オートモビルカウンシル2023(4月14~16日、幕張メッセ)、マツダのテーマは「ロータリーエンジンの可能性の追求と新しい価値への挑戦」だ。新型車の『MX-30 e-SKYACTIV R-EV』はじめ、『コスモAP』、『RX-8ハイドロジェンRE』が展示された。
初日の記者会見に臨んだマツダの青山裕大取締役専務執行役員、ロータリーエンジンの量産化や撤退などの挑戦は「いずれも、当時のマツダにとっては、社運に関わる大きな出来事だった」という。
●ロータリーエンジンの挑戦はいつでも社運に関わる
1960年代、輸入自由化を求める海外からの圧力の高まりを受け、政府は対抗措置として、国内の中堅自動車メーカーを大企業に吸収させるという業界再編構想を打ち出した。マツダは自らの存在価値をロータリーエンジンに賭け、量産化に到達した。
1970年代には、オイルショックをきっかけにしたロータリーエンジン撤退の危機が訪れた。青山役員は撤退危機との闘いの裏に「ロータリー車のユーザーやファンを裏切ってはならない。“技術で失ったものは技術で取り返せ”をスローガンとする、技術者たちの使命感があった」と語る。
幕張のマツダブースでは、ロータリーエンジンが持つ燃料の多様性や拡張性の高さを活かし、走る歓びと環境性能との両立を追求してきた歴史を紹介している。
●マツダ・コスモAP
コスモAPは、マツダ初のロータリーエンジン搭載車となった『コスモスポーツ』の名前を受け継ぐ高級スペシャリティカーとして、1975年に発売された。当時は公害対策のために、各社が動力性能を落として対応する中で、マツダは従来の性能を維持したまま燃費を40%改善したロータリーエンジンの開発に成功した。業界に先駆けて排ガス規制をクリアしたことから、アンチポリューションの頭文字を取った“AP”の名を車名に採用した。
●マツダRX-8ハイドロジェンRE
RX-8ハイドロジェンREは、マツダが世界で初めて実用化した水素ロータリーエンジン搭載車だ。日本国内では官公庁を中心に8台を納入し、2007年には、ノルウェーの水素インフラ構築を目指した国家プロジェクト「ハイノールプロジェクト」に参画し、ノルウェーで実証実験を行なった。
内燃機関ならではのトルク感、加速感、排気音などを損なわずに、CO2排出量はゼロ、NOxもほとんど発生しない環境性能を実現した。また、水素燃料でもガソリン燃料でも走行可能なデュアルフューエルシステムで、インフラが未整備な地域でも走行できる。マルチフューエルに対応可能なロータリーエンジンの特性を活かした。