厚生労働省は、長時間労働が問題視されている自動車運送事業者の労働時間を改善するため、基準を改正する。
自動車運転者の時間外労働は、労働基準法第140条の規定で適用が猶予され、2024年4月1日から限度時間、臨時的な特別な事情がある場合でも年960時間の上限時間が適用される。これに対応して自動車運転者の労働時間等の改善のための基準を一部改正するもの。
タクシー運転者の1か月の拘束時間の上限について現行の「299時間」を「288時間」に、1日の最大拘束時間を現行の「16時間」から「15時間」にそれぞれ改める。勤務終了後の休息期間について現行の「継続20時間以上」を「継続24時間以上与えるよう努めることを基本とし、継続22時間を下回らない」に改める。
ハイヤー運転者は時間外労働協定について、延長時間を1か月50時間、3か月140時間、1年450時間以内の時間としていた規定について、1か月45時間、1年360時間を限度とする。臨時的な特別な事情がある場合でも1年960時間を超えない範囲内とする規定に改める。
トラック運転者の拘束時間の上限は現行の「1か月293時間(1年3516時間」を、「1か月284時間、1年3300時間」に改正する。労使協定で1年の上限について、6か月まで1か月310時間、1年3400時間まで延長できるものとする。この場合、1か月の拘束時間が284時間を超える月が3か月を超えて連続しないものとし、1か月の時間外・休日労働時間数が100時間未満となるよう努めるものとする。
1日の最大拘束時間について現行の「16時間」を「15時間」に修正する。運転者の1週間の運行がすべて長距離貨物運送で、運行の休息期間が住所地以外の場所である場合、当該1週間について2回に限り最大拘束時間を16時間とすることができる。拘束時間を延長する場合でも、1日の拘束時間が14時間を超える回数をできるだけ少なくするよう努めるものとする。
運転者の連続運転時間に関し、現行の「1回が連続10分以上で、合計が30分以上の運転の中断をすることなく連続して運転する時間」と規定について、規定の「連続10分」を「おおむね連続10分」に改めるとともに、運転の中断については原則として休憩を与えるものとする。
バスの運転者は1か月の拘束時間が281時間、1年の拘束時間が3300時間を超えないものとするなど、新た基準を設ける。
パブリックコメントを実施した上で12月下旬に告示し、2024年4月1日に適用する。