新車時はクリアで透明感があった樹脂製ヘッドライトが、いつの間にか、黄ばみや曇り、くすみが進行…。それに気づきながら放置すると見た目の悪さは徐々に悪化し、夜間運転時の視界不良につながっていく。
黄ばみや曇りが酷すぎる状態で車検を受けると光量不足を指摘され、車検を通すためにヘッドライト交換を余儀なくされるケースもありえる。最近のヘッドライトはユニット化されている場合が多く、ヘッドライト交換の出費は思いのほか高額となり、大きな痛手になってしまう。
新車の製造遅延の中で、1台のクルマに長く乗り続ける保有の長期化を背景に「ヘッドライト磨き・黄ばみ取り（ヘッドライトクリーニング）」のニーズは高まっており、ディーラーや整備工場、ディテイリングショップでは本格的な施工サービスを提供。カーオーナーがDIYで施工できる商品も多く、カー用品店やホームセンター、ネット通販などで入手できるが、ヘッドライト磨きサービスや市販品は多岐にわたり、その特徴や効果、施工方法などは様々だ。
スマートシャイン ヘッドライトコートNEO
ヘッドライトの黄ばみやくすみの除去を目的として、様々な商品・サービスがリリースされている中、カーケミカルやカーケア用品、樹脂・ゴム製品などの開発・製造・販売を行うシーシーアイ株式会社は、誰でもDIYで施工できる「スマートシャイン ヘッドライトコートNEO」を販売している。
同商品の特徴は、独自の「専用キット（クリナー、2液混合コート剤など）」を使用することで、黄ばみやくすみを落とし、ヘッドライト表面にコーティング被膜を形成して紫外線から保護できるところ。環境負荷低減の観点から、部品交換や修理ではなく、ヘッドライトを再生させる手法といえる。
専用キットに含まれる2液のコート剤を混合し、ヘッドライト表面に塗布することで形成される、厚みのあるコーティング被膜（特殊UVカットポリマー）は、耐候性試験において約2年の黄ばみ耐久性を実現したという。
施工方法は、まずヘッドライトの汚れやホコリを水できれいに洗い流し、タオルなどで水分をしっかり拭き取って、ヘッドライト周りをマスキングする。次に、専用クリーナーのボトルキャップを閉めた状態で、液の音がするようになるまでよく振ってから付属クロスに専用クリーナー液を浸みこませ、力を入れながらヘッドライト表面をしっかり磨き、黄ばみやくすみを落とす。
黄ばみやくすみが落ちなかった場合は、ヘッドライト表面を水で濡らしながら、付属の研磨ペーパーでヘッドライト全体が白くなるまで磨く。その後、水洗いして水分を拭き取り、再度専用クリーナーで仕上げ磨きを行う。黄ばみやくすみが落ちたら、ヘッドライト表面に付着した専用クリーナーを水で洗い流し、研磨剤が付着していないきれいなタオルで水分を拭き取って乾燥させれば、下地処理は完了だ。
続いて、2液混合のコーティング剤をつくる。まず、コートA液が入った注射器型の容器キャップを外し、コートB液が入った容器に、コートA液をすべて注入。コートB液の容器に蓋をして5回以上振り、混合液をつくる。この混合液を、空になった注射器型容器に2mLとり、付属の塗布用スポンジのガーゼ面に浸みこませ、液が垂れないようにヘッドライト上部から全体にムラなく均一に塗布する。
塗り方には、決められた手順がある。上端を手前から右方向に塗ったのち、右端の上から下へ塗っていき、最後に下端の手前から右方向に塗る。塗布時に気泡が発生した場合は塗布用スポンジでヘッドライトの外に押し出す。塗布は40～60秒で完了する必要があり、気温が高い環境で塗布するとコート液の乾燥が早まるためすばやく塗布し、塗布後は約3分乾燥させる。気温が10度以下の場合は約10分の乾燥が必要だ。
乾燥後、ヘッドライト表面に混合液を「重ね塗り」する。再び注射器型容器に2mLとり、塗布用スポンジのガーゼ面に混合液を浸みこませ、最初の塗布と同じ塗り方で重ね塗りする。
注意点として、2回以上の重ね塗りは行わない。小さなヘッドライト（約20×20センチ以下）の場合、重ね塗り時の混合液は1.5mLに減らす。重ね塗りが終了したら、30分以上、自然乾燥させる。コート剤を完全硬化させるために、施工後1週間は洗車を控える必要があり、硬化前に洗車すると正常に成膜されない恐れがあるという。
また施工環境として、ホコリが多い場所や炎天下、雨がかかる場所、ヘッドライトが熱い状態、気温が5度以下での施工は不可。ヘッドライトの内面が劣化していたり、樹脂内部が変色している場合、専用クリーナーやコート剤の効果はない。このほか、ヘッドライトウォッシャー、ヘッドライトワイパー装着車には施工できないなど、細かい注意点があることを理解して施工する必要がある。
なお「スマートシャイン ヘッドライトコートNEO」は市販品だが、パッケージを簡素化した法人向け（GC耐久ヘッドライトコート）も提供。法人向けはマスキングテープやクロスを除外するなど、プロショップの要望に合わせて専用キットの付属品などを調整可能とのこと。
