アウディは6月7日、電動SUV『Q4 e-tron』(Audi Q4 e-tron)のフロントウインドウに、修理できないウインドウのリサイクル素材を最大30%含むガラスを採用すると発表した。
◆リサイクルされたガラスが新品と同等の品質と実証
アウディは、これまで行ってきたガラスリサイクルのパイロットプロジェクト「GlassLoop」を、さらに本格稼働させる。アウディは、パートナー企業と協力して、この種のガラスリサイクルを確立する初めてのプレミアム自動車メーカーになるという。
従来、修理できない車両のウインドウ(主にフロントガラスやパノラミックルーフ)は、いわゆるダウンサイクルとして知られるボトルや断熱材など、それほど品質要件の厳しくないコンポーネントに使用されてきた。このパイロットプロジェクトにより、リサイクルされたガラスが、新品と同等の品質であることが初めて実証された。
アウディは6月14日、ドイツ・ベルリンで開幕した「グリーンテック・フェスティバル2023」において、このリサイクルプロジェクトの詳細を展示している。アウディは設立パートナーとして、2020年から持続可能性に焦点を当てた「グリーンテック・フェスティバル」を支援している。
◆ガラス顆粒を溶解して自動車用板ガラスの製造プロセスに投入
アウディのGlassLoopプロジェクトでは、パートナー企業のReiling Glas Recycling、Saint-Gobain Glass、Saint-Gobain Sekuritと協力している。これにより、リサイクルされた素材を市販モデルの生産に組み込む方法を確立した。
パートナー企業は約1年をかけて、ダメージを受けた自動車用ガラスからQ4 e-tron用の新しいフロントガラスを製造する方法をアウディと共同でテストした。その結果、このプロセスを本格稼働させる準備が整った。
このリサイクルでは、最初に車両のウインドウを小さな破片に粉砕する。その後、接着剤の残留物など、ガラス以外の素材をすべて除去する。パートナー企業は、このようにして得られたガラス顆粒を溶解し、自動車用板ガラスの製造プロセスに投入する。この方法で製造されたガラスの二次含有量は、最大30%だ。
◆リサイクルガラスは9月からQ4 e-tronの生産に使用
その目的は、現在計画されている生産台数に基づき、Q4 e-tronの生産期間全体に渡って、充分な量のリサイクル素材を確保すること。このように生産されたフロントガラスは、2023年9月から、Q4 e-tronの生産に使用される予定だ。
将来的にアウディは、さらなる素材リサイクルの確立を目指している。この取り組みでは、環境に優しく経済的にも価値のある二次素材の使用を増やしていく。
循環型経済の目標は、素材の品質とグレードを可能な限り長く維持することだ。これは、素材を自動車産業内で再び使用できるようにして、品質要件の低い用途に使われることを避けるためにも重要という。これはアウディが注目している分野のひとつであり、例えば、ライフサイクルの終わりに達した車両から回収した素材の活用を意味する。その目的は、リサイクルプロセスによる素材の品質低下、ダウンサイクルを可能な限り減らすこと、としている。