愛車に長く乗り続けるユーザーが増えている昨今、塗装面の色を変える「ラッピング」や塗装面を保護するための「プロテクション」の施工が注目を集めている。
トヨタ自動車とKINTOも、今年1月に開始した「KINTO FACTORY」のメニューとして開発中の“剥がせるボディカラー”の上市を2022年内に予定しているとのことで、自動車アフターマーケットにおいて、今後このようなニーズは高まっていくのではないだろうか。
なお前述した製品には、塗るタイプのものと貼るタイプのものなど様々なものがあるのだが、施工の際、綺麗に仕上げるためにパーツを外して施工を行い、その後、組み付けるという場合がある。ここでコンプライアンス上、ユーザーも施工店も見落としがちなとても重要なポイントがある。
変わる整備の定義とコンプライアンス
自動車の整備が「分解整備」から「特定整備」へ対象が拡げられたのが2020年4月。この際にフロントガラスやバンパ・グリルの脱着の作業が「電子制御装置整備」として規定された。また、自動ブレーキやアダプティブクルーズコントロールなどのカメラやセンサーの調整作業は「エーミング」と呼ばれ、これについても「電子制御装置整備」として規定された。
現在はこの電子制御装置整備が対象となる車両と、非対象車両が混在している段階だが、新車の段階で施工することが多いラッピングやプロテクションなどは、電子制御装置整備の対象車両の施工となるケースも多く、原則として対象車両を施工する場合、電子制御装置整備が行える特定整備認証を持っている事業者でなければ、バンパ・グリルの脱着作業は行うことができない。
また仮に電子制御装置整備対象車両でなかったとしても、自動ブレーキやアダプティブクルーズコントロールなどを始めとしたセンサーやカメラなどで構成される先進安全装置が搭載されている車両は多く、ラッピングやプロテクションなどの施工後に、カメラやセンサーに影響が出ていないということや、もともとの機能が正しく作動しているかの確認や校正(=エーミング)をする必要がある。
つまりユーザーにとって保安基準を守るという観点では、自身の愛車が電子制御装置整備対象車両であるか否かを国土交通省のサイトから確認した上で、愛車を預ける事業者が特定整備認証を取得しているか否かを見極め、本当に愛車を安心して預けることができるどうかを判断しなければならないということなのだ。
そういった“整備の再定義”が顕在化する中で、福岡県福岡市の朝日自動車株式会社(博多区西月隈4丁目6-7/藤野利浩代表取締役)は、自社で特定整備認証を取得しているのはもちろん、塗るタイプのペイントプロテクションである「Fenix(フェニックス)」を導入し、かつエーミングも自社で行える体制を整えている。
なお、本稿で画像を掲載しているアルピーヌやポルシェの施工は朝日自動車が行ったものである。さらにエーミングに関しては、国産車、輸入車を問わず、幅広い車種に対応できるスペースと設備、そして技術を備えており、愛車を大切にするユーザーにとっては心強い存在だ。
100年に1度の大変革期と言われる自動車業界において、朝日自動車のような事業者はユーザーにとって頼もしい存在であることは間違いない。一方で同社のような信頼できる事業者を、私たちユーザー自らがしっかりと選んでいくことが今後はより求められるようになる。そのために、まずは今まで整備として規定されていなかった作業などが「特定整備」というルールとして決められたということをしっかり理解しておくことが必要ではないだろうか。