EV専用スタッドレスの実力は想像以上! ノキアンタイヤ『ハッカペリッタR5 EV』を試す | CAR CARE PLUS

EV専用スタッドレスの実力は想像以上! ノキアンタイヤ『ハッカペリッタR5 EV』を試す

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EV専用スタッドレスの実力は想像以上!ノキアンタイヤ『ハッカペリッタR5』を試す
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2022年8月にノキアンタイヤから新型スタッドレスタイヤ「ハッカペリッタR5 ファミリー」が発売されました。ノキアンタイヤはフィンランドに籍を置く老舗タイヤメーカーで、創業は1898年までさかのぼります。また、世界で初めてウィンタータイヤを作ったメーカーでもあります。フィンランドに拠点を置いていることもあって、ウインタータイヤのスペシャリストとしても広く欧州北欧地域で知られており、その性能も高く評価されています。

実際に、多くの自動車メーカーがノキアンタイヤを冬用の推奨タイヤに指定していることからもその実力は折り紙付き。今回はそんなノキアンタイヤからEV車両向けにラインナップされた「ハッカペリッタR5 EV」を、メルセデスベンツ『EQB』に履かせてテストしてきました。

しっかりとした氷上性能・スノー性能・剛性を確保、V字溝のトレッドデザインに注目

トレッドデザインはV字溝を基本にしたディレクショナルパターン(回転方向指定)を採用しています。トレッド面の両外側と内側でブロックの大きさを変えており、ドライ路面や雪上ハンドリングに効果を発揮するアウト側には比較的大きなブロックが配置されています。このトレッドデザインにはストレートグルーブ(縦溝)がないのも特徴的です。

また、トレッドブロックには3Dサイプが施されており、加減速やブレーキなど大きな力が加わったときには、サイプで切り分けられたブロック同士を互いに支え合うことでブロック剛性を確保しています。トレッドデザインは、V字デザインで回転方向指定を基調にして排雪性・排水性を高めるとともに、周方向に対して直角に交わる溝を作らないことで路面へのエッジの打音を軽減。静粛性の高さにも配慮しています。

ここまでがハッカペリッタR5シリーズの概要です。これに加えてもう1つハッカペリッタで注目したいのが、コンパウンドや構造がパッセンジャー用、SUV用、EV用とそれぞれのカテゴリーにより適したものになっているということです。

例えばR5 SUVは、乗用車用R5と比べ、車重が重く重心が高い車両に装着するために、SUVに最適化した剛性の高いコンパウンドを採用しています。構造面でも2プライ構造とサイドウォール部に防弾チョッキに用いるアラミド素材を適用することで、ラフロードやオフロードを走ったときにタイヤへのダメージを防ぐなど、耐久性の向上が図られています。

ハイパワーなEV車両を考えて作られた、静粛性と走破性を両立する「R5 EV」

今回試乗したEV用の「ハッカペリッタR5 EV」も専用チューンが施されています。EVが他の内燃機関のクルマと違い“問題”となるのが、モーターの駆動トルクの強さです。モーターはその特性上、停止状態からアクセルを踏んだ瞬間もっとも大きなトルクを発揮します。例えば3リッタークラスのガソリンエンジンだとおよそ300Nm前後の最大トルクを発揮しますがそれはエンジンの回転数が上がって(車種にもよりますが4,000-5000rpmほど)からの話であって、発進時の駆動トルクはそれほど大きくありません。

ところが300Nmの最大トルクを発揮するモーターは“0回転”からいきなり負荷がかかる訳です。それだけ強い力で路面を蹴り出しますから、ブロックの変形も大きくなります。走り出すたびに強い力でコンパウンドが路面に押し付けられるので、当然摩耗は早くなります。そこでハッカペリッタR5 EVは、こうした巨大なトルクに対処するため強化型トレッドプロファイルを採用しているのです。

注目ポイントはまだあります。それはタイヤノイズです。パッセンジャー用に搭載されているグリーントレースコンパウンドをベースに専用チューンした素材を配合して、静粛性の向上と転がり抵抗の低減が図られています。さらにタイヤ内部へスポンジを張り付けることで、タイヤ内部の共鳴音を抑え静粛性を高めているのも注目のポイントです。

前振りが長くなってしまいましたが、ここからはメルセデスベンツ『EQB』に235/45 R20サイズのハッカペリッタR5 EVを装着した試乗レポートをお伝えします。基準車は上質さと快適性に優れる車両ですが、その特性を変わらずに感じさせてくれるのか強い興味を持って試乗をスタートしました。

ドライ路面でも安心できる性能、低燃費タイヤを思わせる快適性を持つ

走り出してまず感じたのは、動き出しが軽く、そして静かなことです。動き出しの軽さはEVの特徴の1つでもありますが、重いEVを強引にモーターの巨大な駆動トルクで加速させているのとは印象がだいぶ違っていて、スルスルと軽々と走り出すのです。これは転がり抵抗の少ない、いわゆるエコタイヤに試乗したときに得られる感覚です。

