自転車なのに“自動変速”ってマジ? ベスビーから登場した最先端eバイク『スマーロ LX2』の実力は | CAR CARE PLUS

自転車なのに“自動変速”ってマジ? ベスビーから登場した最先端eバイク『スマーロ LX2』の実力は

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SMALO LX2
SMALO LX2 全 34 枚 拡大写真

ディスクブレーキやチューブレスタイヤなど、クルマやバイクの技術が自転車に使われることが珍しくなくなった。そんな中、自転車では珍しいオートシフト(オートマ)が搭載されたeバイクが「SMALO by BESV(スマーロ バイ ベスビー)」から登場。自動で変速する乗り心地、アプリとの連動など、その最新機能をテストした。

◆BESVから登場したシティライド向けのブランド

まずはブランドの紹介から。スタイリッシュなeバイクをリリースするBESV(ベスビー)については、ご存じの方も多いだろう。バッテリー、ドライブモーター、フレームなどを自社で一括製作できる体制を築き、特徴的なデザインのeバイクを開発しているブランドだ。当初から、バッテリー内蔵型のモデルを発表するなど、その開発力では一歩先を行くeバイクメーカーとして知られている。

そんなBESVが新たに立ち上げたのが、シティライドに特化したブランドのSMALO by BESV。BESV本来のスタイリッシュさはそのままに、「AI ドライビングシステム」と「IoT技術」を搭載したスマートバイクのブランドとなっている。

SMALO by BESVのラインアップは、『SMALO LX2』と『SMALO PX2』の2台だ。特徴的なフレームのデザインには共通性もあるが、ホイールサイズだけでなく機能的な違いもある。

LX2は、ホリゾンタルフレームに28インチのホイールを組み込んだクロスバイクタイプで、バッテリーをフレームに内蔵したほか、AIドライビングシステムを採用したオートマチック7段変速が特長。価格は44万8000円。

もう一台のPX2は、20インチホイールを採用したeミニベロだ。乗り心地が良い前後サスのほか、取り外しできるバッテリーを採用し、取り扱いのしやすさが特長だが、オートマチック変速には対応していない。こちらの価格は39万8000円となっている。

全くキャラクターの違う2台を揃えているので、自分のライフスタイルや乗り方で選ぶと良いだろう。今回は、オートマチック7段変速を搭載し新たにリリースされたLX2をメインに試乗レポートをお届けしよう。

◆ライダーに合わせたパワーを自動選択する

BESV独自のドライブモーターを独自のシステム駆動させる。

LX2に搭載されているのが、上り/下りなどの路面状況、ペダルにかかるトルクなどをAIが瞬時に判断し、最適なアシスト力、ギヤ選択する「AI ドライビングシステム」。

ペダルにかかるトルクで、アシスト力のみが自動変速されるモデルはこれまでもあったが、「アシスト力とシフト」の両方が自動で変速されるものはかなり珍しい。

アシストモードを「スマートモード」にセットすると、ペダルを踏む力に対して、AIが自動でギアをセッティングしてくれる仕組み。シマノの内装変速はワイヤー式の7段変速だが、システムが作動し自動でワイヤーを引いて変速させる、デジタルとアナログが融合したシステムになっている。

乗り味については後述するが、ペダルにかけたトルクに対して、アシストが自然に補助をしてくれる感じもあり、さらにトルクがかかっているときは軽いギアを選択し、スピードが乗ってくれば重いギアに変速。走り出し、上り、平地など、シーンが変わっても"踏み心地は一定"のような体感があった。

◆スマホ連携することで広がる機能

もうひとつの特長が、IoT技術を搭載したスマートバイクであること。独自開発のスマホアプリと連携することで、さまざまなサービスが受けられるようになっている。

目的地を検索するとルートも表示でき、現状のバッテリー残量で目的地までいけるかどうかを判断してくれる機能も搭載。バイク本体にはGPSも搭載してあり、自転車の正確な所在地が確認可能だ。ルート案内に使用されるほか、万が一の盗難の際にも地図上に愛車の位置が表示される。

さらに防犯という観点で言えば、施錠もアプリを通じて行う。チェーンステイ上にボタンがあり、ボタンを押して施錠、アプリを操作して開錠する「e-Lock」機能を採用。またこの施錠中に自転車が移動したり、振動が加えられるとアラームが鳴動し、さらにスマホに通知もされる。まさにキーレスキーやカーセキュリティそのものといった感じ。

◆気になる乗り心地は?

普段はロードバイクを主に乗ることが多い筆者。「自転車のシフトは自分で操作してこそ」と思っていたし、「操作するのが楽しいんじゃないか!」なんて思っていた。

しかしLX2に乗ってみて、ちょっとだけその考えが変わった。シフト操作はスムーズで、パワーが必要な漕ぎ出しのタイミングではしっかりとアシストがかかって、かなり軽く走り出す。スピードが乗ってくると、今度は重いギアに自動で変速されて、スピードに乗っていく。

ギア操作はシマノの内装変速をワイヤーを引っ張る形で操作しているため、自分で操作するよりも少しタイムラグを感じるが変速そのものはスムーズ。上りにさしかかっても同様、ほぼ思う通りに変速してくれるところには驚かされた。街乗りで使用する分には十分だと感じるレベル。

ついつい自分で操作するのが当たり前だと思っているので、自分で操作したくなってくるが、完全に自転車にお任せできるようになってくると「もう、これでいいじゃん」と思ってしまう。人間、楽な方に流れてしまうものだ。

◆荒削りなところはあるけど、これからの進化が楽しみになる

もちろん、ロードバイクのようにクルクルと高回転でペダルを回す乗り方には対応していないが、先ほども記載したように、のんびり街を走る分にはまったく問題なし。脚にかかるトルクも一定になるようにシステムが調整してくれるし、信号待ちの度に軽いギアにしなくてもOK。「これがいいな」という感じだ。

シフト関係が自動であるほか、電装システムをセルフチェックしてくれるところもかなり便利。異常があった場合は、その問題の部分をアプリ上に表示してくれるほか、内装ギアのワイヤーの伸びの調整もボタンひとつで行ってくれる。

BESVとしては「これをベースにして、さらにスマートバイクを進化させていく」とのこと。確かにまだ荒削りなところはあるけど、なんだか面白くなっていきそうな雰囲気は十分に感じた。今は街乗り向けだが、よりスポーツ向けのものに電動シフトが採用されて…と想像するとかなり楽しみであることには間違いなし。今後も注目していきたいeバイクのひとつだ。

《今 雄飛》

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