ZFは11月29日、アフターマーケット向けに電動アクスル用リペアキットを投入すると発表。これにより独立系の民間整備工場でも電動アクスルの修理が可能となる。
電気自動車(EV)のパワートレインとなる電気モーターは内燃機関と比べ、低摩耗で可動部品が少ないため修理が不要だと考えられてきた。しかし、実際には長期間の使用による接点の汚れや腐食、シーリングの喪失、事故などにより部品が損傷する可能性があり、その際は、電気モーターやパワーエレクトロニクスなどの主要部品ではなく、センサーやプラグ、ハウジングなどの周辺部品が影響を受けるケースが多くなる。
昨今、独立系の民間整備工場ではEVの修理が増加傾向にあり、それに伴い適切なスペアパーツのニーズが高まっている。しかし、これまで多くEVはメーカー保証の対象だったため、交換用部品は自動車メーカーからのみ供給されてきた。
この様な状況を受け、ZFは市販のアフターマーケット向けとしては初となる電動アクスル用リペアキットを投入する。キットには電動アクスルの修理における43パターンのシナリオをあらかじめ設定。民間整備工場でクーラント液漏れの締結部、エンジンマウント、速度センサー・温度センサー、ドライブシャフトが交換できるようになるほか、パーキングロックの修理が可能となる。
リペアキットには各交換・修理に必要となるパーツ、留め金具、工具を同梱。一連の作業で電気モーターや電動アクスルを取り外す必要もない。ただし、高電圧を取り扱うためのトレーニングを受けた人のみが作業可能となり、修理のために車両の電源を切る際は、DGUV 209-093(ドイツ電気自動車高電圧システム取扱者法規)に準拠したトレーニングレベル2Sの受講が必須となる。
ZFでは今後も様々な自動車メーカー向けの修理用キットを開発する予定だ。