トヨタGAZOO RACINGのブースにはモリゾーこと豊田章男社長が登壇し、2023年、車好きのためのカーボンニュートラルとして2台のコンバージョンゼロエミッション車(ZEV)を紹介した。豊田社長は新年賀詞交換会を欠席していたので、2023年最初のパブリックな挨拶の場が東京オートサロン2023会場となった。
トヨタは日本をでていくのでは? という声もあるなか、豊田社長は「海外ではむしろ日本メーカーへの感謝の言葉を聞く。安心してください。トヨタは海外にでていくつもりはありません」と聴衆を安心させた。その上で、23年は「クルマ好きを誰ひとり置いていきたくない」とし、「クルマ好きだからこそできるカーボンニュートラル」を進めたいと宣言した。
そのやり方が、カスタムカーの祭典であるオートサロンにふさわしく「コンバージョン」を提案した。2050年のカーボンニュートラルはこれからの新車をすべてZEVにしても達成できない。ストック車両の排気ガスも減らす必要がある。逆にいえばZEVコンバートは既存車両やストック車両を脱炭素社会でも生かすことができる。クルマ好きこそ愛車を長く乗りたいはずだ。
そこで展示されたのは、GAZOO RACINGが開発した2台のAE86。パワートレインをBEVに換装した『レビン』と水素燃焼エンジンに換装した『トレノ』が紹介された。レビンはMTやクラッチなどはそのままでエンジン部分をモーターに置き換えた3ペダルEVとなっている。トヨタはレクサスでフルECU制御によるMTエミュレーションEVを発表しているが、シフト操作でエンジン(モーター)の回転を合わせたり、トルク回復のためにクラッチを蹴飛ばす、半クラでトルクを加減するといった操作は、おそらくエミュレーションでは限界がある。3ペダルEVとしてはむしろ正しい実装といえる。
水素燃焼エンジントレノは、カローラなどに乗せられた新しい水素燃焼エンジンではなく、4AGのブロックをそのまま使っている。これもコンバージョン水素燃焼エンジンとして正しい方向性だろう。既存技術が流用できるのが水素燃焼エンジンのメリットだが、エンジンそのものが流用できることは「愛車」温存という目的にも、より理想に近いものではないだろうか。
プレスカンファレンスでは、『GRヤリス』の「ロバンペラエディション」と「オジェエディション」がアンベールされた。