神奈川県の小田原市役所で7月2日、「昭和の車と音楽を楽しむ集い」が開かれ、内外のクラシックカー約60台が集結。昭和に流行ったフォークソングなどの弾き語りを聴きながら、旧車オーナーや市民がつかの間の梅雨の晴れ間を楽しんだ。
主催したのは、2015年に地元の旧車愛好家が集まって結成した「あしがらクラシックカークラブ」。定例ミーティングの他、地元商店街の祭りなどにも参加しており、コロナ渦を挟んで今年3月には市役所本庁舎前庭を借りての開催に。5月にも開かれる予定だったが雨により中止。今回は昭和のヒット曲を中心とした生の弾き語りとコラボした開催となった。
この日集まって来たのは、会のメンバーを中心にゲストを含めて60台ほど。スバル『360』やホンダ『N360』といった360cc時代の軽自動車から日産『スカイライン』『フェアレディZ』『117クーペ』といった人気の名車などが並んだ。戦前の1935年に製造されたオースチン『7』や、いすゞ『ベレットファストバック』、三菱『デボネア』などの希少な現役個体も参加した。
驚いたのは、真っ赤なボディにサイドのレインボーストライプも鮮やかなアルファロメオ『アルフェッタGTVターボデルタ』(1979年)。競技のためのホモロゲとして、一説によれば300台だけが世に出たと言われ、おそらく日本ではこの1台だけという超レア車である。基本はアルフェッタだが、キャブレターとターボの組み合わせというのが最大の特徴。そのレストアに膨大な時間がかかったというオーナーは「イベントにはこれが最初の参加です。これからさらにエンジン調整などを進めてまた参加できれば」と話していた。
大々的に告知をしていなかったものの、SNSなどでイベントを知ったという来場者もそれなりの数に。県内から来たという日産『フィガロ』乗りの女性は、「古いのにどの車も奇麗にされていて驚きました。オーナーさんたちがいかに車を大切にしているのかが伝わってきました」と感心していた。また、近所から来たという4人連れの家族も。6歳の男の子は弾き語りのメンバーに「アンパンマン」や「となりのトトロ」などを演奏してもらうと、ノリノリに。「音楽、楽しい!」と笑顔だった。
小田原市は2019年から「EVを活用した地域エネルギーマネジメントモデル事業」を実施しており、この春には2020年に導入した日産『リーフ』2台に加え、『サクラ』5台も導入。公用およびカーシェアとしての利用を促進している。その充電器を備えたスペースを囲むように旧車を並べた、新旧の対比も興味深いイベントとなった。
あしがらクラシックカークラブの顧問・山崎憲一さんは「あまり参加台数を増やさず、これくらいの規模で長く続けていきたいですね。こうした一般の人も気安く来られるようなイベントにできれば」と話した。