現代カーオーディオでは多くの場合、システムの最終的な音質を上げようとするとき何らかの「サウンドチューニング機能」が活用される。当連載では、その操作方法を解説している。それを自分でもやってみると、カーオーディオを一層深く楽しめる。
さて、今回からは「イコライザー」の操作方法を説明していこうと思うのだが、その前に、そもそもこれが何のための機能なのかを解説しておきたい。
結論から入ろう。「イコライザー」とは、「周波数特性の乱れを正すための機能」、もしくは「出音を音源と同じにするための機能」だ。というのも「イコライズ」とは、「等しくする」とか「同じにする」という意味の言葉だ。なので「イコライザー」もその意味どおりに、「周波数特性が出っ張ったり引っ込んだりしているところを平らに(等しく)するための機能」であり、「元の音と同じにする機能」なのである。
しかしながらドライバーの多くは、「イコライザー」と聞くと「サウンドに味付けを加える機能」、あるいは「好みの音に変える機能」だとイメージしがちだ。なお、その理解も実のとこは正解だ。実際「イコライザー」を操作することでサウンドに味付けを加えられるし、好みの音にも変えられる。そうすることでもともとのサウンドと音色が変化したとしても、音楽の楽しみ方は人それぞれだ。好みの音に変えることを、人からとやかく言われる筋合いはない。
でも、もともとの音源どおりのサウンドを楽しみたいと思う場合には、「イコラニザー」はそのための機能としても大いに役立つ。
ただし…。簡易的なタイプの「イコライザー」では、そのような使い方をするのが難しい。なぜならば、詳細な設定ができないからだ。人間の可聴帯域は20Hzから20kHzと言われていて、その範囲は音階でいうと約10オクターブ分に相当する。それほど広範囲な音域を、5とか7といった少ないバンド数の「イコライザー」では、乱れが生じている周波数帯にピンポイントでアクセスできない。ゆえに、乱れを正すという使い方はし難いのだ。
なので、簡易的な「イコライザー」ではおのずと、「サウンドに味付けを加える」という使い方が中心になる。
一方、高度な「イコライザー」では調整できるバンド数が31バンドあったり、左右のchを個別に調整できたり、さらには1つ1つのスピーカーユニットに送り込まれる信号のそれぞれを31バンドという細かさで調整できたりする。そのような「イコライザー」であれば、周波数特性の乱れをピンポイントで修正できる。
今回は以上だ。次回からは、まずは簡易的な「イコライザー」の使いこなし術を紹介していく。お楽しみに。