12月7日から9日まで幕張メッセで開催されていた第13回高機能素材Week。材料・加工技術の総合展ということで、約900にも及ぶメーカーが出展していた。
大日本印刷株式会社のブースには、自動車に貼り付けられるフィルムの展示が行われていた。『2トーンルーフフィルム』として紹介されていたこの製品は、従来の2トーン塗装に対し、工程の短縮と環境負荷の低減を実現する。
ルーフトップだけボディとは別色で塗る場合、マスキング、中塗り、乾燥、トップコート(着色)トップコート(クリア)、乾燥といった手順を踏むことになるが、フィルムの場合、マスキング工程でカラーフィルムを貼り付けるだけなので、工程が大幅に減るだけでなく、CO2排出量も激減する。塗装では難しい柄についても、フィルムの場合は多彩な意匠を実現でき、ユーザーの好みに応じたカラーや意匠も実現できる利点がある。
担当者に話を聞いたところ、じつはこのフィルム、すでに製品として採用されているクルマがあるとのこと。マツダ『MX-30』のオプションであるルーフデカールは、この大日本印刷のフィルム技術が使われている。また今後はマツダのほかのモデルにも採用されていく予定といった話も聞けた。
もう1点展示されていたのは、樹脂パーツにフィルムを転写するといった技術。これは自動車に使われるピラーなどの樹脂パーツの表面に、テクスチャーやデザイン柄のフィルムを転写するというもの。こちらも、加工した樹脂に塗装するという工程がなくなるため、加工プロセスの短縮とCO2排出量の削減が可能。担当者の話では、転写するデザインを変えることでグレードの違いを表現するといったことも簡単にできるようになるとのことだった。