それと同時に感じるのが静かなことです。特に加速しているときやカーブを曲がっているときに、スタッドレスタイヤは多少なりともジャー音と呼ばれる文字どおりジャーというノイズが出るのですが、これがほとんど聞こえないのです。スタッドレスタイヤで滑るようにという言い方が適切かどうかわかりませんが、走り出しの感覚で言うと、まさに滑るように静かに走り出すのです。

これはノキアンタイヤが謳うハッカペリッタR5 EVの特長で、これだけでもEV用に開発されたタイヤということを感じ取れます。転がり抵抗の少なさは、走り出しだけでなく街中や高速道路など、走っているほぼすべてのシーンで実感できます。

例えば赤信号で止まるとき、EQBをコースティングモード(回生ブレーキが利かなくなるモード)にしておくと、かなり手前からアクセルオフにしていても車速が不思議なくらい落ちないのです。感覚的には日本のグレーディングでいうとAAくらいの転がり抵抗の少なさがあるように感じます。実際にも欧州のグレーディングでの転がり抵抗はBで、これは日本の表示に照らし合わせるとAAに相当します。

高速道路を走らせて80~100km/hで巡航しているときも、アクセルにチョンと足を乗せている感覚でスピードが維持できます。また、走っているときのノイズもかなり静かです。静粛性の高いコンフォートタイヤほどではありませんが、静粛性に配慮したハイパフォーマンスタイヤくらいの感覚です。ついついスタッドレスタイヤで走っているのを忘れてしまうほどで、スタッドレスタイヤにみられるトレッドブロックの変形感とか歪み感が、全くといっていいほど気になりません。

ワインディングでも、予想以上に操縦性が良く好印象でした。グリップの絶対値はそもそもスタッドレスタイヤなのでそれほど高くはありませんが、こんな場面でもスタッドレスタイヤであることを忘れてしまうくらい、違和感なく走ることができました。特に感心したのは微小舵角の応答の良さで、小さくハンドルを切ると応答よくクルマのノーズが向きを変えてくれるのです。そのため軽快で山道でもスイスイ走れる感覚なのです。

もちろん本番の雪道でより良い性能を発揮するためには、気持ちよく走らせ過ぎてトレッドブロックにダメージを与えないほうが良いのですが、今回試乗した限りではブロックに気になるダメージは見られませんでした。長距離を走ったリアルな耐摩耗性は確認することができませんが、摩耗の具合(少なさ)を見る限りかなり期待できそうです。

雪道での性能もフィンランドでのテストで実証済み、曲がる・止まるに不安無し

最も重要な実際の雪道での性能はどうなのでしょうか。実は昨シーズンひと足早く別のクルマで雪道も走っているのですが、これが普通にスタッドレスタイヤの性能を発揮していたのです。特に雪道でのグリップ性能は良好で、しっかりと雪の路面をとらえるトラクション性能が出ているしブレーキの効きも不安ありませんでした。カーブではスキーでエッジを効かせて曲がっているような感覚の、明瞭なグリップ感がありました。

あえてEV用と謳っているのは、ノキアンタイヤの自信の現れといっていいのでしょう。実際に試乗してみても、操縦性・転がり抵抗・静粛性は想像以上。雪での性能も普通に優秀といっていいレベルにありました。雪と氷の本場、北欧で生まれ育ったタイヤメーカー=ノキアンタイヤのスタッドレスタイヤというのも大きなバックボーンです。

すでにEV車両を所有しており、スタッドレスタイヤを装着した経験のある方は摩耗の速さを実感しているのではないでしょうか。耐摩耗性に不満のある方は試してみる価値がありそうです。

ノキアンタイヤ『ハッカペリッタR5 EV』の詳細はこちら ノキアンタイヤ『ハッカペリッタR5 EV』の解説動画はこちら

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阿部商会では専用ページにレビューを投稿してくれたユーザーの中から、抽選で100名様に3,000円分のAmazonギフトカードをプレゼントするキャンペーンを開催しています。対象となる製品はノキアンタイヤブランドである「ハッカペリッタ R5/R3/R2ファミリー」と「シーズンプルーフファミリー」です。今年の購入分だけではなく、2021年以前に購入したユーザーでも対象製品であれば応募可能となっています。応募方法は下記リンクよりキャンペーンページへアクセスして、車両全体の写真/タイヤのデザインが分かる写真とともに製品レビューを投稿するだけ。応募期間は、2022年9月1日から2023年の2月末日まで。すでにノキアンタイヤをお持ちの方も、これから購入する方もぜひ応募してみましょう!

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斎藤聡|モータージャーナリスト
特に自動車の運転に関する技術、操縦性に関する分析を得意とする。平たくいうと、クルマを運転することの面白さ、楽しさを多くの人に伝え、共有したいと考えている。そうした視点に立った試乗インプレッション等を雑誌及びWEB媒体に寄稿。クルマと路面との接点であるタイヤにも興味をもっており、タイヤに関する試乗レポートも得意。また、安全運転の啓蒙や普及の重要性を痛感し、各種セーフティドライビングスクールのインストラクターも行っている。

《斎藤聡》

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