カーライフに直結する「社会・経済トピックス」をさまざま発信している当連載。現在は、「カーナビ」をテーマに据えてお贈りしている。昨今は「ナビはアプリで良い」と考えられることが増えているが、実際のところ「車載専用機」と「アプリ」との性能差はどうなのか…。
今回は、「自車位置精度」について分析する。
さて、ここまで説明してきたとおり「アプリ」はコスト面で大きなアドバンテージを発揮し、さらには地図データや機能が常に最新であるという利点も有する。対して「車載専用機」は、地図や案内が見やすく操作もしやすい。
そしてここまでは触れてこなかったが、「車載専用機」は「自車位置精度」が高い。例えばカロッツェリアの『サイバーナビ』では、ナビメカを動かすためのメインCPUとは別に、自車位置精度の演算のみに使用する専用CHIPを核とする自車位置精度専用システムを搭載している。それにて、最先端のGPSセンサー、ジャイロセンサー、加速度センサー、地図データ、これらから得る膨大かつ緻密な情報を高度に演算処理し、地図上に常に正しい自車位置をトレースし続ける。なので立体駐車場を出た瞬間にも正確に自車の位置を地図上に示すことができ、一般道と高速道路が上下に重なっているような局面でも、どちらを走っているのかを見失わない。
対して「アプリ」では、GPSの電波を受信することに加えてスマホ内の各種センサーも活用してある程度正確に自車位置を把握する。しかし、「車載専用機」の自車位置精度が高いだけに、それとの比較では見劣りするのは否めない。
しかし、そのビハインドを覆そうとする技術がいくつか開発されている。例えば「ナビアプリ」各種を提供しているナビタイムジャパンでは、オフラインでも活用できる地図データのダウンロードが可能で、通信環境が途絶える局面でもルート検索やナビゲーションが可能だ。
そしてこの4月20日より、カーナビアプリ『カーナビタイム』にて、OBD2接続に対応するようにもなった。これにより、トンネル内や高い建物に囲まれた場所等のGPSを受信しにくい場合でも、OBD2の車速情報を取得することでより正確な自車位置の表示が可能となった。ちなみに同社で実施した実地調査では、全長18.2kmの首都高速道路中央環状線の山手トンネルにて、自車位置精度は約99%を確保できていたとのことだ。
とはいえこのような特殊なものを除けば、こと「自車位置精度」に関しては「車載専用機」に分がある。スマホに搭載されている各種センサーの性能も上がっていて「アプリ」の自車位置精度も高まっているが、「車載専用機」の方が安心感が高い。
さて、「車載専用機」にも「アプリ」にもそれぞれ利点がある。コスト、見やすさ、使いやすさも鑑みて、自分にとって重んじるべきポイントは何かを見極めた上で選択したい。