パイオニアが昨年春に“会話するドライビングパートナー”として発売し、話題を呼んだ『NP1』が10月10日、5回目の大型アップデートを実施した。それは、NP1として初めてApple CarPlay/Android Autoとの連携を果たしたというもの。その体験レポートをお伝えする。
◆5回目となるアップデートでついにApple CarPlay/Android Autoに対応
NP1は通信機能を備えることで、音声を活用した「スマート音声ナビ」や、クラウドに撮影データを保存できる「次世代通信型ドライブレコーダー」を実現した車載ユニットだ。他にも有料オプションで「クルマWi-Fi」を利用することもでき、これにより同乗者が車内Wi-Fiとして利用することも可能になる。
NP1で最大のポイントとなるのは、通信による定期的なアップデートによって常に最新機能が利用できることにある。いわゆる無線通信によってソフトウェアを更新する「OTA(Over The Air)」を活用するものであり、NP1はこれまでも定期的な機能更新を繰り返してきた。
2022年5月には「Amazon Alexa」に対応したのを皮切りに、声優による音声ガイドの追加した「コエ替え」や車両の遠隔監視を行う「マイカーウェッチ」、10万件を超えるスポット情報の追加を実施。そして、今回、Apple CarPlay/Android Autoとの連携を中心とした大幅な機能アップを図ったことになる。
今回のアップデートによってもたらされたのは、これまで専用アプリ「My NP1」でのみ展開されていた地図表示を、Apple CarPlay/Android Autoを介することでより画面が大きいディスプレイオーディオ(DA)上でも展開できるようになることだ。
昨今は純正でもDAの装着率が高まっており、今や8~9インチというカーナビと同等の画面サイズを持つDAが登場するまでになっている。その背景にはスマートフォンで無料のカーナビ用アプリが充実してきたことも大きい。今回のアップデートはNP1との組み合わせでそうした環境を提供する初の対応となる。
◆きめ細かな音声ガイドに画面上での案内が加わり、安心度はさらにアップ
この対応によってもたらされるのはインターフェースの向上だ、DAは画面が大きいだけに視認性が向上するだけでなく、タッチ操作による操作環境の改善にもつながる。何よりも、従来からのNP1のきめ細かな音声ガイドに加え、ほぼカーナビと同等のルートガイドが画面上で利用可能になったことは大きなプラスポイントと言えるだろう。
ただ、ここでNP1がデビューした当時を振り返ると、「音声だけでもわかりやすいルートガイド」がウリとなっていたはず。しかし、今回のアップデートはそれと“逆張り”とも言える機能になっている。これはどういう理由なのか。
パイオニアによれば、「今も音声だけによるルートガイドのわかりやすさには自信を持っている。しかし、画面を見ながら使うことに慣れている多くのユーザーは、カーナビのように大きな画面で使いたいとの声が大きかった」という。今回のアップデートはそうした声に応えて追加されたものになるわけだ。
実は日本と海外のカーナビの決定的な違いは、交差点での案内方法にある。海外(特に欧米)では、すべての道路に名称が与えられているため、交差点に近づいたら進むべき道路名をガイドするのが基本。日本では道路名が整備されていないため、交差点での目印や交差点での状況把握が欠かせない。
この状況を踏まえると、NP1の音声によるガイドは、むしろ日本より欧米の方が向いているとも言え、複雑な交差点が多い日本のユーザーにとっては嬉しいアップデートになったのは間違いない。
◆ディスプレイオーディオでは、まるでカーナビのような使い勝手を実現
さて、今回の体験では、トヨタ「アルファード」に装着されていた純正ナビに、最新のアップデートを済ませたNP1を組み合わせたものを使用した。スマホは専用アプリ「My NP1」をインストールしたAndroid端末。これを有線接続してAndroid Auto上で展開させていた。
地図が表示されると、思わず「おおっ!」と声が出そうになるぐらい、その鮮明さに目を奪われた。これまでもスマホ上でも「My NP1」の地図はキレイであると実感していたが、その数倍にもなる大きさでの表示に改めて感動してしまったのだ。しかも、その表示はDAでの展開に伴って“ヨコ”となり、これが“カーナビっぽさ”をいっそう実感させてくれる。
さらに道路の道幅や種別が一目で判別できるようになり、これは視認性という観点でも大きなプラス。幹線道路の路線番号も見やすいし、高速道路のインターチェンジ名も大きくしっかりと把握できる。ここに交差点までの距離や交差点名、車線ガイドが加わった。つまり、画面サイズの大型化が明らかにわかりやすいルートガイドの実現につながったのだ。
