都会のど真ん中で20世紀のクルマがパレード!~THE銀座RUN エシカルミーティング2022秋~ | CAR CARE PLUS

都会のど真ん中で20世紀のクルマがパレード!~THE銀座RUN エシカルミーティング2022秋~

イベント イベントレポート
都会のど真ん中で20世紀のクルマ達がパレードラン!~THE銀座RUN エシカルミーティング2022秋~
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旧車を愛するユーザーの集まりは数多いが、実際に街中をラリー形式で走って楽しむ大人のミーティングとして注目されている「THE銀座RUNエシカルミーティング2022秋」に取材に出かけてきた(11月13日)。

秋晴れの11月13日に開催された「THE銀座RUNエシカルミーティング」。'90年代までの旧車が集まって東京の都心部をゆったりとしたラリー形式で走行するという大人のイベントだ。発起人となっているのはパリ・ダカールラリーへの参戦などの実績を持つラリードライバーの根本純さん。今回で16回目の開催となりすでに多くのリピーターも集めるイベントになっている。

参加車両のレギュレーションは「20世紀のクルマ達」とされ、国産、輸入車など国籍もモデルもまったく問わないオープンなもの。また単なるミーティングでは無くスタート地点となる東京プリンスホテルから12カ所のチェックポイントを巡るラリー形式となっているのも興味をそそる。銀座RUNと銘打たれているだけに都心を走ることをテーマにしたこのミーティングならではのスタイルだ。エントラントの中には街行く人に愛車が注目されるのを楽しみにしているというケースも多い。しかも決められたルートをパレード形式で走るだけではなく、コマ地図を渡されてそれに従って各エントラントが自分たちでルートをたどるといったラリーの醍醐味を手軽に味わえる仕組みを作っているのも多くのユーザーを集める理由でもあるだろう。

スタート会場となった東京都港区にある東京プリンスホテルには午前8時を過ぎると続々と旧車が集まってきた。9時の受付を待てず早めにやって来るエントラントが多いのもイベントへの期待度の表れとも言える。目の前に東京都タワーがそびえる環境に愛車を並べて眺める悦楽も、クルマ好きなら理解できるだろう。ましてや旧車好きが集まる環境、朝からそこかしこでクルマ談義が始まるのは必然だろう。

エントラントの顔ぶれを見ていると夫婦やカップル、ファミリーや父子などが目に付く。クルマを自分だけの趣味にしてしまうのでは無くパートナーやファミリーで楽しんでいる雰囲気が伝わってくるのもこのイベント参加者の特徴でもあるようだ。

集まった車両も多種多様。古くは1941年型のキャデラック・フリートウッド60スペシャルや1957年型のアルファロメオ・ジュリエッタ、1958年型のトラアンフ・TR3Aといった'40年~'50年代のクラシックカーから、1961年型のジャガーMK2、1969年型のロータス・エラン、1967年型のオースチン・ヒーレー3000Mark3BJ8などの'60年代のモデルも多数エントリー。さらには'80年代のフェラーリやランボルギーニなどのスーパーカーも複数台参加しているのも印象的。イタリア、イギリス、アメリカ、ドイツ車に加えて国産旧車も1966年型のプリンス・グロリア6ワゴンや1964年型のホンダS600、1975年型のトヨタ・セリカのエントリーもあった。ビンテージカーを愛でる意味と、懐かしいクルマに再開する意味とを含めて幅広い年代層が楽しめる参加車両となったのもこのイベントの魅力のひとつ。スタート地点の駐車場にはクルマを見に来ているギャラリーもいて、朝から盛況のミーティングになったのだった。

いずれのクルマもオーナーのこだわりが満載なのは言うまでもない。一人一人にクルマとのストーリーがあるのだが、参加者の一人であり1968年型のトライアンフ・ヴィテスmk1コンバーチブルのオーナーである櫻井さんに話をうかがった。

長年探し求めていたトライアンフを知人が本国で見つけたということで購入を決意したという。しかもヴィテスでも珍しいコンバーチブルなのも気に入った理由だった。

「とにかく各部がオリジナルの状態で残っているのが気に入っています。ホイールやバンパー、内装のウッドパーツなどもリペアは施されていますがストックの状態なんです。当時の説明書や本国のナンバープレートも残っていてこれも大切に保管しています」

また都心部をドライブするラリー型式のイベント趣旨に賛同して参加しているのは1996年型のケータハム・スーパーセブンに乗る五味さん。かつてはワンメイクレースで走らせていた愛車は今もスポーツ走行などを楽しむスポーツ派のユーザー。そのかたわら街中でのゆったりツーリングも楽しんでいる。

「堅苦しいレギュレーションもなく、のんびりと旧車での走行を楽しめるのがこのイベントの良いところ。サーキットでのスポーツ走行の楽しさとはまた違って、ゆったりとしたペースで都心部をパレードランする感覚が楽しいですね」

スタート会場を出たエントリー車両は、銀座を抜けて日本橋、さらには東京駅、浅草、築地の波除神社を経由、いずれも東京の中心部ならではの都会の風景の中を走るムードを堪能したエントラント達。沿道からの注目度も満点で、銀座や浅草など人の多い交差点では街行く人も旧車を楽しんでいた。

チェックポイントではスマホアプリを使ったスタンプラリーを行い、ラリー形式の走行の楽しさをしっかり味わったのだった。ゴール地点は東京オリンピックでも利用された海の森水上競技場。チェックポイントを経由し、築地などで思い思いのランチをしてゴール地点に集まってきたエントリー車両。ここでもエントラントが集まってひとしきりクルマ談義を交わしてから三々五々解散したのだった。

最後に、主催者の根本純さんに同ミーティングをはじめた理由や思いについてうかがった。

「自分自身はドライバーとして19歳の頃からラリーをやって来て、ラリーの主催も早い時期からやっています。正式なラリーはすでにあるので、堅苦しくなく、みんなで楽しめる手軽なラリーを旧車でできないかと思ってはじめたのがこのイベントです。ひとつのテーマに掲げたのは動態保存でした。クラシックカーもしっかり走らせて楽しむのが良いと考えて、展示するだけのミーティングではなくコマ図を使ったラリー型式を導入しました。またもうひとつの思いは男性オーナーだけが楽しむんじゃなく奥さんや彼女さらには好きな女性と一緒に楽しめるイベントにしたかったのもあります。ラリーの語源は再び集まるという意味があるんです、各国の旧車が集まってくる、そんな心地良いミーティング目指しています。良い意味で緩い感覚も守っていきたいところですしね。ところでこのミーティングに参加してラリーが楽しくなってきたエントラントには、より本格的なラリーのイベントとしてTHE伊豆RUN、THE清里RUNも用意してステップアップする道筋も作ってあります」

大人の旧車ラリーという独自のスタンスでミーティングを開催している「THE銀座RUN エシカルミーティング」。厳しいシバリやレギュレーションもなく、緩く楽しめるミーティングなのがよくわかる取材になった。旧車の世界というと堅苦しいイメージがあるが、ここはそれとは無縁。緩くみんなで楽しめる旧車ミーティングという新しいスタイル見つけることができる場所となった。

《土田康弘》

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