乗用車の保有台数は年々増え続けているにも関わらず、ガソリンスタンドは減少傾向が止まらない。資源エネルギー庁の資料「揮発油販売業者及び給油所数」によると2010年に38,777ヵ所あった給油所は2020年には29,005ヵ所まで減少している。法改正など原因は様々だと考えられているが、その一因にクルマの低燃費化、電動化が影響しているのは間違いないだろう。
このような状況の中、カーユーザーの困りごととして顕在化してきているのが「洗車をしたいけれど洗う場所がない」ということだ。多くの人が洗車で利用していたガソリンスタンドが減少していることで洗車難民が増えていると言う。
セルフ洗車場×コインランドリー
これに対して対策を講じているのが洗車機メーカー各社である。12月8日、9日に神奈川県のパシフィコ横浜で開催された「第7回国際コインランドリーEXPO2022」では、エムケー精工株式会社とビユーテー株式会社の洗車機メーカー2社が、コインランドリー店に対してセルフ洗車場の併設を促す展示を行っていた。担当者にお話を伺うと、コインランドリーとセルフ洗車場が意外と相性が良いことが分かった。
まず、どちらも遊休地を活用して収益化を目指す省人ビジネスであることは言うに及ばないが、それ以外にも雨天時にはコインランドリーの需要が増え、晴天時には洗車の需要が増えるため、天候による事業のリスクを相互補完できるというメリットがあるという。そのため現在全国各地にコインランドリーとセルフ洗車場が併設された店舗が増えてきているそうだ。
これまで洗車ビジネスは、ガソリンスタンドやカーディーラー、自動車用品店など、クルマを扱う事業者の行うサービスの印象が強かったが、コインランドリーやコンビニエンスストア、ショッピングセンター等に洗車場運営システムを提案することで新たな洗車文化の創造を目指している。
出張洗車サービス
また、コロナ禍を追い風に利用者を急増させたのが「出張洗車サービス」である。株式会社THE ANSWER(東京都杉並区)が提供する「JAPAN GOLD WASH」はコロナ禍の外出自粛期間に会員数増加を果たし、昨年9月には国内2店舗目を神奈川県横浜市にオープンさせた。出張洗車とは文字通り、自宅や勤務先、商業施設などの駐車場まで事業者が洗車をしにきてくれるサービスだ。最近では、水を使わずに洗車を行うサービスも増えており、“場所を選ばず車の移動や鍵の受け渡しもなしにサービスを受けられる”と注目を集めている。店舗を構える必要も高額な設備を導入する必要もなく開業しやすいことで、新規参入の事業者が後を絶たない。インターネットで検索をすると都市部を中心に様々な事業者がヒットするので興味のある方は調べてみるとよいだろう。
自動車アフターマーケットにおいては、パワートレインの変化や安全性能の進化により、これまでの常識が大きく覆る様相を見せている。そんな中、これらの影響を受けず、今後も高いニーズを維持し続けるのが洗車ビジネスだろう。