マツダのSUVというと、今は“CX”シリーズが中心の展開。けれどかつては通称で呼ばれ個性を発揮したモデルが用意された。今回はそうしたモデルを振り返ってみたい。
プロシードマービー/キャブプラス
北米市場などで展開していた4WDピックアップトラックの『B2600』をベースに仕立てられたモデル。乗車定員4名の商用車登録の『プロシード・キャブプラス』と、1991年登場の、キャビンを後方まで伸ばし、3mのホイールベースを活かした3列シート/定員7名の乗用車の『プロシード・マービー』が設定された。
当初の搭載エンジンは2.6リットルの4気筒ガソリンエンジン。1992年の4速AT追加の際の当時の資料を当たると、“2輪駆動と4輪駆動の切り換えを車内の操作で行なえるリモートフリーホイール機構を標準装備し利便性を向上”などとある。
トリビュート
それまでのスズキ『エスクード』のOEMだった『プロシード・レバンテ』に代わるまったくのニューモデルとして2000年に登場。フォードとの共同開発車で、新開発のSUV専用プラットフォームを採用。発表は2000年10月で、兄弟車のフォード『エスケープ』は同年・12月の発表・発売だった。
マツダらしくオンロードでの操縦性能にもこだわり、リヤサスペンションにはマルチリンク式を採用した。搭載エンジンは3リットルのV6と2リットルの4気筒が用意された。乗用車ライクな快適な室内と、リヤゲートとガラスハッチの開口幅がどちらも1230mmという実用性の高さが特徴だった。コラムシフトというのも懐かしい。
AZオフロード/ラピュタetc.
スズキからOEM供給を受ける形で、マツダのバッジがつく軽自動車のSUVがあったのも見逃せない。たとえば1998年10月登場の『AZオフロード』は、カタログの写真を見てのとおり3代目『ジムニー』がベース。2000年10月段階ではエンジンはターボのみで4速ATと5速MTを設定した。
もう1台は『ラピュタ』だが、このモデルはスズキ『Kei』がベースで、1999年3月に登場。『AZオフロード』同様、エンブレムが専用であるくらいだが、適度な高さの座面により乗降性がしやすく、幅広いユーザーに愛用されたクルマでもあった。
そのほか、スズキの人気車の『ハスラー』も、1、2世代続けてマツダにOEM供給され、『フレアクロスオーバー』の名でラインアップしている。ちなみに『フレア』は『ワゴンR』、『フレアワゴン』は『スペーシア』がそれぞれのベース車だ。