宮城県仙台市の夢メッセみやぎで3月18、19日の両日行われた「東北キャンピングカーショー2023」は、東京や愛知、大阪のショーとは違った独自性豊かなクルマで賑わった。
まず、会場のパネルや会話でも目立ったのが「防災」や「避難」というキーワード。東日本大震災の被災地である東北でのショーとあって、いざという時に家族で寝泊まりできるスペースと機能が備わったものが多く、注目を集めた。
来場者に話を聞くと、40代の男性は、「避難所は、簡単な仕切りで区切られただけで、人の声や物音などが気になって、いつまで続くか分からない生活に日に日にストレスが溜まっていった。」、20代前半と10代後半の女性は、「当時、小学生で本当に怖い思いをしました。余震が怖くて、家に戻れなかったです。」「地震の後、しばらく、クルマの中で生活しました。あの時、キャンピングカーがあったら良かったのにと思います。」などと話し、緊急避難場所としてのキャンピングカーに対する期待の大きさが表れていた。
また、東北のビルダーによれば「地震に限らず、近年は九州や中国地方、東海地方で豪雨災害があった後に、その地方からの問い合わせが増えた。最近の異常気象も影響して、万が一の時のためにキャンピングカーを購入したいという人も少なくない」という。
最近は比較的小さなキャンピングカーでも、家庭用エアコンを備えたモデルが増えたが、東北については、冬の寒さ対策が必須。FFヒーターが欠かせない装備となっている。最近、流行している小型のバンコンでは、ステージ21の「リゾートデュオ バンビーノ プラス プロ」が灯油式のFFヒーターを装着したモデルを公開して、話題となった。大型のモデルでは灯油式は暖房能力で不利だが、このクラスの広さであれば十分で、ガソリン式よりも使い勝手やコスト面ではメリットがある。
各社が工夫を凝らした断熱の面についても、詳しく話を聞いたり、多数のモデルを乗り比べて確かめる人の姿も多かった。
初日は彼岸の入りとは思えぬ厳寒で降雪も見られた東北のキャンピングカーショー。4WDが圧倒的に人気という特徴も見られた。エートゥゼットの「アンソニースペンド」は以前から人気のキャブコンだが、このショーにはディーゼル・4WDのモデルを追加して新たに持ち込んだ。
一方で、ジャパンキャンピングカーショーから今シーズンの目玉となっていた、フィアット「デュカト」は日本に正規輸入されているモデルが2WDであることから、ディーラー5社のブースには見られず、輸入の完成車数台のみにとどまった。
このほか、フィールドライフはおよそ4年ぶりにバスコンを展示。バスコンは大阪や愛知のショーでは展示がなく、目玉展示の1つとなった。山形パナソニックや宮城トヨタ、トイファクトリー東北などご当地のディーラーやビルダーなどの紹介した個性豊かなモデルの数々も印象的だった。