『ETCX』サービスとは?…クルマに乗ったまま、店舗や地方有料道路でETC決済
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このサービスは、ETCカードをクレジットカードと紐付けることでクルマに乗ったまま街中での料金決済が可能となるもの。「ETCX」のロゴマークが掲示してある加盟店において、現在利用中のETCカードと車載機を使い、自動車に乗ったまま代金などの支払いができることが最大のポイントとなる。
実はETCを利用した一般決済は当初より構想としてあった。2003年に政府は「駐車場等、高速道路以外の施設でもETC等のITS技術が利用可能となる環境を整備し、利便性向上を図る」との方針を打ち出し、これに基づき、ガソリンスタントやファストフードでのドライブスルーでの料金決済実験が何度も行われてきた。
しかし、ETCでの料金決済に使われるシステムが高額であることや、決済時の信用保証を誰が担保するかでなかなか実用化に至らなかったという経緯もあった。
とはいえ、4000万人が利用するETCインフラの規模は大きいだけでなく、それを活用すれば、ドライバーはいちいち財布やスマホを取り出さなくても決済できるようになる。この利便性は極めて高い。
そこで有志企業によって2017年以降、ETC多目的利用サービスの本格的な事業化に向けて導入コストが安い簡易システムを開発。これまで駐車場やフェリー乗船場、ファーストフードのドライブスルー店舗などで、複数の試行運用を実施してきた。
その結果を受け、2020年10月にはソニーペイメントサービス、メイテツコム、沖電気工業(OKI)の3社が共同で「ETCソリューションズ」を設立。ETC多目的利用サービスを「ETCX」と改称して本格的にサービス展開するに至ったという。
具体的に利用できるのは現段階で2つのみだ。新名神高速道路の鈴鹿PA(上り線)にある「ピットストップSUZUKA」のドライブスルーで4月29日より利用が可能となるほか、静岡県内の伊豆中央道と修善寺道路の各料金所において7月1日より、有料道路では日本初となるETCXサービスを開始する予定となっている。
特に伊豆中央道と修善寺道路でETCXを使うほどに利用料金がお得になる新しい割引制度の導入も予定しているという。
ETCソリュージョンズの中村英彦社長は、当面の目標として「3年間で100カ所ほど」と述べたが、これはETC設備に比べてシステムの導入コストは安くなったとはいえ、アンテナ工事やPOSレジとの連携など、店舗側が導入するまでのハードルは比較的高いことが理由。一方で「現在ETCを導入していない有料道路では導入コストが安いことがメリットになる」との見方を示した。
なお、ETCXはETCソリューションズが提供する独自のサービスであり、高速道路会社が提供しているETCとは別サービスだ。登録してないETCカードでの利用はできないので注意が必要だ。
クルマに乗ったまま、店舗や地方有料道路でETC決済…『ETCX』サービス開始
《会田肇》
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