音声ガイドは基本的にテキストtoスピーチ(TTS)によるものだ。出力はNP1から行われているため、ドライバー席でも十分に聞き取りやすい。もともとNP1の筐体がしっかりとしていたこともあり、ドライブレコーダーにありがちな頼りない音声とは違い、その声質は十分に聞き取りやすい。ここもNP1ならではの美点と言えるだろう。
◆安全運転に貢献する「オービス/取締まり情報通知機能」を新搭載
そして、今回のアップデートではもう一つ見逃せないポイントがある。それが「オービス/取締まり情報通知機能」だ。これは改めて説明するまでもないが、オービスが設置してある場所に近づいたり、取締りエリアに入ると警告音と音声で提供するというもの。
具体的には、全国359カ所(2023年10月時点)に設置してある最新の固定式/半固定式のオービスの設置ポイントや、各警察署が公開している情報を元に知らせる。データは通信により自動的に年2回アップデートされるということで、ここでも通信機能を持つNP1からではのメリットが活かされている格好だ。
この日の体験でもスタートしてすぐに周辺の公開取締り情報を音声で案内した。すると、この案内の直後、交差点で取締中の警官に遭遇したというのは本当の話。また、オービスの設置場所に近づくと、「オービスのあるエリアに入りました」→「オービスが近くにあります」というふうに順に案内方法を変えていく。この2段構えで聞き逃しはほとんどないのではないかと感じた。ただし、地図上の表示は行われない。
今回のアップデートでは検索能力の向上も図られている。それは、これまでスマホの「My NP1」でしかできなかった住所検索や電話番号検索などを、NP1本体に直接話しかけることでも可能になったことだ。本来、NP1は音声ですべてを完結することをウリとしていただけに、特にNP1単体で使っている人にとっては嬉しい機能アップとなったことは間違いない。
◆Wi-Fi接続する後方撮影用ドライブレコーダーも新登場!
今回のアップデートと合わせて発売になったのが、NP1と組み合わせて使う後方用ドライブレコーダー「NP-RDR001」だ。今回のデモカーにはこの製品も装着されていた。
「NP-RDR001」の実勢価格は1万円弱。基本的に単体利用を前提とするドライブレコーダーで、専用アプリ「リアドライブレコーダーアシスト」をインストールし、スマホとはWi-Fiで接続して使う。スマホ上で撮影した映像を確認したり、各種設定も行え、もちろん「My NP1」からこのアプリに切り替えることも可能だ。NP1とは接続しなくてもいいが、電源を取るケーブルの接続は必要になる 。
実はNP1には後方を撮影できるイン側専用カメラも装備されているが、それは車内越しであったたため、後方の映像とはいえ、鮮明さには欠けていた。そのため、ユーザーからも後方専用カメラの発売を期待する声も多かったという。ただ、NP1には後方用カメラを接続する端子が用意されていない。そこでこの後方用カメラをスマホでWi-Fi接続するする方法が採られたというわけだ。
注意点としては、NP1本体で撮影した映像は自動的にクラウドにアップされるが、これは完全に単独で動作しているため、保存は本機側のマイクロSDカードに記録されるのみとなる。必要に応じてスマホへのダウンロードすることをオススメしたい。
◆「NP1」の購入を迷っていた人に、期間限定のチャンス到来!
最後に、これからNP1の購入を考えている人にお伝えしたいことがある。それは公式オンラインショップにおいて、NP1をお得に買えるキャンペーンについてだ。しかも、そのお得度が半端じゃない。
期間限定キャンペーン(対象期間:2023年11月1日から2024年1月9日 午前10時まで)ではあるが、この期間中なら通信料1年分込みのバージョンで従来の6万5780円が3万9800円に、3年分込みのバージョンでは従来9万3500円だったものが6万7520円で買える。しかも、23年12月15日までにアクティベートすると、もれなくLINEポイント3000をもらえるのだ。
そして、お買い得な情報はこれだけじゃなかった。実は近所のオートバックスに行って驚いた。パイオニアの公式オンラインショップと同じ価格/条件で提供される上に、なんとその価格には取り付け工賃まで含まれているというのだ。店舗によれば、これはオートバックス独自のキャンペーンらしく、他のカー用品店ではおそらく提供されていないという。
NP1は駐車監視等を機能させるため、電源はバッテリー直結で引っ張ってくる必要がある。そのため、取り付け工賃は2万円前後はかかるはずだ。私が訪れたオートバックスの話では、車種によっては別途料金が発生することもあるようだが、大多数は基本料金で取り付けられるとのことだった。これはまさに価格面でNP1の購入に踏み切れなかった人にとっては願ってもないチャンスとなるだろう。