カーライフに直結する「社会・経済」関連情報を幅広く取り上げている当コーナー。前回からは、ゲリラ豪雨や台風の多いシーズンに突入していることを踏まえて、水災への備えについて解説している。今回は、突然の大雨にて道路が冠水した場合の対処法を説明する。
さて、走行中の道路にて水が溢れてきた場合、クルマはどのくらいの水深まで走行可能なのだろうか。
結論から入ろう。良く言われるのは「フロアの高さまで」だ。というのもエンジン搭載車では、エンジンに水が流入するといとも簡単に走れなくなる。で、水の流入口と成り得るのはエアインテークとマフラーだ。フロアの高さというのは、マフラーから水が入ってくるかどうかの目安となる水深というわけだ。
なお、自分が走行している道にてみるみるうちに水が増えてくる場合には対処しにくいが、アンダーパスのような場所で冠水が確認できたときには、そこに突っ込むのはやめるべきだ。目視では水深が分からないからだ。浅いだろうとたかをくくって突入し、しかしフロアの高さよりも深かったら取り返しのつかないことになりかねない。
ちなみに、JAFが『冠水路走行テスト』と題した興味深い実験データを公開しているので紹介しよう。当テストは以下のように行われている。
アンダーパスが冠水した場合を想定し、前後にスロープを設けたコースを作り、そのスロープとスロープの間の水平部分(長さ30m)に水を張り、クルマが走行できるかどうかが試された。用意された車両はセダンとSUV。水深は30cmと60cmの2パターンが設定され、それぞれを10km/hと30km/hで走行させている。
結果は次のとおりだ。水深30cmでは両車ともいずれの速度でも走り抜けられた。しかし水深60cmの冠水路では、セダンは10km/hのときに30mは走り切ったものの上りのスロープに差し掛かった31mのところでエンジンストップし、これにて実験終了と相成っている。
一方SUVは、10km/hのときには走り切れたが30km/hのときにはわずか10mのところでエンジンが止まりストップした。
なお、速度が速いときの方が水を巻き上げることとなり、フロントグリルから水が入りやすくなる。セダンは水深30cmの冠水路は走り切れたわけだが、30km/hのときにはフロントグリルが水を被っていて、かなり危険な状態となっていたようだ。
というわけなので、もしも走行していた道路にて水があふれ出てきたときには、できるだけ速度を落とした方が乗りきれる可能性が高くなる。
とはいえ、冠水した道路を走らないことが最善の対処法となることは言うまでもない。水が溜まっているアンダーパスにはむやみに入らず、道路に水があふれ出てきたときには可能な限り早めに高いところへとクルマを回避させる行動を取りたい。ちなみに道路は普通緩やかにかまぼこ状になっているので、センターライン付近がもっとも高い。冠水してきたらセンターライン付近を走った方が少しだけ安全度が高まる。参考にしてほしい。