ホイールは軽いだけではダメ…クルマ重量化に立ち向かうモデルチェンジ | CAR CARE PLUS

ホイールは軽いだけではダメ…クルマ重量化に立ち向かうモデルチェンジ

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ホイールに重要なのは軽さ!?強さ!?
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ホイールは軽いほど良いとされて来た。もちろんそうだが、ただ軽いだけではダメ。十分に車重とパワーを受け止める性能を持った上での重量が重要になる。

バネ下重量とはサスペンションのスプリングよりも路面に近い部分の重さのこと。具体的にはタイヤ、ホイール、ナックル(アップライト)などがその範囲に入る。

この部分が重いと路面に追従した上下動がしにくくなるので、クルマは軽快に動きにくくなり、路面のギャップも吸収しにくくなる。

バネ下重量が軽いと路面のデコボコにタイヤが追従してストロークしやすく、クルマの運動性能は高まる。乗り心地もサスペンションが路面の凹凸を吸収しやすいので良くなる傾向になる。

このバネ下の軽量化はバネ上の軽量化よりも遥かに効果が大きいとされる。バネ上重量の5倍や10倍の効果があると言われる。だが、これも体感的なイメージの話。サーキットでバネ上で10kg軽量化して0.1秒ラップタイムが短縮されたときに、バネ下で10kg軽量化したら1秒上がるのかというとそれは時と場合によるわけである。

◆アルミホイールはチューニングの王道

しかし、いずれにしても大きな効果を発揮するので、バネ下重量を軽くするのはチューニングの王道なのだ。そこで支持されてきたのがアルミホイールだ。

昔は純正ホイールと言えば重い鉄製が主流。今も商用車や廉価版グレードなどには鉄製の通称「鉄チン」と呼ばれるホイールが使われている。

これをアルミ製の軽量なホイールにすることで、運動性能の向上をさせようというのがチューニングの王道だったのだ。

現代では多くのクルマで純正でアルミホイールが装着されている。しかし、アルミ製とはいえ決して軽くない物も多い。そこで軽量なアルミホイールにすることで、バネ下重量を低減させようという狙いなのだ。

アフターマーケットのアルミホイールではドレスアップ用途の物も多い。そういったものはデザインで選べばいいが、走行性能を高めようという狙いなら少しでも軽いアルミホイールにしようと思うのがユーザーというものである。

◆軽くて丈夫な鍛造ホイール

そこでホイールメーカーからもあらゆる技術を駆使して軽量なホイールをリリースしてきた。その代表的なものが鍛造ホイールだ。

通常は溶かしたアルミを型に流し込んで固める鋳造製法が一般的。製造コストが安く、デザイン的にも細かい造形を作りやすい。

対する鍛造製法はアルミ材を数千トンのプレス機で押しつぶして作る。このアルミが潰されていくときに素材に力が加わることで鍛流線と呼ばれるアルミの素材の流れができ、この鍛流線が素材として粘りをもたらす。

どちらかというと脆く壊れやすい素材だったアルミが、粘り気のあるしなやかな素材になることで、大きな荷重を受け止めることができるようになる。強度や剛性が高まり、鋳造製法に比べて肉厚を薄くできるのだ。その分だけホイールは軽く仕上がるというわけである。

◆鋳造ホイールにもモデルチェンジの波

だが、そんな鍛造ホイールにも鋳造ホイールにもモデルチェンジの波が押し寄せてきている。それはクルマの重量化とハイパワー化による影響が大きい。

近年、クルマは衝突安全性などの観点からどんどん大きく重くなっている。その重量増を打ち消すべくエンジン側はどんどんハイパワー化が進み、今や300psや400psのノーマルカーもあるほどなのだ。

それらの重量化とハイパワー化はホイールを厳しい条件に置く。ホイールは重くなった車重を支え、ハイパワー&高トルク化されたエンジンパワーを受け止めてタイヤに伝える。

そのタイヤ自体も年々グリップがよくなってきて、ホイールに対する入力を増やしているのだ。

そこで最新モデルに対応しようとホイール側も進化している。例えばレイズの場合、スポーツホイールとして定番の鍛造モデルTE37はモデルチェンジを行い現在はTE37SAGA S-PLUSに進化している。

同じサイズではTE37に比べて最新のTE37SAGA S-PLUSは重量が増えている。しかし、重くなってでも強度や剛性をアップさせたほうが走りの性能に対する効果は大きいというのがレイズの回答なのだ。

重くなりハイパワー化されるとホイールはその入力に対して大きく変形したり歪んだりする。それも一瞬のことで普通に走る分には問題ないが、ハンドリングがフラフラするとか、サーキットではアンダーステアやオーバーステアが起きやすいといったことも起きるのだ。

それほどまでに剛性や強度は重要で、レイズでも最新モデルについては多少重量が増えても必要十分な強さを与えているのだという。

なので、現代のクルマに「秘蔵の20年前のホイール」を履かせるなんてことはナンセンス。サイズ的にも使えるし走って問題が起きるわけではないが、本来の性能を感じるならば今どきのホイールを使うようにしたい。それほどまでにホイールの剛性などがハンドリングに与える影響は大きいのだ。

新時代のホイール革命?クルマ重量化に立ち向かうモデルチェンジ~カスタムHOW TO~

《加茂新》

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