もうちょっとエンジンをパワフルに、クルマを速くしたい!! なんて思っても本格的なエンジンチューンはコストも時間も大変掛かる。ならば、手軽にできる方法でパワーを高めて走りを楽しみたい。
エンジンパワーはあるに越したことはない。そんなに必要ないという人もいるが、パワーの余裕が走りの余裕に繋がる。いざ加速が必要になる合流などの場面では、余裕がある加速ができれば合流もスムーズにできる。だからこそ、高級車はすべからくエンジンパワーが十分にあるもので、アンダーパワーなコンパクトカーのような走りの高級サルーンはないわけだ。
すでに乗っているクルマにもう少し力があればいいなぁと思うとしても、エンジンチューンとなると大掛かりな話になる。排気量アップとか、カムシャフト交換のような話になるとトータルで100万円以上は普通に掛かる。ターボ車でタービンを大きくするのも20万や30万円では難しい。そこでここでは、そこまで必要としない手軽で効果的なエンジンパワーアップを可能にするカスタムをご紹介していく。
1:スロットルコントローラー装着
アクセルペダル付近などのコネクターに差し込んだりするだけのパーツがスロットルコントローラー。アクセルペダルを本来踏んだ量よりも、もっとスロットルを開くことでパワーアップさせたと思わせるパーツだ。そもそも、現代のクルマはワイヤーでアクセルペダルがスロットルを開いているのではなく、スロットル・バイ・ワイヤとか、フライ・バイ・ワイヤと呼ばれる仕組み。
足元のアクセルペダルを踏むとどれだけ踏んだかがクルマのコンピュータに信号が入力され、ドライバーがどれくらいの加速を欲しているかを予測して、それに合わせてモーターがスロットルを開閉する。そしてスロットルから入った空気の量に合わせて、ガソリンを噴射して走っているのだ。なので、実際にアクセルペダル踏んだ量とスロットルを開く量がまったくリンクしていない。アクセルを床まで踏んでもスロットルは80%しか開いてなかったり、またその逆もある。
そこでその信号を補正するのがスロットルコントローラーの役割。基本的には実際に踏んだ量よりもたくさんスロットルを開くようにして、強い加速をさせている。実際のエンジンパワーは変わらないが、体感としてはちょっと踏んだだけでもグイグイ加速したように感じられ、ドライバーからのフィーリングがかなり変わるのだ。
2:ECUデータ書き換え
エンジンは先述のアクセルからの信号に合わせて最適なガソリンの量の噴射し、バルブタイミングを調整し、スパークプラグで点火している。そのデータを書き換えるのがECUチューンだ。なぜデータを書き換えるのかというと、自動車メーカーでプログラムしたデータはまだ余力があるから。もっとパワーを出せるが排気ガスの観点や、燃費などからパワーを絞ってある。それらを最適値にすることで開放するのがECUデータ書き換えチューン。
手軽なものではHKSのフラッシュエディターがある。OBDコネクターに接続することでECUデータを書き換えるシステム。データはある程度パワーアップするものがすでにフラッシュエディターに入っているので、それを流し込むだけなのだ。ターボ車であれば20~30ps向上も可能。NA車でも10PSくらいはパワーアップが可能になる。それでいてコストは7万円ほどと本格的チューニン比べれば遥かにリーズナブルだ。さらにデータをノーマルに戻すこともできるので、ディーラーでの点検時などはノーマル戻しをしておくことが無難。そういった使い方ができるのだ。
3:ECUデータ現車合わせ
こちらは先程のECUデータ書き換えを1台ずつ合わせ込むチューンのこと。プロショップ限定でできるサービスで、シャシダイでパワー計測したり実際に走らせながらECU内部のデータを微調整していく。1台ずつクルマの個体差もあるし、使っているマフラーやエアクリーナーに合わせてデータをアジャストしていくことで、さらなるパワーアップが可能なのだ。
コストは1台あたり15万円くらいが主流。ECU書き換えのみは10万円で、現車合わせならさらに5万円とかそういった方式で販売されていることが多い。プロショップでのサービスが一般的だが、量販店でもECU書き換えフェアなどを開催しているときは現場でチューナーが現車合わせでデータを合わせ込んでくれることも多い。