大学自動車部のeSports大会「Gran Turismo College League(GTCL)」予選大会が10月29日、三重県・鈴鹿サーキットで開催された。
◆レースカーを、タスキのように繋いでいく
GTCLは、朝日新聞社が主催するeSportsの全国大会。全国の大学自動車部が、プレイステーションソフト「グランツーリスモ7」を用い、最速の座を賭けて競い合う。「Gran Turismo Young Challenge(GTYC)」から数えて3シーズン目となる今大会は、過去最高の20校がエントリーした。
GTCLの大きな特徴は、1大学3名の選手が1台のマシンをシェアするということだ。レース中に2回ピットインし、必ずドライバー交代を行わなければならない。つまり、レースに勝つためには1人が速いだけでは足りず、3名全員が安定した成績を残す必要がある。
GTCLにはもう1つ重要なポイントがある。それが、エントラントが「大学の体育会」自動車部に限定されていることだ。大学の名前を背負う自動車部の部員たちが、1台のマシンをいわばタスキのように繋いでいく、GTCLが目指すところは「eSports界の箱根駅伝」である。
◆熱戦繰り広げられたレースの結果、10校が決勝進出
また、今大会は日本最高峰のフォーミュラレース、「スーパーフォーミュラ」を運営する株式会社日本レースプロモーション(JRP)の特別協力を受けており、スーパーフォーミュラ第9戦が開催される鈴鹿サーキットで行われた。選手たちは走行の合間に、レース観戦や、JRPの進めるカーボンニュートラルに向けた取り組みについての特別授業など、様々なプログラムに参加した。
「リアル」のレースの興奮冷めやらぬ中、「バーチャル」なレースであるGTCLも幕を開ける。上位の成績を残した大学が12月に行われる決勝大会に進めるとあって、各大学とも序盤から激しい順位争いを展開。リアルにも負けず劣らずの熱い戦いが繰り広げられた。
激戦を終えた後、決勝進出校の発表を兼ねた閉会式が行われた。参加校全20校のうち、決勝に進めるのは半分の10校のみ。事前のタイムトライアルによって4グループに分けられたレースの結果、前年度優勝の中央大学などが本戦出場を決めた。10校のうち、立命館大学や名城大学など5校が初の本戦出場となる。
◆閉会式では、「グランツーリスモの生みの親」からサプライズも
閉会式にはJRPの上野禎久社長、ゲームを開発したポリフォニーデジタルの山内一典プロデューサーらが登壇。大会への想いや、12月に開催される決勝大会への期待が語られた。また、山内氏は12月の本戦で、米・スタンフォード大で自動運転の研究をするクリス・ゲルデス教授とパネルセッションを行うと発表。令和の「車好き」たちに、未来の自動車業界について考える機会を提供すると明らかにした。同時にスタンフォード大の学生チームがレースに招待されることもアナウンスされ、大会そのものもさらに盛り上がりそうだ。
「eSports界の箱根駅伝」を目指し、規模の拡張を続けるGTCL。今大会の模様は、後日主催者よりアーカイブ配信される。
決勝大会は12月18日に、東京のポリフォニーデジタル本社で開催される予定だ。
●決勝進出(エントリー順)
法政大学
慶應義塾大学
東京農業大学
立教大学
立命館大学
駒澤大学
早稲田大学
中央大学
名城大学
静岡大学