エンジンオイル管理の鍵? オイルエレメント/オイルフィルターとは | CAR CARE PLUS

エンジンオイル管理の鍵? オイルエレメント/オイルフィルターとは

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エンジンオイル管理の鍵? オイルエレメントに注目 ~Weeklyメンテナンス~
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オイルエレメント/オイルフィルターというパーツ名を耳にしたことがあるだろうか? 実はエンジンにとって非常に大切なパーツでありオイル管理には不可欠なメンテナンス項目なので要注目だ。

そもそもオイルエレメント/オイルフィルターとは何だろう? カー用品店などでそれぞれ呼び方は異なる場合があるが、両者は同じものを指しオイルエレメント=オイルフィルターと思っても良いだろう。エレメントとは“ろ過紙”のことを指す言葉で、オイルの汚れをろ過する機能を持つオイルフィルターの部品として用いられている。そのためオイルフィルターをオイルエレメントと呼ぶことも多い(ここからはオイルエレメントの呼称で統一して説明することとする)。

オイルエレメントの働きはオイルの汚れをろ過することだと先にも伝えた通り、オイルの管理には欠かせないパーツなのだ。オイルはエンジン内を循環していてエンジンの潤滑や冷却、密封や清浄分散、防錆作用などの働きをしている。そのためエンジンオイルの管理はエンジンが常に完調で動作するためには最重要項目になっている。そこで注意したいのがオイルの汚れだ。エンジンオイルはエンジンを稼働させると徐々に汚れていく、この汚れがエンジンにとっては大敵なのだ。エンジンオイルはエンジン内の汚れ(スラッジや金属片など)を取り込んでエンジンのコンディションを整える役目を備えている。しかし、いったんエンジンオイルの取り込んだ汚れが再びエンジン内に巡ってしまうと性能低下やトラブルの原因になる。そこでクローズアップされるのがオイルエレメントだ。エンジンオイルの流路の間に設置され、汚れたエンジンオイルをろ過し、きれいな状態にしてエンジンに戻す働きをしているのだ。

エンジンオイルの汚れを濾し取って回収する役目を持っているオイルエレメントだが、使い続けると性能低下があるので要注意だ。具体的には汚れが堆積していくとオイルエレメント内のろ過紙が目詰まりしてしまい、最悪の場合はろ過紙を通過せずバイパス路(ろ過紙を回避するリリーフバルブが設けられている)を通って汚れたオイルがそのままエンジンに流れ続けることになってしまう。こうなるとエンジン性能の低下を招いたり、最悪の場合にはエンジンにダメージを与えることにもなりかねない。そのためオイル交換と同様にオイルエレメントも定期的な交換が必要になる。一般的にはオイル交換2回に1回程度はオイルエレメントを交換するといいだろう。

ところでエンジンオイルの汚れはどうして起こるのだろう、オイルエレメントの効果をより深く知るためにまずはエンジンオイルが汚れるメカニズムを簡単に説明しておこう。

エンジンが作動する際にエンジンの燃焼室内にスス(燃えかすや不完全燃焼した際の汚れ)が発生する、これがピストンリングの隙間をくぐり抜けてクランクケース内に到達し堆積していくのがスラッジと呼ばれるもの。クランクケース内に溜まるスラッジは最初はごく小さな粒子なのだが、どんどん集まって大きな粒子に成長して行く。エンジン内には不必要な異物=汚れであるスラッジはエンジンに悪影響を及ぼしてしまう(パワーダウンや燃費の悪化など)やっかいものなのだ。そこでエンジンオイルはスラッジが大きく成長する前に油分に取り込む(分散作用)ことでエンジン内を常にクリーンに保つ効果を備えている。さらに金属面に付いた汚れを取り除く効果(清浄作用)も備えているため、エンジン内をきれいにしつつ、汚れをエンジンオイルの中に取り込み、エンジンの健康状態を常にキープする役目を果たしているのだ。

このようなエンジンオイルの働きが良くわかるのがオイル交換のタイミングだ。新しいオイルが透明度が高くきれいなのに対して、エンジンから出てきた古いオイル(廃油)は濁って汚れており透明度がまったくないのがわかる。これこそがエンジンオイルがエンジン内の汚れを油分の中に取り込んでいる証拠だ。

先にも紹介した通り、オイルエレメントはオイル交換2回に1回程度の頻度で交換するのが良いだろう。オイルエレメントはエンジンオイルの流路に設置されているのでエンジンオイルを抜いた上で交換することになるので、単体での交換では無くオイル交換と合わせて行う作業だと考えておこう。ディーラーやショップにオイル交換をお願いしている場合には「オイル交換と一緒にオイルエレメントの交換もお願いします」とオーダーすると良いだろう。

またDIYでオイル交換を実施しているユーザーであればオイルエレメントの交換もそれほど難しい作業ではない。取り付け位置はエンジンの下部、ジャッキアップしてクルマの下に潜り込めば円筒形のオイルエレメントが見つかるだろう。専用のオイルフィルターレンチを使って脱着する。新しいオイルエレメントを取り付ける際にはOリング部分にエンジンオイルを塗布して取り付けることも忘れずに。最後にオイルを規定量注ぎ込んだら完了だ。

オイル交換は気にしていてもオイルエレメントの交換には無頓着だったというユーザーも多い。オイル交換と同様にエンジンオイルの管理には欠かせないオイルエレメントのリフレッシュ、今度のオイル交換では合わせて実施してエンジンの健康状態をキープしよう。

土田康弘|ライター
デジタル音声に関わるエンジニアを経験した後に出版社の編集者に転職。バイク雑誌や4WD雑誌の編集部で勤務。独立後はカーオーディオ、クルマ、腕時計、モノ系、インテリア、アウトドア関連などのライティングを手がけ、カーオーディオ雑誌の編集長も請負。現在もカーオーディオをはじめとしたライティング中心に活動中。

エンジンオイル管理の鍵? オイルエレメントに注目 ~Weeklyメンテナンス~

《土田康弘》

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