面的ではあったが、小学校高学年だった当時の筆者は、両車の顔の雰囲気が「似ているなぁ」と思ったもの。
◆フォード・サンダーバードと日産ローレル(3代目・後期型)
写真のカタログは1982年のもので、実はこの世代の『サンダーバード』は、おりからのダウンサイズの波にのまれ、当時のコンパクト(『フェアモント』)をベースに仕立てられていた。直前の世代に対し全長は40cm近く短いものだった。
けれどコンシールド型ヘッドライトとともに、威厳を保つかのように、ブロックパターンのフロントグリルのデザインが踏襲された。そのグリルをいかにも彷彿させたのが、1978年に登場した2代目『ローレル』のマイナーチェンジ版。
初期型が丸型4灯で登場したのに対し、この時にヘッドランプが当時の流行りでもあったSAE規格の角型4灯となり、あわせてフロントグリルが一新された。このメッキの格子状のパターンが、目の粗さこそ違えど『サンダーバード』を連想させたのだった。
◆プリマス・ダスターと日産グロリア(5代目)
『プリマス・ダスター』は、『同・バリアント』の2ドアクーペ版として設定されていたモデル。直線的だったセダンに対して曲線を用いた、実はカジュアルでスポーティな位置づけのクルマだった。
“実は”と書いたのは、今回登場させるもう1台の“比較車”が、日産『グロリア』(5代目、1975年~1979年)であり、こちらは日本車としては上級オーナー車に位置づけられていたモデルだったから。
さらに一連の“似たもの同士シリーズ”中、トップレベルの雰囲気重視の比較かもしれないが、『セドリック』ではなく『グロリア』のセダンのカタログ写真の細かな縦型ブロックパターンを見た当時の筆者は、同じくまさに写真のカタログの『プリマス・ダスター』を思い出した。
筆者はアメリカ車の知識は浅いが、かように、当時の国産上級車はほかにも、アメリカ車を範としていた例が数多く見られたように思う。
◆フォード・サンダーバードとホンダ・インテグラ(1989年・2代目)
フォード『サンダーバード』は再度の登場である。こちらはグッと近年の1989年モデルで、空力を意識した当時の『トーラス』にも通じるグリルレスのマスクと、スッキリとなめらかなスタイリングが特徴的だった。
一方でホンダ『インテグラ』は、マイケル・J・フォックスを起用したCMで登場した2代目。ヤマタツのCMで爽やかに登場した初代に対し全幅を5ナンバーいっぱいの1695mmにまで拡大させ、4ドアをハードトップ化するなどして、より上級感覚を打ち出したモデルだった。
で、『サンダーバード』とこの『インテグラ』の共通項がグリルレス&横長ヘッドランプの組み合わせ。登場年はどちらも1989年ということから、決してどちらかがどちらかを意識した(もっといえば、コピーした)訳ではなかっただろうが、この時代の流行りのスタイルのひとつだったということだろう。
アメ車の影響をモロに受けたあの頃の日本車たち【懐かしのカーカタログ】
《島崎七生人》
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