日本ペイントは6月15日に開幕した「オートサービスショー2023」でE-CUBEカラボ2の展示を行った。
自動車業界にまつわる業務の中でも職人の腕に依存する部分が多いことで知られている調色工程分野だが、日本ペイントはこれまでにその業務効率化、およびコスト削減が可能な次世代コンピュータ調色システムとして、「E-CUBE カラボ」を販売してきた。月間60台、年間700台の塗装を手掛ける販売店の場合、カラボの導入で月3万5000円から、4万円ほどのコスト削減ができると言われており、調色後のデータ蓄積も可能で塗装業界の人材不足を補う形で浸透しつつある。カラボでターゲット色を読み取ることで、今まで職人の目と長年の勘で測定していた塗料の配合を誰でも簡単に行えるようになり、一度調色を行うことでため込んだデータは再現可能なため、塗装の際に余剰な塗料を調色する必要がなく、廃棄量を減らすことができるのである。
今回展示されていた「カラボ2」は上述のカラボのカメラ性能、ソフトウェアをアップデートさせた商品として、さらなる業務効率化に貢献しうるポテンシャルを秘めている。これまでのカラボで読み取ることが難しかった塗料内の“メタリック”を読み取る事が可能な「粒子感カメラ」が内蔵されているため、これまでのカラボで3~4回かかっていた調色工程を2回に削減することができる。
粒子感カメラの採用に伴い、1万~2万の色彩情報がデータベース内にインプットされたソフトの調色精度も向上された。一度調色したデータはカラボ同様にソフトウェア内に蓄積可能なため、同一車種の塗装時や再塗装にもスムーズに対応ができる。
「使用量管理アプリ」を含む計3つのサブアプリも追加された。先述のアプリではカラボ2で計量した原色の量、価格を記録していく。原色と価格を同時に記録できることは大きな意味があり、現場における作業者のコスト感醸成が店舗の損失削減に繋がるだけでなく、保険会社との交渉に用いることもできる。その他、日本ペイントの運営する自動車補修用塗料総合情報サイト「WEBVIF」にアクセスできるアプリも付帯している。
カラボ2が塗装業界にもたらすものは非常に大きい。誰でも熟練された職人と遜色のない塗装が行えるだけでなく、無駄な調色を行う必要がないことから、コスト削減の観点からも効果があるといえる。今後増加が見込まれる外国人労働者の新たな雇用創出にも繋がる可能性もある。
拡販における拡販における課題はやはり、現場の職人の理解だろう。リース契約プランがあることで、コストの課題は解決できそうではあるが、導入メリットを現場レベルまで浸透させないことには事業者は手を出しにくい。“次世代コンピュータ調色システム”カラボ2は長年自身の腕と勘で仕事をしてきた職人たちの信頼を勝ち得ることができるのか。日本ペイントの今後の活動に着目していきたい。