11月25日から28日にかけて、クラシックジャパンラリーinセブンスターズのラリーパートが終了した。主催は一般社団法人クラシックジャパンラリー。
◆子供たちの目がキラキラと
クラシックジャパンラリーシリーズは年に何度かクラシックカーラリーを開催しており、毎年秋には九州を中心に行われている。今年は11月21日から24日まで、JR九州と共催の『“ななつ星in九州”との旅』という前半パートと、25日から28日までのラリーパートの2部制となり、後半のラリーパートが閉幕した。
1920年代から70年代前半のクラシックカー、41台が参加。25日に博多川端商店街(福岡県福岡市)をスタートした参加者は、佐賀を経由し長崎の雲仙に宿泊。26日はフェリーで熊本に渡りそこから大分まで。3日目となる27日はいったん福岡に戻った後関門海峡で山口へ。そして最終日は福岡県北九州市の門司港駅にゴールする約900kmの旅程だった。
この中で最も大会の趣旨を反映していたのは3日目の大分県豊後高田市立高田小学校への訪問だ。その趣旨というのは、次世代を担う子供たちにクラシックカーに触れる機会を設けることで、美しいものへの憧れと、維持するための技術に興味を持ってもらうこと。そしてその維持のために努力しているメカニックへの尊敬心を育む機会にすること。その結果として一人でも多くクルマ好きが増え、将来にわたってクラシックカーが愛され受け継がれていくようにしていきたいというものである。
高田小学校に到着した参加車両は校庭に整列。そこで待ち受けていた生徒たちは最初こそ大人しく先生の指示に従っていたが、すぐに自分が興味を持ったクルマへ一目散。まずはぐるぐるとクルマの周りをまわり、その後、恐る恐るオーナーに話しかけ、そしてそのオーナーの好意でシートに座らせてもらったり、クラクションを鳴らしてみたり、ボンネットを開けているクルマではメカニックに説明を求め、その整備を真剣なまなざしで眺めている光景があちらこちらで見られた。その子供たちの目は例外なくキラキラと輝き、笑顔に溢れていたのが印象的だった。さらにそれを見ているオーナーたちも本当に楽しそうに子供たちと会話をしていた。
同校の教諭は、「子供たちにとって本当に貴重な体験で、このチャンスを頂けたことをとても嬉しく思っている。予想以上に子供たちの目がキラキラ輝いていて、興奮が伝わってきた。実際に見て、体験して色々な話を聞かせてもらったことが、子供たちにとっては本当に素晴らしい貴重な時間だったと思う。全く知らない方との触れ合いも、これから生きていくうえで大きな糧になると思う」とコメントしていた。
◆4年越しの目標達成
主催者の一人、岡野正道氏は、「2部構成の今回のイベントの前半はJR九州のななつ星in九州とクラシックカーの共演だった。実はこの開催は4年越しの目標だった」という。「最初に九州で開催した2018年ではJALとの縁があり天草(熊本県天草市)で行った。ここで初めて航空機でクラシックカーを運ぶことを実現した」と当時を振り返る。
同時に、「九州といえばななつ星in九州と考え、JR九州と話をしたのだが、当時はななつ星in九州とのコラボレーションは考えていない」と断られたそうだ。そこから岡野氏のラブコールが始まる。まずは門司港駅からこのイベントのスタートやゴールする形で開催し、そこからこのイベントの意義や雰囲気などを感じてもらうようにしながら徐々につながりを強化。その結果として今回の開催にこぎつけたのだ。岡野氏は、「思い続け、その思いを伝え続けていくと本当に夢が叶うんだと感じている」と語る。
そして後半のラリーについては、「素晴らしいクラシックカーと参加者の皆さんと一緒に門司港駅にゴールできたのはとても嬉しい。これはメカニックのおかげでもある」と述べる。「今回小学校の訪問時にもメカニックがエンジンをかけてくれたりして、子供たちの興味に火をつけていた。このラリーではエントラント、スタッフだけでなく、メカニックとも一緒に過ごした4日間となり。たくさん思い出が作れたように思う」とし、メカニックに敬意を表していた。
最後に岡野氏は、「兄の岡野大介と二人で進めてきたこの九州のイベントも今回で5回目となり一区切り。今回はななつ星in九州とともに大会を行うことができたので、まさに集大成だ。たくさんのスタッフにも支えられてなんとか5回を過ごすことができた。来年以降はまだどのようになるか未定だが、この九州において100近い自治体と連携ができ、また輸入車ディーラーのヤナセにも支援してもらってきたので、こういった縁を大切に新しい、楽しいイベントを作っていきたい」と、来年の開催は未定ながら、近い将来、新しい企画とともに皆を喜ばせ、子供たちに夢を与えるイベントとして再始動するに違いない。
国内外のクラシックカーイベントで、クラシックカーと陸(JR九州・ヤナセ)、海(カーフェリー)、空(JAL)の全てとコラボレーションした例は稀有だし、さらに7台ものブガッティを見られるイベントはここくらいなので、ここで火を消すことなく新たな一歩に期待したい。