“車屋さん”のモビリティサービスの可能性…新潟市・栄モーターの福祉事業の事例 | CAR CARE PLUS

“車屋さん”のモビリティサービスの可能性…新潟市・栄モーターの福祉事業の事例

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“車屋さん”のモビリティサービスの可能性…新潟市・栄モーターの福祉事業の事例
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令和4年5月13日に施行された最新の道路交通法の改正では、高齢運転者による重大な交通事故をどう防ぐかという観点で、従来の規定から大きな変更が2点あった。

1点目は、75歳以上で「一定の違反歴」のある人は運転免許更新時に、高齢者講習や認知機能検査とは別に運転技能検査(実車試験)を受けなければならなくなったことがある。この運転技能検査で不合格となると、運転免許証の更新はできなくなるが、この検査は繰り返しの受検が可能で、仮に不合格の場合でも、原付や小型特殊免許の継続は可能となっている(検査の対象があくまで「普通自動車運転免許」のため)。

2点目は、安全運転サポート車等限定条件付免許、いわゆる“サポカー限定免許”の導入である。このサポカー限定免許は、生活の足として車は必要だが、運転が不安というドライバーを想定して創設されたもの。対象となるサポカーに限って運転できる免許で、免許更新時に自身の申請により申し込むことができる。免許の対象となるのは、衝突被害軽減ブレーキ+ペダル踏み間違い時加速抑制装置※1または衝突被害軽減ブレーキ※2いずれか装置を搭載した車種となるが、後付け製品は対象とならないため注意が必要だ。

※1国土交通省の性能認定を受けた自動車に限る

※2道路運送車両法の保安基準に適合することを要し、性能認定よりも高い性能基準が適用される

広がる“モビリティサービス”

運転免許返納までは行かなくとも、その予備軍となる高齢者をサポートする意味合いもある前述の“サポカー限定免許”だが、あくまでサポカーはドライバーが正常に運転できることを前提とし、その技術をサポートするためのものだ。しかし、より高齢化が進む日本では、生活の足としてクルマは必要でも、足腰や目の調子が悪いなど、サポカーであっても物理的に運転が難しい高齢者や、家族を同乗させるのに通常のクルマでは大変な労力となる高齢者が増えていくことが予想される。

そんな中、いわゆる“自動車をもうすぐ卒業する人/卒業した人”に対して、福祉車両の貸与を始め、車椅子や電動カートのレンタルを「モビリティサービス」として展開している事業者がある。

新潟県新潟市にある株式会社栄モーター(中央区米山6-10-8/栄治保則代表取締役社長)だ。

同社は、新潟県内に2つの拠点を持ち『鈑金・塗装』『整備・車検』『車両販売』『自動車中古品販売』『保険』『ロードサービス』のほか、他の自動車会社とは違う視点での『福祉事業』を展開している自動車プロショップだ。

同社のホームページには「福祉事業」という言葉が見当たらない。それもそのはず。同社の福祉事業は「お出かけサポート」という名称で呼ばれており「お出かけの困りごとサポート」を前面に打ち出している。

栄治社長は「同じ福祉車両を扱う会社でも、福祉施設を対象に車輌の販売・メンテナンスをしているところとは視点が違います。それは利用者個人がケアマネージャーなどと相談して、電動カートまたは車椅子などを“介護保険を利用して使用する”ことをベースとしているからです」と話す。

「“お出かけの不便を解消したい”ということを入り口に福祉関連事業を始めた当初から、販売や整備だけではない今で言う“モビリティサービス”を想定していました」とも話した栄治社長。

ちなみに、介護保険のサービスを提供するには「福祉用具貸与事業所」と「福祉用具専門相談員」の2つの資格が必要なのだが、同社ではそれぞれの資格を取得しており、ユーザーからの相談に対応している。自動車プロショップでありながら、このような資格を持っている事業者は珍しく、福祉事業をモビリティサービスと捉えている栄治社長の思いは徹底している。

なお、同社がこの資格を取得していることで、ユーザーは介護保険が適用対象となる福祉用品を介護保険を利用して、1割負担でレンタルできる(※レンタカーは対象外。また一部の電動カートは介護保険適応対象外のものもあり)。また、ユーザーのニーズに応じて、短時間の使用も可能となっている点も、ユーザーの困りごとの解消を一番に考える同社の姿勢が顕著に表れていると言えるのではないだろうか。

元気サポート!に込められた思い

栄モーターの外観には大きく“元気サポート!”というロゴが掲げられている。栄治社長曰く「お客様の元気をいつまでもサポートしていく」という意味が込められているという。高齢化が進む日本において、栄モーターが取り組む事例は、本当の意味での「生涯顧客化」の事例ではないだろうか。

100年に1度の大変革期と言われる自動車業界だが、モビリティビジネスには大きな幅があり、今後ますますユーザーのニーズに合わせ広がっていくはずだ。一口に“車屋さん”と言っても、クルマを販売するだけではなく、同社のように福祉車両から車椅子までレンタルできる事業者もいる。

ぜひ、ユーザーの皆さんも自分がお世話になっている“車屋さん”に困りごとを相談してみてはいかがだろうか。多様化が叫ばれる現在、事業者とユーザーが繋がるきっかけは「販売」や「整備」など1つとは限らないはずだ。

《カーケアプラス編集部@松岡大輔》

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