乗用車においてはEPB(電動パーキングブレーキ)はほぼ必須装備となり、軽自動車にも採用が進んでいる。大型トラックもADAS機能やヒルアシスト機能などの採用が進みEPBを搭載するモデルが増えている。
駆動方式および設計の慣習で、パーキングブレーキは後輪に設定されることが多い(スバルのFFでパーキングブレーキが前輪にかかるものがある)。リアブレーキはトラックや商用車、コンパクトカーなどでドラムブレーキの採用が多い。そのため、EPBもディスクブレーキ対応とドラムブレーキ対応の2種類がある。トラック用のEPBはドラムブレーキに装着するタイプが多いが、曙ブレーキがIAAE 2023で展示していたEPBは小型・中型トラックにも対応するディスクブレーキ向けのキャリパータイプのEPBだった。
特徴は1モーターで2ピストンを制御する独自の機構。同等品より発生出力は2倍になるが、消費電力(電流)は変わらない。軽量化にもとりくみ、同等品より1台あたり3kg以上軽くなっている。
トラックのディスクブレーキは、UDトラックス『クオン』(大型トラック)で採用されている。ディスクブレーキのメリットは、放熱がしやすいこととされる。もうひとつは耐フェード性が高まることだ。関連してブレーキフィーリングとコントロール性も増す。ただし、パーキングブレーキの場合、ブレーキをかけたまま放置される前提なので、ドラム式のセルフサーボ機能(タイヤが回転する力を、ドラム内側の湾曲したブレーキシューを押しつける力に変える)が有利に働く。そのためリアはドラムブレーキという設計思想は根強く残っている。
だが、EPBが一般化してくると、ブレーキがドラムかディスクかの違いはあまり重要ではなく、ドライバーの力だよりではなく、電動式でしっかり停止中のブレーキのクランプ能力が確保できる方を優先させるようになるかもしれない。